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悪の組織の悪たるゆえん  作者: ファイル
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悪の組織の下っぱな私

完全な見切り発車スタートです

剣と魔法の私たちの世界と機械のあちらの世界が繋がって早数年


されど互いに大気の関係で足踏みしている今現在


機械のゴーレムが進行してきたり、魔法の生命体を送り込んだりと偉い人達はやってるけど



とりあえず流れてきた技術で今日もパンが美味しいです!




さて、私はある技術を独占しようとしている悪の組織のしたっぱである


ボスは大層な計画を立てているけど末端の私にはぜーんぜん情報が降りてきません


ただやれと言われた場所を襲って奪って終わり


どこから捻出してるのか上からお金を貰って上に用意してもらった部屋に住んで勇者とか冒険者に怯えながら今日を過ごしてます



いやー、とは言ってもブラック企業だけど実態はホワイトなんですよ?


週3程度しか出番ないし基本対人戦だから魔物との不意の事故もないし、上司も優しいし


まぁ仕事でミスったらワンチャン死ぬけど、良くて牢屋行き


ボウケンシャコワイ


定時上がりの概念自体なくて、ただ仕事が終わんなきゃ残業だけど残業代は出るしそもそも後処理までしないと勇者に始末されるし…


ユウシャコワイ



さて、そんなブラック企業に務めてる私だけど、具体的に何するかって言うと…何してるんだろうね?


ボスの演説を聞いてる感じだとなんか魔王的なやつを復活させるとか言ってるけど、実際私たちしたっぱがやってることは魔導書パクッたり処分したり武器やら石版やら盗んだりな…泥棒だねコレ、この前多分人の処理もやらされたなぁ…


まぁ悪の組織らしいことなんじゃないかな、知らんけど


さて、そんな私たち悪の組織の敵は勇者属する街の傭兵団と至る所にいる冒険者たちである


いつも魔物から街を守ってもらって助かってます!


感謝すると上司に怒られるけど



いやぁ、私も冒険者をやったことあるから知ってるけどさ

チョー危険だよね!

友達が魔物にやられて鬱ったからやめたけど!

よく行動なんて分かるよね、凄いわ、強い人たち



「よし!ご飯も食べたし!行くか!」

今日もお仕事!お仕事!



ほとんどは最初に支給された装備を着て仕事に行きます!

黒い長靴(魔法で通気性OK防水機能付)

下は黒タイツと黒いホットパンツ

肌は晒さないのです!

上は自由な服装と隠密フード付きローブ


一目で怪しいと分かるけどローブには認識阻害の魔法がかかってるから大丈夫!

腕にうちのロゴ付きリストバンドを着けて


「行ってきまーす!」





今日のお仕事は勇者の足止めです


ボスが地下で闇取引をやってるらしくてその情報は勇者に漏れてるらしい!だから取引が終わるまで足止め!


私は二番目で後ろにも先輩たちが沢山いるから失敗してもおーけー!


なんて気楽なんだ



「のはずだったんだけどなぁ…」


地下一階に降りてすぐの階段のところで勇者はのびてしまっている


仲間の人達も一緒に転げ落ちてしまったのだ


階段でフラッシュの魔法を使ったら踏み外して転がり落ちてこの状態だ



「とりあえず紐で縛って…」


体を起こさせることは無理なので重ねて雑に紐で縛った


下の勇者が苦しそうだ



勇者と言っても町ごとにいるらしいしこの勇者なんて青年だ


まぁボスの闇取引が無事に済むならなんでもいいよ



「帰っていいかな…」


流れてきた技術というものの他に文化も多少流れてきた

最近の私の流行りは

上から支給されたラジオ付きしーでーぷれいやーなるもので音楽を聞くことだ


心が落ち着くのです



「傷を治すために自宅に帰ったことにしよ」


リストバンドから連絡用の布紐を一本取る


えっと、勇者捕縛、戦闘の際ケガした為に自宅に戻る…っと



布紐もなんかわかんない技術で団員しか読めない機能があるらしい


適当に置いといて


「おつかれさまでーす」


私はその場から立ち去った


地上階に上がると一人目がのびて紐で縛られてたので紐は切っといてあげた





「…おかしい、勇者達が来ないぞ?」


私は悪の組織の幹部の一人だ

部下の多くが女性で他の幹部とその部下達からなめられている



今日はボスが地下で闇取引をしている、うっかりその情報が漏れてしまい勇者が来る、ボスは迎え撃つつもりのようだ



取引相手も私達との繋がりがバレてしまうと、この街での取引も潮時、ということになるが


…いくら待っても勇者達が来ないのだ



仕方ない、入口まで上がってみるか


そろそろ取引も終わるぞ?



