私と子供と幻影と
投薬技術、薬の効力を如何に素早く機能させるか
その技術は結構研究されています
一度冒険先で薬を使ったことがあるならばその便利さから何度も使いたいと思った時この研究に皆、手を出すのです
中でも戦闘中にも使える投薬技術はすぐに盗まれます、まぁ戦闘中に見せてるので当然とも言えますが
最近ですと吹き矢で投薬する液体薬が生まれてます
どれだけ鋼で身を包んでも関節は曲げるために柔らかくなりますし
針を必要としないものも研究されてます
…えげちぃことですよ、まったく
◇
さて、施設にて
軽はずみな意見としては光の街に戦争を仕掛けたいですが
戦争するだけの物も駒もありません
物の方は薬の方の研究を頑張れば一部は代わりにもできるとは思いますが
駒の方はどうしようもないです
最悪サクラさんを人工スライムで量産してもいいですが、魂が足りません
魂がないと魔力が巡らないので色々なところに欠陥が生じます
…機械世界には魔素、魔力、魔法がないのですが、人工スライムってどうなんですかね
覚えていたら打診とかしてみますか
…あー、しかしそれは
いえ、物は試しです、試すのは人なんですけど
奴隷でも見に行きますか
軽くアカさんに聞いてみました
『奴隷のある街、と言えば闇、邪、冥の三つの街だけど…シロ、本気?』
へぇ、冥の街以外にもあるんですね
本気?というのはあれでしょうか、雷の街では奴隷制度はないからでしょうか?
もー、悪の組織なのになにをいまさらー
「ん?ナズ、どこ行くの?」
おやナコさん今日も可愛らしい
「邪の街です」
「じゃ…任務?」
「いえ、私事ですね」
「む、私も行く」
おや、なんで怒ってるんですか?
…アシスタント探そうとした時もこんな感じでしたね
◇
「ほれ、こっちだ」
流石、よこしまと書いてじゃ、と読む
邪悪な街名、支店から奴隷商へのアクセスが楽々です、ガッツリつながってるんですねぇ、分かります
「むうう!」
ナコさんは唸るばかりです
可愛いですが顔は怖いです
なんですかね、手伝いなら私がするよ!という遠回しなプロポーズですかね?それとも変な虫を付けさせない的なアレですかね?
まぁどちらも愛されてますので私の頭の中はお花畑ということですね、分かりません
真っ直ぐに通された大きなテントへと入っていきます
「…小綺麗で、正しく品物という感じですね」
繋がれている人も魔物もいい環境で繋がれていることが分かります
「まぁ、そうだな、最初は、な」
お、含みのある言い方ですね
「お客はどんな奴隷をご所望で?」
「魂さえあればなんでもいいですね」
「…え?」
「え」
え、とは何ですかナコさんまで
「…シロ?」
ナコさん…クロさんが私の肩に手を置きます
え、なんですか、なんで優しい笑顔なんですか
「…言い方が悪かったですかね、育ってない…子供なら人でも魔物でも、なんでもいいです」
「…」
「シロ、お話しない?」
ミシッと肩が音を立てます
痛くはないです、気持ちは痛いですけど
器用な幻影ですね、こわいです
こうなるぞ?という脅しですね、分かります
「なんですか、クロさん」
「いや、まぁ、いるっちゃいる、大勢いるな」
おっと奴隷商人さん…顔がコイツに紹介したくねぇみたいな顔ですよ?
