ボス直属のしたっぱの私
雷の街の組織の本部
なんか薄暗くって…悪の組織の幹部たちがやる会議、それっぽい感じの雰囲気です
あ、いや、そうなんですけど
…すいません、暗くて文字が読めません
青い光で照らされても…
電気つけていいですかね?
あ、だめ?そう…
ボス直属の部下だけで行われている会議、ボス側の隣には上司はいます…けど、隣ですら暗すぎて見えないのです
私はここではしたっぱ扱いですけど白衣を着てますので研究者扱いでもあります
ちょっとよくわかんないですね!
会議の内容は最近の報告と今後の方針、つまりは定例会議です
私は薬を扱います、ほとんどは魔法で代用できる効果ばかりですが魔法では手の届かない…
手の届きにくいところに届くような薬を多く扱ってます
…薬とは別に一時的に効果のあるポーションという存在もあります
ここら辺はちょっとややこしくって…薬も一時的なものが多いです
…違いは長期的、永続的なものがあるというところですかね
いつか説明する機会でもあれば
各部隊の方々から薬の納品を依頼されました
私の関係のあるところと言えばここらが多いですね
…ある部隊の「効果さえ発揮していれば副作用は構わない薬を大量」と認識阻害ボールの発注ってなんか危険な香りがしますね
…まぁ作りますけど
◇
会議の後になります、解散後ですね
ボスは次の予定があるらしいです、忙しそう
さて、私も施設に篭もりますかね
そう思いながらもしたっぱ共通認識、上の方が退室しない限り最後まで残る、を無意識に行っています、資料をまとめるふりをしながら
ほかの人たち早く行かないかな
「ねぇ」
話しかけてきました…が、暗くて誰か分かりません、まぁ私より下はいないので対応は変わりませんけど
「はい、なんでしょうか」
「大量に依頼された薬とポーション、効果が似通ってるのが多いのって分かってるよね」
「そうですね」
そうだったんですね、目を凝らして字を追っていたのでそういう所まで頭が回ってませんでした、まぁ読めてないので後で読み直すんですけど
「じゃあ…言いたいことわかるよね?薬よりも、ポーションの方が優れているってことに」
あ、この方が誰か分かりました
商業関係担当で他の部隊に物資を、主にポーションを横流ししてる方ですね
いいですね、差額で儲かるので指示出すだけでお金もらえて
言いたいこと…
「ポーションの方が便利なので薬がちょーしに乗るなよ、ということですね」
「…ふん、分かってるならいい」
そう言って退室していきました、わざわざ釘を指し…注意してくれるとは、良い方ですね、たぶん
じゃあ塗り薬での提供の方がいいですね
それでいて量も超えないようにすると
うんうん、私一人じゃキツくないですか?
アシスタントでも雇いましょうか…
したっぱは部下を持てません、先輩後輩の間柄ならありますが
研究員として雇えばいいでしょうか
人材雇用の方法は…
まずは他部隊からのスカウト
次にエルフのスタッフ達から
まぁ紙にはこうありますがどちらも推奨されてない方法ですよね、たしか…
ならいっその事消せばいいのに…
とんで、次の選択肢になるのは…
冒険者や市民から…と
以前悪事に難癖つけてきた冒険者に「仲間になるなら許してやる」なんて言って断ったのでボコボコにした、という話を聞いたことがありますね
逆にボコボコにされた人も聞いたことがありますが
ボコした人は決まって街近くかギルドにポイするのがほとんどなのでその後は知りませんが
冒険者も下手に亡くなると跡が残りますからね
生き残るギリギリの痛い目に合わせるのが大抵です
誰かは魔物を使うと聞いたことも…
まぁこの話はいいんです
いまはアシスタントです
大量の注文です
ギリギリ間に合うだろうペースの合間にでもスカウトしたいところです
◇
「そう言うわけなんですよ」
「おぉ…そうか…」
やってきたのは薬屋です
私と同じような人を得るには私みたいな人がよく来る場所、薬屋での張り込みが一番と思いました
調合もできますので納品に無理が起きませんし…バッチリですね
結果、結果から申しますと私には無理でした
それっぽい方は何人か見かけたんですけど、話しかけれません
私もですけど話しかけないでオーラが出てます、分かります、私もですから
…むりです
「…うへぇ」
「…ナズが死んでる」
自宅に戻ってきてからリビングの机に突っ伏してます
ナコさんは現在、冒険者潜伏任務中のようで帰らない日もあります
日帰りで行けるダンジョンは人が多く、またお宝も出にくいらしいです
「いきてますぅ…ご飯は温めれば食べれますよぉ」
「ありがとー」
「疲れたのでミミをもふもふさせてください」
「えっヤダ…」
ぐふぅ…
…そうですね、獣人の子をアシスタントに迎えましょう
手取り足取り教えるとか言ってモフりましょう…
ふふ…ふふふ…
「…まぁ獣人なんてそこら辺にいないんですけどね」
分かってます、想像です
「…むぅ」
がしりと頭を掴まれました
片手で全体を覆うように
…ナコさんですね、こんなに手が大きかったですっけ?
