ダンジョン農地化プロジェクト!
今週も終わりですね
秋の気配を感じる今日この頃、このマイナー小説を読んで下さり感謝の念に堪えません
ブクマが只今9件になりました
・・・二桁にしてもいいんですよ|ω・`)チラ
無事に屋根裏にたどり着いた俺たちは一旦、一階層目のセーフルームに戻る事にした
「兎に角これで、毎日肉食計画が現実味を帯びてきたな」
(「それです!!」)
クロッサがいきなり叫んだ
普段こんなに大きな声を出す事はないので少し面食らった
「それ?それってなんだ?」
(「いつもいつもマ〇オかってぐらいにキノコしか食べていないじゃないですか!」)
「そうだな、それしかないからな」
(「次に増えても卵かお肉だけ」)
「ちょっと幅が広がったな」
フリッツは首をかしげている
(「いやいや偏りすぎです!」)
「3通りに増えたが?」
(「全然足りません!全くもって足りません!」)
「何が?」
フリッツを撫でてやった
フリッツは嬉しそうだ
(「野菜!根菜!穀物!できれば果物も!」)
どうやらクロッサは食事の偏りについて意見があるようだ
しかし、そうは言っても食べられるだけで有難いご時世だ
「知ってるだろ?そんな余裕はない事ぐらい」
(「そうですね・・・そこで!ダンジョン農場化計画です!!」)
ダンジョン農場化計画ぉ?
クロッサの言い分をまとめると以下のような内容だ
・草原があるなら野菜も育つはず!
・モップ犬やフレンマザーの部屋をちょっと借りれば農地は確保可能
・まずは芋から、果ては果物まで、行動は早いに越したことはない
「しかし、そうは言ってもまずは整地からだぞ?」
(「千里の道も一歩から!今日から草刈りでも初めてみては?」)
やれやれ、クロッサの熱意は相当なものだ
草を刈るって言ったってそこら中草だらけじゃないか
さらには植物を植えたら朝に夕に世話しなきゃいけない
そういえば宝箱から鎌を入手してたっけな
これじゃ道具がないことを言い訳に出来ないな
そういえばクワもあったな、耕す時に使えてしまう
あ~、これはやるしかないなぁ
ちょっと怠いけど、まあキノコ以外も食べたいし、仕方ないか
(「・・・なんか、嬉しそうですね?」)
・・・どうやら本心がばれているらしい
そう、何を隠そう俺には夢がある!
いつか畑を持ち、作物を育て、動物を飼い、牧場を経営しながらのんびりと暮らすという夢である
動物はフレンマザーがいる
釣りも行った
次々と夢が実現している
そして今度は作物を育てる所まで来た
ダンジョンという僻地ではあるが、夢が叶うかもしれない
しかもそれは食料危機を救う手段になりうる
心で燻っていた夢に火が灯るのを感じた
一階層目への階段に入る直前、クロッサに呼び止められた
[「ちょっと待ってください、何か聞こえませんか?」]
耳を澄ませるが、風の音がするだけだ
この下はモップ犬がいた草原の部屋となっている
それ以外の音は・・・
(「・・・水?水の音がします」)
クロッサに促されて下をのぞき込む
最初は分からなかったが、何か所か繰り返す内に俺の耳にも水の流れる音が聞こえてきた
「小川、だな」
(「ですね」)
フリッツは首肯している
なんとダンジョンの部屋の中に川が流れていた
糸のように細い水の流れだが、確かに川が流れている
「フリッツ、ダンジョンの部屋って定期的に川が流れたりするのか?」
フリッツは首を横に振った
だよなぁ、そんな話聞いた事ない
そうなると外的要因があるはずだが・・・う~ん
(「・・・地図?あの壁の中の地図をもう一度見せてもらえませんか?」)
以前クロッサが見つけたボタンを押すと現れる絵地図
もう一度ボタンを押してその地図を出現させる
(「やっぱりこれみたいですね」)
(これにそんな意味があったとは・・・)
クロッサは意味もなく回りを飛び回っている
その絵地図には石が張り付いていた
前回はその石を川よりに動かした
それがこの結果だとしたら
「農地にふさわしい場所は・・・」
(「それは・・・たぶん、三角州ですね」)
「たぶん?」
(「植える作物や洪水の危険度とかで大分条件が変わるんですよ」)
「へ~、まあいいか、具体的にはどのあたり?」
(「海と二股に分かれた川に囲まれた土地です」)
という事は・・・ここかな?
俺は石を川の分かれ目すぐ下ぐらいに設定した
わずかに二股の内側に触れるぐらいの配置だ
「うまくいけば、水やりの心配もないな」
(「そこはダンジョンの不思議パワーを期待していましたが、ラッキーですね!」)
ダンジョン農地化計画、始動!
>『真実のカンテラ』 を [初心者ダンジョン] につかう
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『冥府のダンジョン』
種類:ダンジョン
説明:
冥府へと誘うダンジョン
全三十階層
>『真実のカンテラ』はすべてをうつしだす・・・
詳細:
初期はちゃんと三十階層まで行ける割と深いダンジョンだった
しかし、アホな冒険者が魂を封じる剣をゴブリンに奪われて殺されたせいで、その魂が罠に反応
魂感知型の帰り道分断トラップが常時発動してしまい、一階層目の途中以降は侵入できなくなった
昔は近隣の街の産業を支える一大施設だったが、今となっては初心者がゴブリンを狩りにくるだけのしょぼいダンジョンになり下がった
あまりにも人が来ないせいでモンスターたちは独自の進化を行い、ガラパゴス化が進んでいる