第4話 あやかし相談室inつばき通り
「だよね……。」
晶はそれほど落胆せず、むしろ納得してこの結果を受け入れていた。
簡単に口だけで友達になんてなれるわけがない。そんな想いが晶の中にあったからだ。
「これからどうしよう……。」
行く宛もなく、道端で途方に暮れてる晶に、少しずつ近づいてくる者がいた。
「こんな所に突っ立って、どないしたん? さてはあんさん、迷子の人間やろ? 」
急に声を掛けられた晶がびっくりして勢い良く背後を振り返ると、そこには赤い法被を着た男性が"浮いて"いた。
大きな手は浮いていて腕が無く、脚も無い幽霊の様な見た目をしている。
片目は角膜が二つ存在し不気味ではあったが、心配そうにこちらを見ている事が晶には伝わった。
「俺は幻っちゅうねん。よろしゅうな。
ほんで、何があったん?」
晶は今まであった事を話すことにした。
晶の話を聞き終えた幻は盛大に溜息をついて見せた。
「そりゃ、あんさん。そもそも友達になる気ないやんか。」
「え?……そんなことは無いはず……です。だって、ずっと、友達が欲しいって、思ってて……。」
「あー……いや、アイツのことなんやけどな。まぁ、あんたもか。
会って喋っただけで友達でも良いんやで? それが通じんということは、あんさんは無意識に壁を作っとる。どこか一線引いとるところがあるやろ? 今まさに俺に対してもそう。何が原因なんや?」
晶は首を横に振って、下を向いた。
「……分かりません……。」
幻は自身の頭を人差し指でトントンと叩く。
「あんさんのオーラな。頭の部分、曇っとんで。全体的に曇っとるんやが、特にそこが曇っとんのよ。トラウマがあんのとちゃうん?」
「トラウマ……。」
「心当たりが無いっちゅー顔しよるな。もしかすると自己防衛で思い出せんようになっとるんかもな。」
「……。」
「そのトラウマを克服せん限りは友達出来んと思うで?無理に思い出させるつもりはない。けど、克服せにゃあかん気がする。
これはただの俺の勘なんやけどな?このつばき通りにあんさんのトラウマ原因とそれを克服出来るヒトが居る気がするねん。
他力本願になってまうが、そんヒトに逢えるとええね。こう言った手前、俺も協力しちゃるから。」
「……探してみます。」
決意を瞳に宿した晶に「それがええ。」と幻は強く相槌を打った。
「ほんなら、『竜胆』の店主の綿貫さんなら昔からこのつばき通りに居るから、何か知ってるかもしれへん。そこに行ったらどうやろか?」
そう言って晶に道を教え、幻は去って行った。
「……行こう。」