「クロさん、後で、しましょう」
「………はぁ」
諦めですね、折れて下さり助かります
「つい先日ちょっと遠い町が魔物にのまれちまってな」
おや、それは可哀想に
「魔物は邪の勇者がやってくれたんだが
町は壊滅、住むところが無くなって親も亡くなっちまった子供が結構な人数いやがるんだ」
邪の勇者って悪そうですね、じゃなくて
「その子たちは?」
「まだ奴隷落ちすらしてねぇ、受け入れ先がいねぇか探してるところだ」
「ちょうどいいですね」
「…勇者にバレたらちゃんと生活できてるか押し入ってくんぞ?」
おや、それは厄介
「…じゃあ移動中に魔物に襲われたことにしますか」
よくあることです
「…よくあるけどよ」
そうですね、勝手なイメージですがサンドワームにパクン、これで行きますか
「ミミズの魔物っていましたっけ、小さくってもいいです」
◇
面倒な工作は工作が得意な部隊へ仕事として出しました
魔物を大きくする薬でやらせたところ報酬もそちらになりました、依頼料が多少減りました、ついでにリピーターもゲットです
なかなかな大金を払い施設を大きくしてもらいました
確実に異次元構造なんですけど…あ、企業秘密?組織仲間でも?だめ?そうですか
子供たちは当分は経過観察です
環境に慣れてくれませんと録な投薬も出来ませんので
スタッフを怖がるんですよねー…かといって組織の契約をさせる訳にも…別に構いませんが…
いえ、契約はやめておきますか
何となく、なんとなくですよ
普段の食事に少しずつ薬は混ぜますが
最低限ですね、あー、早くいじりたい
「なぁ」
「…おや、透明さん」
いつの間にか透明さんは男手のひとりとして施設のスタッフの一人となっています
「あんなにガキを増やして何するつもりなんだ?」
「そりゃー投薬実験ですけ」
「その先だよ、おれは今媒体にもされてるけどよ」
「…知りたいんですか?」
私の駒ですけど…
「いや、いい、俺なんかが聞くことじゃなかった、それよりさくらなんだがどうするんだ?」
サクラさんねぇ…何故か感情の方が壊れてるんですよね
全部封じこめて人形として使うのは最後の手段だとして
薬じゃ感情のケアは出来ないんですよ…
まいりました、困っています
なので現状維持という名の放置です
「いまはどうしようもないですね」
「ふむ…そうか、ちなみに黄緑の嬢ちゃんはどうした?」
施設に溶け込んでますね、あなた…
「任務中のようです」
「そうか、書き出した束は俺の方で預かってるからよ」
「キミドリさん用の部屋も必要でしたかね?」
「まぁあった方がいいかもな」
そのうち増やして貰いますか
さて、するとやることもあまりないですね、魔物の研究でしょうか?
新薬の研究もこれだと言う物もありませんし
牢屋の方にはしばらく不自由させますね
魔物の研究…強制進化、変化、融合など結構様々なことをやりました
…あ、擬人化なんてどうですかね
人から魔物化は結構楽々とできますがその逆はまだやったことがありませんでした
◇
むり、無理じゃないですか?
結構頑張ったんですけど
定例会議も一度挟んだので結構な時間がたってます
ですが擬人化のヒントすら得られない
人型にはできます、形だけは
しかし知性、知能が与えれないのです
大量発注も受けてその合間になり、子供たちにも少しずつ投薬を開始し始めました
すると更に擬人化の研究へ割ける時間が減っていきます
キミドリさんがそこそこ板に付いてきたので調合ペースは落ちていませんが…
「魔物を人に近づけるにはどうしたらいいと思う?」
「…ナズ、次は何?」
え、まだ何も完成させてないですよ
そんなに睨まなくっても…
「…ナコさんはネコの獣人ですよね」
「…その目は嫌い」
「……」
「…ナズ、やだよ?」
「ふむ、さすがに気が引けますね」
ナコさんが涙目になってしまいました
いやー、さすがに私だって良心というものがありますよ
「あっ!一緒に温泉に行きましょっ!」
「やっ!…あっごめ……!…!」
ドゴゥッと私の腹に拳が突き刺さります
椅子からひっくり返り意識が遠くに…
…下手したら死
生きてました、あぁ、死ぬというのはスライムの体的な死ぬ事なんですけど
…スライムのからだ
