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全くデレない少女との同棲生活!  作者:
現実世界編
4/62

4話 『お風呂に侵入してきた人の何を敬えというのですか!?』

「あ、忍、そこの醤油取って」


 二人で夕食を食べながら、俺は忍の近くの醤油を指差した。


「……」


 忍は無言のまま、横に置いてあるマジックハンドを手に取ると、それで醤油を摘まみ、俺に近寄らないように差し出す。


「……俺は猛獣か」

「ケダモノと認識しています……」


 どうやら昼間、風呂場に入って騒動を起こしたことをまだ根に持っているらしい。


「だから何度も謝ってるだろ~? 悪かったってば! そもそも大事な所を見られたのは俺の方なんだから、そんなに怒んなよ~」

「あ~!! 思い出させないでください! ご飯が不味くなります!!」


 ひでぇ。そんなグロ画像を見たような態度を取らなくたって……

 しかし、それでも夕食の準備をしてくれる辺り、なんだかんだでやるべき事はちゃんとやってくれている。

 ここは俺も誠意を見せなくてはならない。


「忍、明日、買い物に行こうぜ? キミの好きな服をなんでも買ってやるよ」

「!!」


 ようやく忍が興味を示すように、ピクリと反応した。


「……いいんですか?」

「いつまでも俺のTシャツってのもアレだろ? 女性用の下着とかも買わなくちゃいけないし。今日のお詫びも兼ねて、明日の日曜日に買いに行こうぜ」


 パァっと忍の表情が明るくなった。

 ようやく少しは機嫌を直したようで、俺はなんだかホッとする。


「だけど、外で『ご主人様』は止めてくれよ? 周りから変な目で見られるからな」

「なら、なんて呼べばいいんですか?」


 忍は小首を傾げている。そこから教えないといかんのかと、俺は少々言葉を失った。


「ん~、普通に苗字でも名前でも好きに呼んでくれよ。『犬伏いぬぶしさん』とか、『こう君』とか」

「じゃあコウで」

「呼び捨てかよ!!」


 『ご主人様』の次の呼び方候補が『呼び捨』てってどういうことだよ! こいつマジで俺のこと敬う気ゼロじゃねぇか!

 アレだ。多分『ご主人様』ってのも、そう呼べば俺が振り向くからそう呼んでるだけで、結局俺が振り向けばなんでもいいと思ってるんじゃないか?


「あのね忍サン、この国では年上を敬う風習があるんですよぉ。自分で言うのもなんだけど、呼び捨てはやめようぜ?」

「そんなの知ってますよ。でもほら、私って記憶無いじゃないですか? もしかしたらご主人様と同じ年齢かもしれないですよ?」

「ねぇよ!! どう見たって十代だろ!! まだ成人もしてねぇだろ!!」


 俺は全力でツッコむ。その幼い容姿で俺と同じ二十五歳とはボケもいいとこだ。


「ひ、人を見かけで判断しないでください! ご主人様よりも私の方がしっかりしていると思います!」

「なにを~! 胸だって全然発育していない断崖絶壁のスットン共和国じゃないか!」

「なら言わせてもらいますけど、そんな私の身体を見るためにお風呂に侵入してきた人の何を敬えというのですか!?」

「おい! 誤解するなよ? 俺は別にお前の体になんか興味はない。あくまで忍をイジるために侵入したまでだ!」

「超絶迷惑なんですけど!? 言っときますけどセクハラですからね!」

「まぁ、巨乳よりは貧乳の方が好みなのは間違っていない。どこぞの女子高生も『貧乳はステータスだ。希少価値だ』って言ってるしな」

「知らねぇですよ!!」


 俺が何を言おうと、もはや言い訳にしか聞こえないだろうから早々に諦めることにした。


「もういいよ……呼び捨てでもなんでも好きに呼べばいい」


 俺がそう言うと、忍は言葉に詰まったように黙り込んだ。

 そして少し俯き、何かを考え込んでいる。俺がこの不毛な争いから引いたことで、勢いを失ったのかもしれない。


「わかりました。ここは私も百歩譲って、『コウちゃん』で妥協することにします」


 ご主人様からコウちゃんか。どの道、落差あるなぁ。

 しかし、小学生の頃にそんなあだ名で呼ばれていたことがあった。なんだか懐かしいし、それもいいかと俺は思う。

 だが、百歩譲ってって……それほどまでに俺の威厳は損なわれているのだろうか……いやまぁ、泣かせちまったし当然か……


 そんなこんなで、俺達は明日、買い物に出かけることになった。

今回のネタ。

らき☆すた

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