ミシッ
おでこが押し付けられました、めっちゃ痛い、痛い、すっごく痛い!
「あいたたたたたたっ!?」
フッと手が離れます、不思議です、全然痛くない
…ナコさんの認識阻害、ここまで来ると認識付与、感覚付与な気もしますが
めっちゃいてぇ…
「…何するんですか」
「…何となく」
なんとなくですか、そうですか、そういう時って私がなにかやらかしてる時ですね、知ってます
何やらかしたか聞きますと拗ねるので無視です、無視というかそっとしておきます
なんかすいませんでした
話題を変えましょう、そうしましょう
「アシスタントが欲しいのですよ」
「…ふーん、それで」
あれ、目付きが鋭くなりました、なんでですか
何か言いましたっけ
大量発注は初めてですが今後も続くと思われます
前々回で自己紹介、宿題を貰い
前回で宿題の提出、特にやること無く
今回で大量発注です
今までの定例会議の流れが
これは大量発注は今後も続く流れです
死にます、疲労でくたばります
嫌です、アシスタントが欲しいです
「アカにでも聞けば?」
おっと、怒り口調
どうしましょ、逃げましょうか
「…そうですね」
「…あ、これアカから渡されてたんだった」
それは機械世界の魔導書、魔導書?とりあえず書物です、本でしたっけ?書物だとゴテゴテしいなんて言われた気がします
「お、待ってました」
こちら続編ですね
「なんの本?」
「あちらの世界の医療?という技術の本です」
「前の続き?」
「そうですね」
薬のところが面白いこと書いてあるんですよねー
「いゃー」
ナコさんが耳を塞いでへにょります
…前回の本のときに
「あちらは魔法がないのでお腹を割いて直接いじって治すらしいですね」
と言ったらまるで苦虫でも噛んだような顔をしてました、認識阻害が解けたのを覚えてます
…なにかを見たんですよね、何を見たんでしたっけ、もう一度言ったら見えますかね?
…可哀想なのでやめときますか
「…ふむ、プラシーボ効果」
この現象に名前をつけているんですね
こちらですと魔法で感情や精神に干渉することが可能ですので魔法扱いです
…面白いですね
◇
「アカさん、本を受け取りました、ありがとうございます」
『お、おっけー』
「ところでなんですけど」
『ほいほい』
「調合で大量生産が必要になったんですよ」
『おー、おめでとう?』
「まぁおめでとうですかね?ありがとうございます、ですがひとりじゃ限度というものがありまして」
『まぁそうだろうね、それで?』
「アシスタントが欲しいわけですよ…あ、鍋が沸騰してしまいました、ちょっとまっててください」
『あ、はーい』
現在調合中です
同じ薬を大量に作るので大鍋を用意したんですが色々と規模が変わって大変なことになってます、かと言って何度も作るのを繰り返すのは、というのはあります
「大鍋の火加減が難しいですね、スタッフが火の調整が苦手というのもめんどくさい要因ですが…まぁエルフという種族の共通と考えれば仕方ないですかね?」
「うぅ、熱い、私も正直嫌いですね、こういうのは感覚がズレる気がするので調合者はやらない方がいいです、絶対です、人手、人手不足ですよ、もう」
「鍋も鍋ですよ、掻き回すのに遠隔操作魔法をわざわざしてデカい棒回すのって無駄が発生してます、鍋の口も大きいですので蒸発速度も早いですし、あぁ、水を、水を加えますか?すると付け足し用の粉末も入れないと…忙しいぃ…」
「…はて、なにか忘れているような、あっ、アカさんにアシスタントの候補者を見繕って貰うんでした、連絡しますか」
『いや、繋がってるよ?全部文面で送られてるよ?』
「…おや、アカさん、そういえばメッセージしようとしたままでしたね」