そうですね、それでいきましょう
…今日のコウチャは香りの高いとってもいいものです
更には心地のいい音楽も流してます
機械世界の言語は聞き取れないのですが、それはそれでいいですね
眠気を誘います
「なず、ごみん…」
きぃ、と扉を開けてナコさんが入ってきました
ふふ、計画通りですね
お湯浴びしてから早々に自室に引きこもった私の心配をしてくれてるのでしょう、まぁ少しお腹は痛いですが
更にはコウチャはナコさんの反応が良かったものを選んでます
音楽は私の趣味ですが
「まだ少し痛いですが…怒ってはいませんよ…ナコさんも飲みますか?」
「うん…」
じゃあどうぞ
ぬるめの一杯です
「んく…おいひ」
ガクンと眠りにつくナコさん
「……わざとやってます?」
そう思えるほどに策に乗じてくれました
…型どったら弄り回しちゃいましょう
幸せそうな顔に飲み込みきれてないコウチャを零したナコさんの顔は
…如何せんなにかくるものがあります
翌朝です
バタンとナコさんが扉を開けて私の部屋に突撃してきました
うっすらと目を覚ましていたのですが、完全に覚醒です
「ナズ!?なず!」
私にダイブしてきてぺたぺたと体を触ってきます
「…なんですか、ナコさん」
「いや、えっと、怒ってる?」
「…なぜ」
「いつもなら抱きしめて寝てくるのに…今日は自分の部屋に返されてたから…」
おんや、いじりましたよ?…なにか、ナコさんが隠してるやつ
…なんでしたっけ
そう、しっぽ
そちらもいじらせてもらいました
「…っ!?ナズ?本当にナズ?」
ドスッと踏んで後ろに下がります
「あぐぅっ!?」
いてーいてーよー…
いや、まじで痛いです
「……シロっちさー」
ぞわりと、寒気がしました
目の前のナコさんが、ナコさんじゃなくなったような
「わたしのしっぽいじったりしたぁー?」
いつかの口調ですね、いや、はは…怖いんですけど
「してませんよ?」
「ふーん、へぇー、ほんとー?」
こわいこわいこわいっ
あ、むり、耐えれないです
「サクラさん」
「はい」
ベッドの傍らに現れる表情の死んだサクラさん
「ナコさんを取り押さえてください」
「ちょ、ナずもがぁ!」
さすがサクラさん、人間やめてますね
一瞬のうちにくたぁとするナコさん
サクラさんは後ろに回っておりナコさんを支えています
「…私の横に寝かしてください、それで終わりです」
「はい」
そう言ってお姫様抱っこでナコさんを寝かせるとサクラさんは消えていきました
うんうん、いいんじゃないかな
透明化とかもろもろ
「…そんなに可愛がって欲しいなら特殊な薬を使いますか…ふふ…」
拷問用デスね!
…
「だってぇ…ナズが…ぐすん…」
「おーよしよしー」
…
お昼ご飯です
朝というような時間では無くなってしまいましたので
先程は幻影が完全に見破られた、しっぽを認識されたので怪しまれたようです
隠すなんて酷いですね、可愛らしいのに
「そういえばナコさん」
「う?」
「最近私が出なくていいくらい任務の方を頑張ってくれてるらしいですが、個人ランクとやらの方はいいんですか?」
「う…」
定例会議の方でムラサキさんが言ってました
どうりで私の出る任務が少ないわけです
「最近ちょっとランクの方は頭打ちで…」
耳をへにょらせてくせっ毛をクルクルさせています
行けるところまで行くと化け物揃いらしくランクの方のお仕事も減るらしいです
…世知辛いですね
…現実を忘れたい系のお薬をアカさん経由で売ってるんですがそういう人に需要が生まれてしまうものなんでしょう
「温泉でも行きますか?」
昨日はこれでぶっとばされましたが
しょんぼりしているナコさんから拳はとんできません
「あ、身長」
「う?あ…むぅ」
じっと見つめているとナコさんの身長詐欺も解けて見えてしまいました
なんて言いますかね、鼻の奥がすぅっとした感覚になりました
…幻影を解いた、と思います
なにかいい例えでもなかったかなと考えていたところですが
「いく」
「…あ、ほんとですか?」
「うん」
ナコさんと温泉旅行です
ふふーんっ
闇、邪、冥はやみ、じゃ、めい
の読みです
ふたたびキリが良くなるところまで毎日投稿頑張ろうとおもいます!




