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第2話 生徒会へ2

ヒロインは五人と決めておったのだよ!


※作者の妄想大暴走

※取り敢えずヒロイン化がしたかった。

※取り敢えずチョロい

「うぅん、ふにゃ」

「起きましたね」

「………綺麗だにゃ」

「ありがとう//」

「にゃむ」

「あんっ//」


 は?取り敢えず爆ぜろリア充。……と、心の闇が出てしまった。

 アカツキが寝惚けながらソフィアを見て溢す。そして、意外にも赤面したソフィア。アカツキはまだ寝惚けているのかソフィアの腰に抱きつき、ソフィアが艶かしい声を出す。まじ、一回死んでこい。


「むにゃむ」

「あっ//」


 おい、何処に顔擦り付けてんだ(因みに言っておくと丁度臍の下辺りである)。



 数分後


「すいませんでしたっ!」


 アカツキがソフィアに土下座していた。正気に戻ったようで良かった。あのまま続いていたら幾つかの壁に穴が開き、アカツキが何者か(『玉』で始まり『ー』で終わる人)に殺害されていただろうから。


「一つまでなら出来る範囲で何でも言うこと聞くんで赦してくださいっ!」


 そんな事を考えている間にアカツキは然り気無くとんでもない事を抜かしている。これ、やろうと思えば世界を獲れるのだがこの男は気付いているのだろうか。いや、気付いていないだろう。この男が今脳内で考えているのは「先輩にあんな事してしまった、本当にすいません」という意外とマトモなことだ。


「わかったから頭を上げて、アカツキくん」


 そんなアカツキにソフィアは優しげな声で促す。アカツキは一瞬ビクッとしてから頭を上げる。


「ところでアカツキくん?言うこと聞くってどういうことかしら?」

「はい、出来る範囲で言うことを聞かせていただきます!例えば龍の従魔が欲しいと仰るなら終焉の島から持ってまいります!」

「それは……迷惑を掛けたと思ったら誰にでも?」

「いえ、別に。先輩だからですよ。打算やら何やらを考えず接してくれてるし」


 アカツキはソフィアの問いに答える。さて、このバカは『貴女だから』的なことを抜かした。これ、ラブコメなら確実に堕としにいく台詞だ。まあ、このバカはそんな事を考えてもいないのだろうが。因みに打算やら何やらとは貴族特有のアレのことである。媚び、嫉妬、罠などだ。


「そういう演技かも知れませんよ?」

「演技してる人はそんな事は言わないし、俺は心が読めますから関係ないですね」


 アカツキは自信満々で言う。うん、確かにその通りだ。それと言っておくとアカツキを悲しませた場合天誅(割りとマジなヤツ)が下る。具体的にはこの世界の某女神様などが雷ドーンってやったりなどだ。また、これは噂に過ぎないがダオルーク王国の某侯爵家に天誅を下そうとしている女神がいるらしい。


「それじゃあ、言ってください。世界征服とかは承服しかねますが」


 意外とアカツキも考えているようだ。

 そんなアカツキにソフィアは少し考えてから言葉を紡いだ。


「じゃあ、『責任を取って』」

「責任?」


 ソフィアの答えをアカツキは繰り返す。


「責任って、まさか!?」

「私との結婚です」

「うん、無理です。他のにしてください」


 アカツキは即答する。流石は他国の王女との婚約を叩き潰した男だ。異世界に来て、二度と会えない許嫁に未だ一途である。いや、まあ桜花との事も認めたので正確に言えば一途ではないのかも知れないが。

 だが、それがあったとしてもアカツキが現在行っている事は勿体無い事極まる。超絶美女と結婚というイベントをスルーするなど本当に勿体無い。


「それは……私に魅力が無いということですか?」


 ソフィアがアカツキの答えを聞いて、悲しそうな表情で言う。そんな表情をしていても美しいというのだから世の中は不平等である。


「いえ、そういうことではないです。ただ……俺の我が儘、俺がこの世界にいても思い続けている奴がいるからです」


 アカツキは遠い目をして答える。その脳裏には彼女達の顔が浮かんでいるのだろう。


「もう二度と会えないのは分かっている、けどそれでも俺は忘れられず、他の女を思えない。それだけです」


 アカツキはソフィアにはっきりと伝えた。それこそ、自分のルーツが分かる可能性もあるのに。

 アカツキ自身、何故そこまで言ったのか分からなかった。何でこんなに細かく言ったのか、何故彼女達のことを話したのか。

 そして、一瞬のウチに答えが出た。


「似ているんだ」

「え?」


 似ている。

 アカツキはそう言った。なら、いつからそう思ったのだろう。今日だろうか。いや、入学式の時からアカツキは心の奥底でソフィアに彼女達のことを重ねていたのかもしれない。

 そして、それが表出し彼処まで言ってしまったのだろう。

 似ているがために、詳細まで。似ているがために、了承ができない。アカツキは死などから逃れている代わりに自身の心によって誰よりも強く鎖で拘束されているのかもしれない。

 アカツキはソフィアの心を読んだ。その結果、打算や策略無しに言っているとも分かっている。いや、それどころか本心──恋心さえ抱かれているのも分かった。何故かは分からなかったが。


 アカツキは前世──地球では心を読めるとまではいかないが考えている事を正確に察することは出来た。これはアカツキに宿る異能を理解していれば現在と同じことが出来たことを意味する。