『そういうことなら本部の牢屋にでも行ってみたら?』
「牢屋、ですか?あるんですか?」
『うん、冒険者は基本は返すけど、嗅ぎ回るやつはとりあえず引っ捕らえるはず、それで牢屋もあったと思うよ』
「へぇー、そうなんですね…行ってみますかね、ありがとうございます、そこにもいなかったらまた連絡するかもしれません」
『はーい』
◇
結局大鍋での調合後、冷ますのにも時間が掛かり、瓶詰めにも時間がかかりと大変でした、もう一種類あるのが憎らしいですね
アカさんと連絡してから一日後です
「…シロ殿か、何の用だ」
スタッフに案内してもらいガタイのいい警備の人に用を聞かれてます
というかさすがスタッフですね、詳しいです
そして警備の人、私を知ってるんですね…あぁ、定例会議にもいたような気がします、この人
「アシスタントが欲しいのですが、ちょっとお目に叶う人がいないかなって思いまして」
「…そうか、てっきり人体実験の人材補給かと思ったぞ」
「…ちなみに薬物投与は?」
「やってもいいが壊すなよ」
こわす?人格を?人を?あはは、そんなことするわけないですよー
階段を降りて牢屋のエリアにきました
名簿のようなどんな人が捕まってるのか、というのを見る限り結構いますね
嗅ぎ回られすぎでは?
…なかなかお目にかかる方はいませんね
そこそこに実力のある方ばかりなのは分かりますが、盗賊やら戦士やらの適性者ばかりです、そりゃそうですが
…一通り見ましたね、いません、帰りますか
「おい…!」
「…はい」
おや、金髪美少女、いかにもくっ殺せ…!なんて言いそうな女剣士さん
「貴様、見たところ他の奴らとは違う服装だ…幹部のやつだな」
「あ、いえ、違います」
白衣を着てはいますがしたっぱですし
違う枠も研究員ですし
「ふん!嘘をつけ!私にはお見通しだぞ!」
「…面白い方ですね、すいません、こちらの方と話してもいいですか?」
「構わん、鍵を開けてギリギリまで近づくことも出来る、腕輪で吊るしてるからな」
え、近づく気はなかったんですけど
まぁ、機会を貰いましたのでせっかくなので
「よいしょっと、冷たい床ですね」
「…なんだ?笑うために近づいてきたのか?」
「…あ」
こういう時、なんて言うか知ってますよ、私
「…なんだよ」
「ふふふっ、力が、欲しいですか?」
「…なんだって?いや、私は騎士だ!正義のために剣を振るう、悪の組織の言葉なんて聞くに足らん!」
ガッチャガッチャ腕輪を鳴らしながら喋ってます…でかいですね、あなた
何がとは言いませんが
「私は研究者です、望む力を与えれますよ」
主に投薬でですが
「望む…力…いや!いらない!」
ちょっと欲しがってるじゃないですか
「すいません警備さん」
「む?なんだ」
ちょっと内緒話
「ここの腕輪って投薬出来ますか?」
「…まぁできるぞ、お前の施設の方が先だからな」
ボスの未来視やばくないですか?
「あとなんか悪そうな演出できるものって」
「…おいおい、聞くまでもないぜ?」
そうでしたね、悪の組織本部でした
「チョイスはお任せします、あなたのセンスでどうぞ」
「…では、少しお話でもしましょうか」
「…っ!貴様と話すことなんてなんにもない!」
「えー、力欲しくないですか?なんでも、うちのものにボッコボコにされたらしいじゃないですか」
資料によると?えっと、なになに?あぁー、一番優秀な部隊とやりあったんですね
この人は他の人を逃がして時間稼ぎと
「ぐっ!…アイツら、私の装備を一つ一つ壊して、はだけていく姿を見て楽しみやがって!」
…最後は半裸って書いてあります、可哀想に
ぐへへされたんですかね?