上にあがる際に他の部下達も勇者を見ていないという

…わざわざ他の幹部から部下を借りたというのに、私の懐だけ寒くなるではないか



もしかして待ち伏せを読んで来ないとかか?

この街の勇者はまだなりたてで正直ガキだ、そんなに頭が回るとは思わないが…



さて、地下1階にたどり着いたところで私は目を疑った


勇者とそのパーティーが雑に紐で縛られているのだ


「ちょっと変なところ触らないでよ!」

「なっ!こっちはずっと潰されてるんだぞ!」

「なにぃ、私たちが重いって言うのか!」

「そんなこと言ってないだろ!」


「…あ!お前!下で取引してる奴らの仲間だな!…卑怯だぞ!」



勇者が私に気が付き卑怯と叫ぶ


…こいつらどうしようか

別に処分しても構わない、しかし街の勇者は肩書きの付与だけ、この勇者も三人目なのだ


そして勇者の剣だ、鞘に入っているがあの剣は勇者の周りを勝手に動く

捕縛は引き離さないと無理だ、この状態でこそ仲間のせいで抜けないようだが



「…む」

メッセージストリングか


なになに…


ふむ、私の部下が死闘の末に勇者の捕縛に成功していたようだ


二番目…だからアイツか


治療薬と報酬を送っといてやろう

……手柄は私のにしていいかな



「おい!聞いてるのか!」


コイツらはギルドの前に捨てとくか

できるだけこの状態で





その日の夜、私が音楽を一旦止めてご飯を作っている時



ドアがノックされた


「はいはーい」


出ると悪の組織専属の運び屋さんが


「…およ?」


とりあえず受け取ってサインする



部屋に戻り受け取った箱をあける


中には回復ポーションとお金が


「…あらまぁ」


そういえば今日はお仕事の日でした

闇取引はどうなったかな

まぁあの後攻められてても先輩たちが何とかしたでしょ






私たちは上司から色々と支給されている


例えばこれ、見た目普通のお守りだけど魔力を込めると黒い霧が立ち込める、その間に逃げるのです


ついでに死ぬような、実際首が飛ぶような斬撃を食らってもお守りで生き返ることの出来る魔法が付与されてるらしい


試そうとは思わないから本当か知らないけど


どうやらその魔法は普通禁止にしていされてる魔法らしくて…

あぁ、悪の組織だなぁって思いました




さて、調味料を買うために火を止めて外に買い出しに来ておるのですが


こんな夜遅くに勇者さんを発見です

杖を持った女性に肩を貸しながら帰宅中と見られます


現在私は私服で武器もなし、至って普通の一般市民なのです

お守りもないので万が一にでも斬られれば即お陀仏ですね



さっさとUターンすればいいものですがお吸い物が冷めてしまうのも勿体なし、帰る方向と被りながらも渋々少し後ろを歩いているのです



…着きました、ついてしまいました

私の家、というのは上に指定された場所ではありますが、そこそこいい場所、良物件のあぱーと?というもので機械の文化の建物、三階建ての住宅でございます、土魔法で作られた地盤の最新な建物はまさに人気絶頂、一度は住んでみたいと多数の声


されど今は住んでいる同じアパートに勇者が同じなんて、ちょっと前なら同じ屋根の下どうたらこうたら言ってましたが、屋根は同じですが部屋は別、トキメくこともなくむしろ胃がキリキリと致します



「キミ、さっきからつけて来てるけど…なにものだ?」


ひゃぃい!話しかけられてしまいました


「あ、いえ、その、うぇっと…」


勇者さんが私をじっと見ます


ん?…あ、この人視線が変態さんのそれですね


イヤな視線です、ここは強気で



「私もここに住んでるんです」


喋りながら歩きだします

警戒は解いてないようで、すこし距離を起きながらも横を通り過ぎます


そして階段へ

2階に着いた時に勇者さんも階段の下に着いたようです…2階か、3階か、これは大事じゃないでしょうか


私は小走りでアパートの廊下を抜け自室に、直ぐにドアに耳をつけて聞き耳を立てます



小声で話し声が聞こえます

魔法使いさんが何か言ってますね

そのまま喋って貰えると位置が特定しやすいです…


特定…



あっ、これ隣の部屋だ





これは精神が持ちませんね、移動の申請を出しましょう


出来れば火の街の温泉が近いところ…とは書けませんが、とりあえず勇者の隣の部屋はなんかすごく嫌です



少し大きめに音楽を流しながら晩御飯です

え?なぜ音楽を大きめに流すのかって?

ふふ…ご想像にお任せしますよ…



壁薄くないですか?