 そして、アカツキの家である結城家はあまり知られてはいないが日本有数の名家であり、平等だなんだと言っている日本や世界においてもトップの大家である。それこそ国連とも対等に話も出来るし、経済すらも融通を利かせられる。例の機関ですら結城家が主となり動き、方々に散っていた専門家を招き、非科学的とも言える怪異の存在を各国に納得させ設立させた。

 勿論、そうなると結城家の財産も相当な事となる。そして、そこに必ずと言っていいほどに湧くのが結城家に取り入りたい者や結城家を牛耳りたいものである。それは結城家の分家にも言えた。

 罠、謀略、打算……アカツキはそれこそ幼少の頃からそれに触れてきた。そして幼児とは思えない頭脳でそれをかわしてきた。

 また、謀略等が原因でアカツキは妹と共に住むことすら出来なかった。結城の分家であり、分家でも最高の力を持つ結城の守護の一族である桜巳家に妹は預けられたからだ。

 また、信用できる神薙家とも顔を繋いだ。

 そして、その二つの家で出会った少女達とその家族はアカツキに、そういう視線や行動をしなかった。

 9歳にして既に世の中の汚い部分を見ていたアカツキにはそれが何よりも眩しかった。そして、その時だろうか、恋というのをアカツキが体験したのは。


 これがアカツキの心を鎖で拘束しているのだろう。

 自分を救ってくれたとも言える二人を裏切るのか?と。そんな本心から好いてくれた二人に対してお前()が抱いた感情は嘘だったのか?と。アカツキは器用であり不器用なのだろう。初めて恋心を抱いたのは二人の少女。しかし相手は一人しか認められず選ぶしかない。そんな中で彼は選んだ。もう一人の少女への思いを光すら漏らさない頑丈な匣に入れて。だが、いきなりその匣を開けることが叶うかもしれない事が起こった。そして、匣を開けることは叶った。アカツキは二人に溢れる思いをぶつけた。

 しかし、それも長くは続かなかった。

 そして、異世界に来て、思いを寄せられていると知っていながらアカツキはそれに触れて……いや、触れられなかった。そして、貴族となり、前世と同じことが起こるのである。

 アカツキは強くて……そして弱い。特に自分の心に。幼少期の厳しすぎる鍛練も止めたいという心を潰し、壊し、続けた。自らに向かってくる謀略や打算や偽りの優しさすらも叩き潰し、壊し、切り裂き自身の心を守った……そう、思っていた。いくら幼少から成熟したと言える頭脳を持っていても、心はそうはいかなかった。把握していなかったのか、それとも分かろうとしなかったのか、アカツキの心は意外にもボロボロになっていた。

 それを癒したのは二人の少女。二人のお陰でアカツキの心は超回復の如く強くなった。しかしそれでも続く嵐に少しずつ心は削られていった。数年後には例の事件によって傷つけられた。

 異世界に来て、それも修復していった。

 しかし、貴族となった。そこから始まるのは前世のアレ。

 気付いていなくとも心は削られいく。この世界にアカツキの心を癒せる少女達は居ない。


「似ている……本当に」

 

 アカツキは恐れている。それは気付いていないかも知れないけど。偽りの優しさを向けられることを、自分のせいで例の事件の様に何かを失いそうになることを。……そして、自分の心が壊れてしまうことを。


「あ…」


 そのせいだろうか?

 アカツキは知らぬ間に涙を流していた。そんなアカツキをソフィアは抱き締める。


 アカツキは強い。だが、その心は意外にも弱い。

 自らの悲しさを自らに隠してきたがためにそれに気付かない。

 誰にでも愛されたいとは思わなかった。それでも誰かには甘えたかった。だが回りにいたのは打算にまみれた大人だらけ。

 そして、その強さのあまり誰にも甘えることは出来なかった。たとえ、癒されることはあっても。そして、甘えられる相手が居たとしてもその前に自らの心に気付かなかったために。

 アカツキの心は歪に成長していたのかもしれない。幼少期に甘えられる相手が居なかったために。気付かなかったために。


 アカツキは誰かに抱き締められることなど無かった。自分が抱き締める側だったから。

 そして、ソフィアに抱き締められ、アカツキの心は少しでも癒されたのだろうか。歪さは歪みは直ったのだろうか。


「大丈夫です」


 アカツキの心の奥底にある事をわかった訳ではないだろうが、ソフィアはアカツキにそう囁いた。アカツキは一瞬体を震わせてからソフィアの体に腕を回す。


 アカツキの心にソフィアが癒しを与えた瞬間かも知れない。

 鎖が緩められた瞬間かもしれない。それは、ソフィアが彼女達と同じ存在になっという証拠である。







 どれだけそうしていただろうか。

 アカツキはソフィアから離れると、彼女を見つめた。


「それが、貴女の願いですか?」

「はい」


 本心からそう思っている。


「なら、他の事にしてください」


 アカツキはソフィアに言った。


「そんな事無しに、一緒に居てほしいですから」


 ここまで、落ち着いてきたが、言わせてもらおう。

 君、チョロい上に女たらしの才能ばっかだな!


「ダメですか?」


 うん、マジ一回死んでみる?

 アカツキはソフィアから目を逸らさずに言う。

 ソフィアはそれに対して首を横の振ると


「よろしくお願いします」


 と言った。

 うん、リア充爆ぜろ。


「はい、よろしくお願いします。それで、願いは何にしますか?」

「じゃあ、生徒会に入ってください」


 アカツキの顔が絶望に染まった。ザマァ。






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