あ、任務中だったのでそういうことはされてないと、優秀な部隊で良かったですね、彼ら仕事と結婚してるような人達なんで、戯れで済んだんですね
彼らはそれで良かったんでしょうか…いえ、私の知るところではありません
「私の元に来れば簡単に勝たせてあげれますよ」
今のところ、今度の薬で身体能力上昇をあげるので知りませんけど
ちなみに飲み薬の個別発注です、こちらはコストがかかるので大量発注は受け付けてません、来たら忙しさで死ねます
「簡単に…だと?」
うわちょっろ
「ぐぬぬ…しかし、私は師に誓ったのだ」
「その師とやらもこせますよ」
でまかせですが
「なんだとっ!侮辱してるのか!」
「おい」
「…おや、準備完了です、私は特に情とかないので、あなたに薬を与えるのはもう決めてるんですよ」
「なっ!」
いや、情ぐらいありますよ、自分でも適当なこと言い過ぎですね
「…こちらは?」
「焼印だ、こういうやつには淫紋を付けると相場が決まっている…こいつ初めて使うんだよな、俺の趣味で用意したが使う機会がなかった」
「…」
後半は内緒話です
…相場が決まってるんですか、そうですか
…あなたの趣味ですか、そうですか…他人の趣味に口を出す性格はしていませんので何も言いませんよ
良いも悪いも、言わぬがなんとやらです
「まぁ投与するならなんでもいいです」
「ふっ、お前、いいな…そういうわけだ!お前には力をくれてやる」
なんか気に入られました
それはそれとしてめっちゃノリノリです
「くっ!外道め!…くっ!やめろ!近づけるな!」
…ガタイのいい警備の人の背中で何も見えません
しかし、背中の向こうでは大人なやり取りが繰り広げられてるのでしょう
そうでしょうか、そうなんでしょうね
そうしときます、私には何も見えません、女騎士もノリノリですね、えぇ
あ、薬が注入された……量間違ってません?
「おい、これでいいか?」
「どれくらい投与したんですか?」
「…ん…指定通りだが」
ジェスチャーで量を示してくれます
「…ゼロ一個多くないですか?」
「…書くか、こんだけだ」
「あ、ミスってますね、一桁多いです」
「…不味ったか?」
「…多分腕輪くらいなら破壊可能かと」
「……ちょっと用意してくるわ」
警備の人が走って行きました、私特製の睡眠ボールですかね?
でしたら二個はいるかもしれません
興奮状態ですので効きが悪いです
さて、実は私がピンチなのでは?
殴られたら死にますよ?
「ふふっ力が、力がみなぎってくる」
なんか私より悪そうなこと言ってます
魔王とかそういうの言いそうですよね
「…どうですか?」
「最高の気分だ…今ならアイツらも…師さえ斬ってやれる、体に焼印は着いてしまったが…代償なんていまはどうでもいい!斬る…斬ってやる!」
…薬の効果は全能力の上昇です
ちょっと多いですので興奮作用もありますかね?
焼印は飾りです、飾りで傷つけるのはどうかとも思いますがちゃんと服を着たら隠せるので…そうですね、うちの組織なら結婚相手なら見つかると思います、美少女には変わりないですし
手持ちの薬で…睡眠ボールの半個分投薬しました、全く眠りません
遠距離ですと少量なのが困りどころです
少しは落ち着くと思いますが…
「復讐しますか?」
「…あぁ、それもいい、おまえ、なんて言ったか」
痛いのは嫌です、研究室に逃げる準備を…
「シロです」
「シロか…私はいい主を持った…前の名は捨てよう、主…私に新しい名前をくれ」
んん?んんん?
なんか、どういうこと?
名前、名前ですか、とりあえず与えましょう
うーん、闇堕ち女騎士…
「黒色くろクロ…たしか黒色リストを読ませてもらったので…漆黒、いや、安直ですね、灰桜とか…いえ、呼びずらいですね…ハイザクラ…サクラでいいですかね…さくら、ええ、可愛らしいですし」
「…漆黒のさくら、か、フンっそれで構わない」
「あなたはサク…ら…です、え?」
あ、口に漏れてた感じですかね?
「…サクラさーん?」
「漆黒のサクラ、ええ、いい名ですね」
…なんか痛い子になってる
え、興奮作用だけですよね?
しかも割と順従っ!
悪の組織と言えば闇落ちですよ、はい
よくあるやつですね
ガッツリの洗脳系よりプラシーボ効果にしてみました、まぁ過程はいいんですよ、異論は認めます、結果的に闇落ちすれば、ええ
シロはたまに考えをそのまま口に出すタイプです
頭に直接届くとしたらアカさん迷惑極まりないですね
さてさて、そろそろキリがよくなるところになりそうです、遠回りがすぎるっ!




