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全くデレない少女との同棲生活!  作者:
現実世界編
8/62

8話 『くっ! 乳首が疼く……』

* * *


「今日、ここの工場に新入社員が入ったらしいぞ」

「なんでも女性らしいぜ」


 職場の同僚達がやたら活気づいている。

 まぁ、ここの工場なんて女性作業員がい一人もいないから、浮き立つ気持ちになるのもわかる。

 しかし、この工場で働いている男どもは、俺を始めとして彼女がいない者が何人もいる。そんな中に女性が紛れ込むと言うことは、ライオンの群れに生肉を放り込むようなものだ。

 今から連中の目が血走ってヤバい気がする……


「犬伏。ちょっといいか?」


 現場を指揮する作業長から声をかけられた。


「なんスか?」

「すでに噂になっているが、今日、新しく新入社員が入った。明日には現場に合流するから、お前に新人教育を頼もうと思う。お前はなかなか面倒見がいいからな」

「わかりました。一人前に育てて見せるッスよ!」


 この現場で、俺が新人教育を任されるのは度々あった。

 面倒見がいいだの、しっかりと教えてくれるだの、中々評判がよく頼まれるわけだが、これは全部、とあるマンガの影響だ。

 新人教育に対する、熱く語るシーンがあり、マジでリスペクトすべき名シーンだと思っている。


「なかなか可愛い子だからな、惚れるなよ?」

「大丈夫ッスよ。俺、三次元の女性には評価厳しいんで」

「はっはっは! お前はマンガとかが好きだったな。……しかし実際問題、なかなかクセのある子みたいでな。なんとか頑張って教えてやってくれ」


 そう言って作業長は自分の仕事に戻っていった。

 どんな子が来るんだろうか?

 これがアニメなら新キャラ登場で一波乱ありそうな展開なんだが、この現実世界じゃ特に期待なんかしていなかった。

「くっ! 乳首がうずく……」


 チラッと忍の様子を見ながら、俺は苦しそうに胸を抑える。

 お? 忍と目が合った。


「はぁ~~~~……」


 露骨に嫌な顔をされて、深いため息を吐かれた。

 もうね、忍のことを知っている人がいたら、今の顔を見せてやりたい。

「忍ってこんな表情もするんですよ?」って一つの話題にできそうなくらい、あからさまにメンドくさそうな顔をしていた。


「目が合ってしまったので、仕方なく相手をしてあげます。どうしたんですか……」


 心底どうでもよさそうな顔で、形だけで聞いてくる。


「いやさ、服の繊維か何かは知らないけど、服が乳首にこすれて痛痒い時が男にはあるじゃん? 今がそんな感じなんだよねぇ」

「知らねぇですよ! 古傷が痛みだしたみたいな表現すんなです!」


 ここ最近、忍のツッコミが鋭くなった気がする。

 うむ、いい傾向だ!


「これってもしかして、忍の洗濯の仕方が悪いんじゃないか? ちゃんとした知識で洗濯をしないから服の繊維が傷むのかもしれん!」

「人のせいにしないでください……そんなに擦れるんならバンソウコウでも張っておいたらいいんじゃないですか?」


 乳首に絆創膏……だと……?


「忍、それ本気で言ってんの? そうしたら俺が変態みたいじゃん……」

「すでに変態枠に片足突っ込んでるじゃないですか……人にみられなければ大丈夫ですよ」

「大丈夫じゃねぇよ!! 風呂入る時とかに自分で見たら、『俺って変態みたいだ……』って落ち込むだろ! 俺のガラスのハートなめんなよ! あと俺は変態じゃねぇから!!」

「人に洗濯させといて文句言うなです! 駄主人のパンツ洗うこっちの身にもなれってんです!」


 あ、こいつ人の下着を中年オヤジと同じ扱いをしやがったぞ!

 俺まだ若いのに!


「わかったよ忍。確かにキミの言う通りだ。洗ってもらって文句なんて言えないよな。もう変な言いがかりをつけるのは止めるよ。……けどさ、忍は本当にそれでいいのか?」

「な、何がですか……?」


 忍が少し戸惑う仕草を見てから、俺は良心の呵責かしゃくを感じる作戦を開始する。


「普通さ、より良い方法があるってわかったら、それを取り入れて精進しようと思うものだろ? 忍にはそういう向上心がないのかなって思ってさ……。いやいいんだ。忍を責めている訳じゃない。ただ、無償でこの家に住まわせてもらっておいて、必要最低限の仕事で満足するものなのかなって気になっただけだから。いつも洗濯をしてもらってありがとう。細かい点は俺がフォローするから、忍は今のままでいいよ」


 俺は最後に、わざと悲しそうな表情で微笑みかける。


「ぐ……ぬぬぬぬ……だぁ~わかりましたよ! もっときちんと洗濯すればいいでしょう!? やります! やってやりますよ! で、どうすれば服を傷ませずに洗濯ができるんですか?」


 ついに忍が罪悪感に耐え切れず、自分の誠意を示そうとしていた。

 だが俺は、やっと時間になったのでテレビをつけるためにリモコンに手を伸ばす。


「忍、今から見たいアニメが始まるから少し静かにしてくれないか? あぁ、今の話は全部冗談だから気にしなくていいぞ」


 これから始まるアニメは念能力者同士の熱いバトル展開がある。忍に騒がれてはたまらないからな。

 だが、ユラリと忍が立ち上がった。その表情はみるみるうちに鬼のような形相になっていった。


「うがあぁ~! 人をおちょくって時間を潰すとは言い度胸です! 死ね!」


 殺意をむき出しにして襲ってくる忍に、俺はアニメを鑑賞するどころの話ではなくなってしまったのは言うまでもない……

今回のネタ。

HUNTER×HUNTER

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