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ロード・オブ・ロード  作者: トッキー
2/3

1話 2章

・二章


 踏み込んだ神殿は外よりいくらか涼しく感じた。

「わーきれいだねー」

 肩に乗る[獣の影]クロが感嘆の声を上げる。

「そうだね、20年前から劣化せずに止まってたはずだから」

 外套をまとった黒髪の少年、タクトが答える。

 緊張しているのかいつもより味のない返答になってしまっている。

「もーそういう意味じゃなくてー」

 少年よりも物事の情緒に関心のある影は不満を漏らす。


一本道の廊下を抜けるとそこはホールのような場所になっていた。

その中央に金属の人影が背を向けて佇んでいた。


 その人影がこちらに気が付いたのかこちらに向き直った。

「ついにこの時が来た」

 その言葉は目の前の人影から発されたものだが、想像していたよりもずっと若い音色をしていた。

その全貌はプレートアーマーをまとったタクトとそう歳の変わらない少女であった。

異質であったのはその少女が鎧をまとっていること、そして身の丈ほどもある大盾と身の丈を超えるほどの斧槍を携えていたことだろうか。


タクトは緊張した面持ちで口を開く。

「あー、あんたが鍵の守護者のマリナさんでいいのかな?」

マリナと呼ばれた少女は口を閉ざしたままタクトを見据えている。

「最初に言っておくが、あんたとことを構えるつもりはかけらもない」

これにも相手は無反応。

タクトは嫌な予感を抑えつつ根気強く話しかける。

「俺は王国の・・・何と言うか、使者だ。そう使者」

 相手の沈黙に対して歯切れ悪く話す。

「あんたへ親書を持ってきた。鍵と一緒に王宮へ来てくれ」

端的に要件を話し終えたタクトは口を閉ざし少女を見据える

(お願いだからいうこと聞いてー汗)

 そう願いながらタクトは少女の返答を待つ。

 少女がようやく口を開いた。

「言いたいことは、それだけ?」

少年はその言葉の裏を理解し、青ざめる。

「えーと、お互いに誤解があるようだから、話せばわかる!なっ!」

少年が叫び終えるのを待たず少女が地をける。

「問答無用、私は私の使命を果たす」

少女は足を緩めず少年に向かって斧槍を突きだす。

少年はすんでのところで横に跳びそれを回避する。

「やめろ馬鹿!戦う気はないって言ってんだろ!」少年も命を狙われ地がでてくる。

一方少女の方はというと、斧槍を地面に突き立ていぶかしげに手をグー、パーしている。

「力、弱くなってる。足も遅い・・・」

そんな少女に少年は語りかける。

「封印に欠陥があったんだとよ、鍵と一緒に封印された守護者の力が落ちてるって」

少女がタクトに顔を向けた。

「なんでそんなこと知ってるの?」

「他の場所の守護者がやられたんだよ、つまりあんたも狙われてる。わかる?」

「襲われた神殿の鍵は?」

「奪われた」

「そう」少女の目に火が灯ったような錯覚に陥った。


「私は大丈夫。あなたは帰って」

タクトは少女の言葉の意味が理解できなかった。

「姫様と約束したの。鍵を守るって」


「はぁ?」

少年は理解できずに問い返す

「いやいや、おかしいだろ。守護者に不足があるから呼び戻されてるんだろうが」

少年の言葉にも棘が出てきた。

「かちん、それ、私じゃ鍵を守れないいていうの?」

「最初からそういってるんだよ!鍵を奪われる前に王都で鍵を回収するって手筈なんだよ」

それきり少年と少女がだまる。


先に口を開いたのは少女だった。

「わかった、そこまでいうのなら私を倒して鍵だけ持っていきなさい」

「どうしてそうなるんだよ」イラつきながら少年は答える。

「あなたのことを信用に値しないと考えるから。そして私の存在理由だから」

「はぁ?」

「私は魔王が起こした悲劇を繰り返さないために、そのためだけに本来の未来を捨ててここにいるの」

「っ!」

「鍵を守れない私なんてこの世界に必要ないの、そのためだけの存在なのだから」

「・・・それも姫さんとの約束だからか?」

「そうよ」

タクトは一つため息をついた。解決の糸口が見えたからだ。

「おまえなぁ、その姫さ「パちぱちぱち!」

!?第三者の介入


「いやぁ、素晴らしい。やはり守護者とはかくあるべきですねぇ」

ねっとりとした口調の男がホールの入り口に立っていた。


「おっと失礼、わたくし旅の司教をしておりますゲラールと申します以後おみしりおきを」

恭しく礼をする。


「大変申し訳ありませんが、守護者の方とそのおつきの方には死んでいただきたく存じます、ええ」


二章おしまい


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