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全くデレない少女との同棲生活!  作者:
現実世界編
6/62

6話 『忍ってさ、みぽりんみたいな髪型だよね』

 また一週間が経ち、土曜日がやってきた。楽しい楽しい二連休の始まりだ。

 さぁて、今回の休みはどんな風に過ごそうかな? どうせまた忍に掃除の邪魔だとか言われそうだからなぁ。どっかに出かけようかな? そう言えば髪が伸びたし、床屋にでも行こうかな……

 そこで俺は、ハッと閃いた。


 そうだ! 忍の俺に対する好感度チェックをしよう!

 忍は俺のことを、どれくらい好きなのだろうか……いや、どれくらい嫌いなのかと、下から数えた方が早いだろう。非常に興味深いテーマだと思う。だからこそ、それを今日、確認してみようと思う。

 ではなぜ、床屋と好感度が結びつくのか。

 これは俺の持論だが、こう考えている。


 学生の頃、床屋に行くと、よく「あ、髪切った?」などと友達に言われるだろう。

 あれは一つの好感度を計る目安になると思う。

 例えば、嫌いな人が髪を切ったところで、その人に床屋へ行ったことを話題に話しかけたりはしないだろう。そう、興味があるからこそ、その人になんらかの好意があるからこそ、髪を切ったことにツッコむのだ。

 つまり、俺が今日、床屋へ行くことで、忍がそれに触れるか触れないかで、俺に対する好感度を計ろうという計画だ。


 だが、それだけじゃ物足りないな。他に何かないだろうか……

 そうだ! 名前を呼ぶ回数もチェックしよう!

 名前というのは人を表す大事なものだ。呼ぶのは意外と恥ずかしかったりする人も多いと思う。その名前を今日一日でどれだけ呼んでくれるか、それも好感度チェックに含めようかと思う。


 興味深々で始めたこの企画にノリノリな俺は、面白半分で表を作ってみた。


ご主人様カウンター

0回~1回:好感度0。マイナスの可能性もあり。

2回~5回:まぁ普通レベル。嫌いとも好きとも言えない。

6回~9回:好感度高し! かなり好かれているレベル。

10回以上:愛しているレベル。ぞっこんラブ。かまってあげないと泣いちゃうかもしれない。


 こんなところだろうか? まぁご主人様ってのは名前じゃないし、回数もてきとうに決めたことなので合っているかはわからないが、遊びなのでこれで行くことにした。

 だけどなんだかドキドキしてきた。これで好感度マイナスと診断されたらどうしよう……地味にショックかもしれない。まぁ風呂に突撃したこともあるので、好感度が低いことは確かだと思うが……


 とにかく、俺の『忍の好感度チェック大作戦』が始まった。

 さっそく床屋へ出かけますかねぇ。


「あ、忍、俺ちょっと出かけてくるから、あとよろしくな」


 ちなみに俺は出来るだけ人の名前は呼ぶように心がけている。名前を呼ばれると嬉しい人もいるだろう。友好的な意思を示すためにも、極力名前を呼ぶようにしている。


「ご主人様どこに行くんですか?」


 さっそくご主人様カウンターが増えた。俺はちょっと驚きながら普段通りの態度を装いながら会話を進めた。


「まぁ、ちょっとドライブしてくるよ。俺が居ない方が忍も掃除がはかどるだろ?」

「そうですね。ではお昼はどうしますか?」

「家で食べる。何か用意してくれるか?」

「わかりました。では行ってらっしゃいです。ご主人様」


……おかしい、すでにご主人様と二回も呼ばれた。まだ数十文字くらいの会話しかしてないのに……

 そういえば今まであまり気にしなかったが、忍はよく『ご主人様』をためらいなく使うような気もする。まぁいいさ、どうせ俺が勝手に決めた遊びだ。このまま夜まで計ってみよう。

 そうして俺は床屋へ向かったのだった。

「ただいま~」


 床屋から帰った俺は、家に上がった。

 さぁ、忍はいつ、どのタイミングで床屋に行ったことに触れてくるのだろうか!?


「お帰りなさいご主人様。あ! 床屋に行ってきたんですか? さっぱりしましたね」


……まさかの速攻である。おまけにまたご主人様カウンターが一つ増えた。

 あれ? もしかして忍って俺のこと、けっこう好きだったりする? いやしかし……

 俺はある意味衝撃を受けながらも、作戦を続行する。


「お昼ご飯の用意できてますよ。座っててください」


 そうして昼食タイムへと移っていった。

 ここでも俺は思案する。とにかく今日は忍のデータを取らなくてはならない。それはつまり、できるだけ話しかけて、多くの会話を作らないといけないということだ。

 だが、何を話せばいいのだろう……まぁ、データ収集だし、てきとうにつまらない話でもいっか。


「いやぁ床屋でさ、今は『動きのある髪型』ってのがあるんだよな。どんな髪型だよって思ったわ」


 俺は特に深くは考えず、てきとうに話を振った。


「へぇ~。ならご主人様もそれにしてもらえばよかったじゃないですか」

「えぇ~! やだよ。変な頭にされたら恥ずかしいじゃん……」

「あはは、大丈夫ですよ。ご主人様は元々変ですから」


 他愛のない会話を忍と交わす。忍はなぜか楽しそうだった。

 そして恐ろしい勢いで増えていくご主人様カウンター。

 夕食の時間になる頃には、すでにカウンターは九回になっていた。俺は恐る恐る自分で作ったご主人様カウンターの設定を再確認する。


10回以上:愛しているレベル。ぞっこんラブ。かまってあげないと泣いちゃうかもしれない。


 ありえねぇ……忍に限って絶対にありえねぇ……回数設定を十倍くらい間違えたか?

 嬉しい気持ちがない訳ではないが、ありえなさすぎて複雑な気持ちでもあった。そんな気持ちのまま、夕食の時間を向かえた。


「さぁ、いただきましょうご主人様」


 はい、サクッとカウンター10回達成っと……それにしても忍の奴、今日は全然怒ったりしないな。なんでだ?

 俺は考え込む。そして導き出された答えは……


 まさか、俺がアニメネタを振ってないから!?


 そういえば今日はデータ取りで頭がいっぱいで、いつものアニメネタを全然使っていない……まさか……忍の機嫌がいいのってそのため!?

 俺は動揺を隠しながらさらに考える。

 と、とにかく、今日、忍の機嫌がいいのは間違いない。このままの状態で今日を過ごそう。たまにはアニメネタを振らずに、二人でニコニコ笑って一日を終えるのも悪くないだろう。

 そうして俺は、昼間同様に何を話題にしゃべるかを考えた。

 アニメネタ以外で、普通の話題……

 だが、意識すればするほど、何も浮かんでこない。

 なぜだ!? 昼間はてきとうな話で過ごせたじゃないか! なぜ今になって浮かんでこない!?


「あ、あのさ……忍……」

「はい、どうしたんですか?」


 俺は無理やり言葉を口にする。自分で自分を追い込む。

 普通の話題。普通の話題。普通の話題。普通の話題。普通の話題……


「し、忍ってさ、みぽりんみたいな髪型だよね……」

「みぽりんって誰ですか!? またアニメキャラですか!?」


……結局、この日も俺は忍を怒らせたのだった。


 今日のカウンター結果。

 ご主人様カウンター:14回。

 駄主人様カウンター:2回。

今回のネタ。

ガールズ&パンツァー

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