遠くにありて思うもの
別の場所に創作パワーを使ってしまいました。。。
小休止を頂きましたが、再開です
クロッサを釣った暗い渦に釣り糸を飛ばしながら考える
今後どう動けば農場を盛り立てる事できるだろうか?
まずは手持ちを整理しよう
俺が持っている中で売れる物は
・フレンマザーの卵(今後増産予定)
・宝箱の中のアイテム
・ゴブリンの労働力
(「フレンマザーの増産を待つのが一番堅実ですね」)
フレンマザーの卵が孵って増えていけば、倍々に生産量は増加するだろう
しかしヒナがすぐ卵を産むわけではないだろうし、初めはゆっくりとした増え方になるはずだ
(「三階層目以降の宝箱に期待してダンジョンに潜ります?」)
三階層目は花のモンスターが占有してるし、出来れば行きたくないなぁ
二階層目にも宝箱はあるのだろうが、草原に隠れて屋根裏からは見え難い
一階層目は恐らく全ての宝箱を開けてしまったはず・・・
いや、そういえばダンジョン入口付近は確認してなかったな
傾向からして大した物は期待できないが、今度確認しよう
(「ゴブリンの労働力は・・・内職の斡旋とか、無理ですよね」)
そもそも農場の労働力として確保したゴブリン達だから農場の為に使うのは合っているが、うまくいくビジョンが見えない
というか孤児が斡旋できる仕事なんて格安以外ありえないだろう
糸を巻いては投擲を繰り返す
たまに糸を止めてみたり、小刻みに動かして誘ってみたり
生き物はいないだろうしあんまり意味はないのだろうけど、この動作を繰り返すだけで何故か楽しい
そういえば黒い羊から結構な量の羊毛を巻き上げたっけ
このご時世でなければそれなりの金額で売れたんだろうか
外で自分で植物の種を採取するか?
いや、ここらの森の食べ物は種だろうと採り尽くしてしまったはずだ
他ならぬ俺たち孤児の手によってな
考えが浮かんでは消えていく
巻いて投げて、巻いて投げて
まとまらない考えごと暗い渦に投げていく
(「そういえば、街ってどんな所なんですか?」)
クロッサは俺が住んでた街について聞いてきた
俺は単に街と呼んでいるが、名前は[ジョダン]という
(「カノーさんって確か[カノー=ジョダン]って名前じゃなかったですっけ?」)
もちろん俺は領主のお貴族様とは一切関係ない
ここよりちょっと田舎の村では皆[ジョダン]を名乗るのだ
街の名前を持つ事でちょっとでも都会出身っぽくしたいのだろう
逆に街で[ジョダン]を名乗る人はいない
だから皮肉にも[ジョダン]の名は田舎者の証明になってしまっている
「故郷の村から出てきた時は驚いたよ、道が石畳で出来てたんだ」
家が狭い間隔で所狭しと建っていて、中央には大鐘楼が建っていた
大鐘楼の下は広場になっており、正面が大きな領主様の館になっていた(二階建て!)
最初は物を売ったお金で安宿に泊まっていた
その余裕がなくなると、教会に身を寄せた
その間も色々な仕事をしたが、何故かどれもうまくいかなかった
周りの孤児達は仕事をどんどん決めていく
焦って色々手を出したが、結局最後まで定職には就けなかったな
皆、今も元気でやっているだろうか?
ケイメン、ジーナ、ザック、コハク、テタシ・・・
もの思いに耽っていると、釣り糸が重くなった
どうやら何かが掛かったらしい
糸を巻き上げて釣り上げると、ボロボロの小さな麻袋が掛かっていた
口を開けて手の平に中身を転がす
親指の先ほどの大きさだが、虹色の玉が入っていた
「フィッシュ・・・?」