あぁ、寝床に入ったは入ったのですが、アレが欲しいですね、機械の文化の商品、いやほん、でしたっけ、耳元で音楽を聴けるという


すると雷の街もいいですね、機械の文化を多く取り入れてる街

うぅ…


勇者にバレたら斬られますかね…

どうしてお守り握りながら寝る羽目になるのか…



そう、だ、勇者の家の扉に仕掛けをしときましょう

思いついたら即行動


気づけば夜も更けてしばらく、隣の部屋も静かに…水の音ですね、起きてるようです


組織の服装に着替えて少しの魔力を込めます

音を立てないように外へ



さて、どんな罠が効くでしょうか

元々冒険者の頃は職業を盗賊でやってました、ひたすらに隠密して録に戦いませんでしたが


…う、友達が魔物にやられた時に逃げ帰った事を思い出しました

これ以上は気分が…



扉の向こうから声が聞こえました

集中です


「なぁ、ほんとに誰かいるのか?」

「いるのよ、魔力は薄いけど私の熱源探知には見えてるの!」


ひぅ…


やばい…ですね


「熱源探知ってあれだろ?シャワー浴びたら目の前真っ赤になる」

「そうだけど訓練したわよ!アンタが入ってきたら殴れるように!」

「う、悪かったって」


少し揉めて声が大きくなってます、それではっきり分かりますが勇者と魔法使いですね


熱源探知とは知ってます、私も使えますから


それつまりすなわち、私が部屋に戻れば何故か部屋の前でうろついていた怪しい女と分かるわけです


詰んだ



ここっこ、こういう時はこれです

リストバンド、こちらには緊急連絡用の転移魔法ができる仕組みです

これでこの街の本部に向かいましょう

ついでに移動申請をします


魔力を込めて…


「…っ!魔法の気配!」

そう言って扉が勢いよく開け放たれました


「へぶっ!?」


私は扉を全身で受けて横にとびます

すごく痛いんですけど


その衝撃で転移の紐が私の手から離れます


…あ、転移の魔法も紐仕様です、凄いですね


「これ…は…」

魔法使いの目の前に転移の紐

可愛らしいお目目が大きく開かれます



パシュンと音


ずささと私が倒れる音


そして訪れた静寂


「あいてて…」


起き上がると勇者も魔法使いも姿が見えません



「…ぅ?あ!」


転移の紐は見当たりません

つまりそういうことです

勇者と魔法使いは本部に転移していきました



「………寝ましょうか?」


多分紐で誰かやったのか本部にはバレますでしょうが…

裏切り者とかにされるのは嫌ですね


そうだ、勇者の部屋から色々と借りることにしましょう


「お邪魔します」


…色々と見ました

魔法使いさんのローブからアクセサリー、着る予定であっただろう暖かそうな寝巻き


勇者の剣に盾、アクセサリーやらなんやら


つまりこれはアレですね


勇者も魔法使いも丸腰ですね!


魔法使いの杖は見当たりませんてましたが勇者は剣がないです、そこらの冒険者より弱い可能性もありますね


階段で転げる程度なので体術も人を倒せるほどはないでしょう




色々と拝借して、自室に戻り夜逃げの準備です


魔法のポーチに入れるので引越しも楽々です


夜逃げと言っても本部に向かうのですが





「…あぁ、お前か、何の連絡もなしに丸腰の勇者を送り付けて」

「あはは…ごめんなさい」


「なに、人質には出来た、この街の交渉の役に立つだろう、いい方面の方が勝っているぞ」


それは良かったです


「…ふむ、引越しの準備は万端か」


う、


「連絡が減って助かる」


う?


「私たちの部隊は別の街に移動になった、お手柄だぞ」


うぉ?


「もっと喜んでいいんだぞ?次の街でボスが来るまでに下準備の仕事が任された…ふふ、腕がなるな」



おお、思いがけずに移動です!


しかも上司も先輩もそのままのようです、助かります!人付き合い下手なんですよ!



「明日の昼には…今日か、まぁいい、昼には転移門集合だ、お前は今日はここの客室を使うといい」


「はぁい」


やりー!



なんかわかんないけどいい方にころがったみたい!


しかも本部だからきっといい朝ごはんにありつけるはず!



ルンルンと私は上機嫌で客室に向かうのでした



…そういえば転移魔法も制限がかけられてる代物なのです、蘇生と同じような、なので普通は転移が可能なのは転移門と呼ばれる施設で大金払っての移動となります


転移の紐は本部と紐づけられてますが好きなタイミングで転移が可能です

やっぱり違法ですね!

機械世界は地球に似た別の世界ということでひとつ、地球について作者はそんなに詳しくないので(ここ言い訳)

まぁ便利な物が流通する元、という感じで

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