ダンジョン屋根裏お宝巡り
「よし、フリッツ!回れ!」
フリッツはくるくる回転する
「フリッツ!お手!」
フリッツはこちらまで来て、布の端を手の上に乗せた
ダンジョンのセーフエリアにたどり着いた俺は一晩そこで眠り、屋根裏へと戻ってきた
セーフエリアの屋根裏は他の場所と違って少し明かりが強めに設定されている
さらにそこそこの広さがある為、遊ぶスペースは十分だ
朝の支度後に屋根裏へ戻る際、フリッツの事を一切知らない事に気付き、ここらで一旦遊んでみる事にした
やはりフリッツはこちらの言う事を完璧に理解している
屋根裏に戻れるかどうかという多少難解な質問にもすぐに答えてくれた
「なあフリッツ、お前はどうしてあんな所にいたんだ?」
フリッツは首をかしげている
質問の意図が理解できないのか、回答の表現方法がないのか、回答がないのか・・・
フリッツは広めの屋根裏で釣りの真似事をする際、誤って釣ってしまったモンスター(?)だ
今の所、フリッツ以外ではゴブリンしかモンスターを見かけた事はない
ゴブリンはこのダンジョンに普通に存在する為、いる事自体に疑問は感じなかった
しかしフリッツのようなモンスターは聞いた事がない、屋根裏にのみ出現するモンスターなのだろうか?
「フリッツ、屋根裏で待機してくれてありがとうな」
フリッツは喜ぶように揺れている
「フリッツ、このまま俺と一緒に来てくれるか」
フリッツは何度も首を縦に振った
猫のような見た目の癖に、非常に従順である
可愛くて撫でまわしてしまう
ふと、前から気になっていた事を聞いてみた
「フリッツ、布の下を見せてくれないか?」
フリッツが空中に静止した
一瞬、ものすごい葛藤や殺意を感じた
小刻みに震えながら俯き、徐々に裾を持ち上げ始めた
・・・なんだかすっごく罪悪感!
「すまんフリッツ!別に見せなくていいぞ!そんな嫌がるとは思ってなくて、」
フリッツはそれを聞いた瞬間に裾を持ち上げるのをやめた
本当に嫌だったんだな、もう二度とこの質問はしない事にしよう
さて、遊びが終わった俺たちは屋根裏の散策に出かける事にした
そしてすぐにダンジョンを隅々まで確認する事にした
そのきっかけは
「あれ、宝箱だよな・・・」
(「ですね」)
フリッツは首肯している
この初心者用ダンジョンでも宝箱は存在する
しかし結構な人数がダンジョンを巡る為、実際に宝箱を発見する人は少ない
が、道の真ん中に存在するそいつは自己主張ばっちりだった
もやはどや顔してる、堂々たる姿だ
もしかしたらモンスターの擬態した姿かもしれない
念のため、釣り上げてみる
暴れたらモンスターだ、暴れなければ・・・
「開いたな」
(「ですね」)
フリッツは激しく首肯している
中には[大き目な布の袋]が入っていた
まあ初心者用のダンジョンのお宝なんてこんなもんだろう
しかし、こんな主張の激しい宝箱が残っているなんて・・・
そこから今日の目標は決まった
>カノーは[青銅のクワ]を手に入れた
>カノーは[スコップ]を手に入れた
>カノーは[緑ポーション]を手に入れた
>カノーは[鎌]を手に入れた
>カノーは[鍋のふた]を手に入れた
>カノーは[ナイフ]を手に入れた
・・・
最初が布の袋で助かった
ここ、本当に俺の知ってるダンジョンだよな?
夕方になった(とクロッサに告げられた)のでセーフエリアに戻ってきた
色々な物を手に入れたが、一目で高価だと判断できるものはなかった
しかし量は十分にある
個人の持ち物なんてほとんどなかったから、ちょっとリッチな気分だ
(しかし、あそこはなんだったんだろうか?)
散策中、今までの屋根裏からは異質な場所が存在した
そこではいままで水平だった屋根裏の床が斜め下に続いていたのである
当然屋根裏の下の通路も同じ方向へ続いていた
(「やはり、二階層目なのでは?」)
クロッサが俺の思考に回答する
ダンジョンの中には階層を持つものがある
というか、普通のダンジョンは複数階層を持っている
一階層だけと言われているダンジョンはここぐらいだ
(二階層目、二階層目か・・・)
通常、一階層目より二階層目の方が危険だ
屋根裏というアドバンテージが第二階層でも通用するかはわからない
わからないが
(ここで引くのは、男じゃないな)
>『真実のカンテラ』 を [大き目な布の袋] につかう
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[布の袋(大)]
種類:アイテム
説明:
布の袋
大容量
>『真実のカンテラ』はすべてをうつしだす・・・
詳細:
特になんの変哲もない布の袋
樽が丸々入る程の大きさだが、若干みすぼらしい
以上