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マジギレ先生と帰宅部生徒の闘い

「やばい! やばい! やばい!」

「はっ! はっ! はっ!」

「ころすころすころすころす!!」


 ただいま、俺と親友と先生の愉快な鬼ごっこ中っ!

 捕まったらもはや指折るだけじゃ許してくれそうにないがなっ。だってほら見てみろよ先生の姿。いや、武装を!


 左手には、投擲武器用の無数のコンパスと、ノーマルサイズの鋭利な三角定規。


 右手には、近接武器兼盾用の数学教師が持つ巨大三角定規。


 先ほどとは比べ物にならん武装だな。もはや、暗殺部隊出身といわれてもなんも疑わねぇぐらいの姿だわっ。やばすっ!


「ころっ―――すっ!」


 やばっ!? コンパスめっちゃ投げてきた!! すげぇっ、コンパスってあんな綺麗にまっすぐ投げれんのかよぉっ!? ってそんな場合じゃねぇっ!


「暴力君!!」 

「はい、帰宅部防御スキル『運動部より鍛えられた肉体』」


 よしっ! 暴力君の回し蹴りですべて弾けた。


「助かったぜっ!」

「理性がなくなったせいか、先生の攻撃も単調なので対処しやすいです」

「おっ、つまり案外。先生をキレさせたのは、正解だったのかっ!」

「ええっ、普段よりも逃げやすいですね。しかし、向こうの火力も爆発的に上がってますので、一発でも防御なしで喰らうと私でも重症ですよ」


 つまり、俺はどう足掻いても即死か。

 まじで暴力君連れてきて正解だったわ……。


「しかし、どうします? このままでは、窓に行くまでに捕まってしまいます」

「どうするって言われてもな……」

「どうでしょう。雅人くんが犠牲になり、僕が逃げる時間を稼ぐというのは?」

「なにがどうなんだよ!? ってめぇ、薄情も大概にせいよぉっ!?」

「そうですね、すいません……僕が悪かったです」


 おっ、反省してるじゃねぇか―――ッと思いながら、背後から投げられた三角定規を避ける。

 サイコパスのくせに珍しいな―――ッと思いながら、先生に向けて中指を立てる。


「僕ならまだしも、雅人くんでは、足止めにもなりませんよね…」

「しばくぞっっ!? 俺を挑発してんのか!?」

「ころすころすころすころすっ!!!」

「それは、雅人くんもでしょう」


 はっ!? ついいつもの癖で、偉大な先生様にファッキューしちゃったぜ!? 先程の行為を許してもらうために盛大に尊敬しようっと。言葉だけ。


「このままじゃ、まじで偉大な先生様に殺される。くそっ……偉大な先生様から逃げる方法が思いつかねぇよっ…!」

「仕方がありません。もう闘いましょう」

「なにっ!? 勝てるのか? あの偉大な先生様に」


 お前、偉大な先生様に瞬殺にされたんだろ? あんな化け……偉大な先生様に2人でも勝てる気がしねぇよ。


「普段の冷静な先生なら無理ですが、今の興奮状態の先生相手なら勝てるかもしれません。……まぁ、それでも勝率1割以下でしょうけど」

「きつくね?」

「それでも勝率があるなら挑むべきです。僕たちは帰宅することを生業としているのですから」

「……そうだな。俺たち帰宅部だもんな」

「はい。無事に帰宅するのが帰宅部です」


 さすが暴力君だな。

 そう、俺たちは帰宅部なんだ。帰るためなら神羅万象すべてを利用する覚悟で所属する部活動だからな。帰宅することが俺たちのプライドだ。帰宅部に、不可能という文字は存在しねぇ!


 覚悟を決めて、俺たちは立ち止まる。

 俺はポケットから筆箱を取り出し、暴力君はメリケンサックを装備する。



「ころすころすころすころすっ……」



「よしっ、覚悟はいいか…」

「えぇっ、行きますよ…」



「ころっ―――すっ!」


 偉大な先生様が、先ほど同様にコンパスを投げてきた。


「させるかよっ! 帰宅部狙撃スキル『宿題やったけど、持ってくるの忘れました』!!」


 俺の投げたシャーペンがコンパスに当たる。相殺はできなかったが軌道は逸らせた。コンパスは俺たちに当たらず壁に突き刺さったぜ。


「よしっ、攻め時だ!! 暴力君っ!」

「帰宅部攻撃スキル『持久走なぜか帰宅部が強い』」


 よしっ! 暴力君の強力なダッシュ右ストレートだっ! 俺なら即死だぜ。


「…ころっ!」

「くっ、それ邪魔ですね」


 くそがっ、あのどでかい三角定規でガードされたっ!


「ころすっ!」

「っ! 帰宅部回避スキル『夢の国に行くので、学校休みます』」


 うぉっ、暴力君が避けた床にひびが入ってる……!? 三角定規の出せる威力じゃねぇ…。っとぼーっとしちゃいれねぇ。偉大な先生様が暴力君を追撃しようとしやがる。


「帰宅部阻害スキル『黒板を掃除しない黒板係』!」

「……っろす!?」


 偉大な先生様の足元に、アロンアルフアを投げつけた。これで少し時間を稼げるだろう。


「一旦、戻ってこい!」

「はいっ」

「こ、ころす……!」


 ふふっ、そう簡単にはとれねぇぜ。最近のアロンアルフアは進化してるからなぁっ! もう数秒だけ、床と足は仲良しに離れられないぜ。


「で、どうだ。このままだと俺の文房具が無くなって、こっちが劣勢になるぞ」

「そうですね。いくら理性がなくなっても、さすがこの学校の先生です。強いですね」

「べつに倒すのが目的じゃねぇ。偉大な先生様が、俺たちを追いかけられないぐらいに弱らせたらいいんだが……」

「それすら、なかなか難しいです。ですが以前戦った時よりは、隙が多いです。もう一人、僕と同等の人がいてくれたらいけそうですが」


 暴力君と同等の戦力……。

 ここ2階だし、帰宅部のあの2人のクラスは4階だから遠すぎる。それにそもそも生徒で暴力君ぐらいの強者なんていねぇよ。このフロアにいるのは、せいぜいあの先生ぐらいだしな。


 そもそも先生の時点で、味方では…………まてよ、そういえば今日、あんなことがあったよな。


 おっ? ってことは……。



「どうしました? 雅人くん? 僕の手がどうかしましたか?」



 これを使えば……いけるか?




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