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第??話 暁の想い人と親友とあの子と会長

燃え尽きました。


それとちょっとした過去の話とかです。


分かりにくい話になってます。


12/17 台詞を追加



 〓???〓


 2週間前


「ーー、………落ち着いて聞いてくれ。………暁君が亡くなった」

「………え」


 私はお父さんが言った事が分からなかった。

 暁が死んだ?有り得ない……あの暁に限ってそれは有り得ない……

 お父さんが冗談で言ってるに決まってる。


「じ、冗談だよね?そんな事あるわけ無いよね?」

「…………本当の事だ」


 嘘、嘘よ。暁が死ぬわけない。


「子供を庇って車に轢かれたらしい…………」


 子供を庇って?


「……その子供は?」

「無事だったそうだ……」


 何で?何で暁は子供を助けたの?

 私はそんな事で暁を失ったの?

 ………でも、何処かで私は納得している………

 だって暁だもんね………自分が恐れられようとも誰かを助ける

 そう考えるといつかはあり得る事だったのかも知れない。

 だったら、私も暁の様に強く生きよう。


 でも、


「………うっ、あう」

「ーー……」


 ごめん、少しだけ………弱いままで居させて。



 現在


「あ、やっと来たー!

 どうしたの、ーー?ずっと学校休んでて心配したんだよ?」

「やあ、ーー。どうしたんだい?何かあったのなら相談してくれて良いんだよ?」

「そうだよ、ーーちゃん」

「三人の言う通りだぜ、桜巳(・ ・)


 みんなが声を掛けてくれる。

 でも、今私が話をしたいのは皆じゃない。

 私の予想通りなら先輩にも連絡があるはず。


「桜巳、居るか?」

「あ、不動先輩、桜巳さんなら彼処に」

「すまんな」


 あ、不動さん。


「桜巳、大丈夫か?」

「先輩、ーーが大丈夫とは何が?」


 不動が心配している。だけど、ーーが不動さんに質問をした。なんなの?いつも名前で呼んでくるけど………気があると思ってるの?私が好きなのは……いや愛しているのは暁だけなのに。今までもこれからも。


「大丈夫です、不動さん」

「そんな風には………いや、すまん。なら良いんだ」

「はい……でも不動さんも辛そうですよ」


 不動さんも暁と仲が良かったから………

 ほら、やっぱり辛そうだ。


「まあ……な。俺も相当キてるさ。

 でもやっぱりアイツらしいと言えばその通りだと納得してしまったしな。

それと………咲良ちゃんは?」


 ああ、やっぱりこの人も同じだ。

それと、咲良………暁の双子の妹。彼女はまだ、私の家で寝込んでいる。


「咲良はまだ……」

「そうか。っと、少し話すぎたな、邪魔をしてしまって済まなかった」

「いえ」


 そう言って不動さんは立ち去った。


「おっと、言い忘れていた。

 2週間後に太刀高から交換生徒がくるらしいぞ。もしかしたら話が聞けるかもな………」


 そう言い残して。


「交換生徒?」

「私、知ってるよ。太刀原高校とこの学校の生徒会の生徒が交換で授業を受けるんだよ。

 それで、ここに来るのが……たしか、生徒会長のーーーグループの令嬢さんと副会長の超絶美少女と庶務のなんだっけ?何とかっていう文芸コンクールで優勝した小説家志望の人だったよ」

「そうなんだ」


 もしかしたら暁の事を知ってるかも知れない。私はそう思った。


 それに一人だけ心当たりが有ったしね。



 ◇◇◇◇◇

 〓大智〓



「え?暁が亡くなった?」

『ーーーーーーーーーーーー、ーーーーーー』

「そうですか、分かりました。」


 暁の家との電話を切った俺は自分の部屋へと向かった。


「なあ、嘘だろ?………嘘だと言えよ、暁!」


 暁が死んだ。それは俺の心を乱すには十分すぎた。

 結城暁──俺の人生で一番の親友であり、憧れた男が死んだ。それは受け入れがたかった。




 元々北海道に住んでいた俺が此処に引っ越して来たのはちょうど高校の入学式の1週間前。そんな時期に来た理由は親の仕事の関係で来たというのもあるが俺が虐められてたというのもある。

 あれは何が理由だったけな?

 そうだ、嫉妬。ただ、それだけだった。

 学校で一番可愛い娘に告白された。それが理由だった。いや、それだけが理由かと言うと違う。

 俺が断ったからだ。

「ごめん」

 このただ、一言で。

 そして、これを隠れて聞いていた奴から拡がって俺への虐めが始まった。俺を虐める奴の言い分は皆、「お前が彼女を泣かせたから悪い」「彼女に告白されるとか何様のつもりだ」「告白されたのに振るとかサイテー!」だった。俺の何がいけないというのだろう。確かに「ごめん」この一言で断ったのはダメだったかもしれない。それでもここまでされる意味があるのだろうか?いや無かっただろう。

 そして、この虐めは卒業後も続くだろう。そう思った時だった。両親が引っ越す事になったがどうする?と聞いてきたのは。俺はその時迷わずに一緒に行くと答えた。

 そして、太刀原高校を受験する事にした。


 そして、その時俺はある本の台詞を思い出しあることを決めた。

「データベースは答えを出せない」

 だったか、俺はデータベースではない、しかし、観測者にならなれる。ならば俺はこうしよう。

観測者()は答えを出さない(・ ・ ・ ・)

 これでいい筈だ。

 俺は観測者。関わるが深くは無く、そして主観ではなく客観的に観る。そして、記録をするだけで答えは出さない。


 こうすれば俺は………同じ事にならずに済む。



 だが、この決意はすぐに砕かれた。

 ──暁と出会った事によって。


 引っ越して来てすぐ、俺は不良に絡まれた。

 金を出せばすぐに見逃すかもしれないがさらにやられる可能性もある。抵抗すればさらに………。この時点ですでに俺の心は金を出す方に傾いていた。

 しかし、それと同時に

「このままだと前と同じ事になるかもな」

 とも思っていた。だが、行動に移そうにも何も出来ない俺の心は変わらなかった。

 そして、その時にアイツが来た。


「おい、何してんだよ。カツアゲか?下らない………働いたらどうだ?」


 もちろんそれを聞いた不良はキレた。


「何だコラァ?」

「何だコラァって言われてもな………働けって言っただけだろ?

 ポケットに手を突っ込みながらチ〇コいじってる暇があるなら?」

「テメェ、ふざけんのか?あ”ぁ?」

「ふざけてるわけねぇだろ、不能野郎。それにテメェらの穢い手で触られてるソイツが可哀想だわ」

「ぶっ殺すぞ!」

「あー、はいはい。どうぞ御勝手に。

 テメェらが俺を殺せる技量と覚悟があるならな?」

「そんなに死にてぇなら、ぶっ殺してやるよ!」


 ソイツはさらに不良を挑発した。挑発された不良はナイフを取り出すとソイツに切りかかった。

 しかし、ソイツは


「うーん、0点かな」

『ドカッ』


 その不良のナイフを避けると殴った。他の不良もソイツに殴られ投げられ、踏まれと全く攻撃が当たる事無く倒れていった。


 そして、ソイツは俺のところに来る大丈夫か?と聞いてきた。

 俺はソイツに答えるとソイツは名乗った。


「俺は結城暁、お前は?」

「俺は河東大智だ、ありがとな」

「いや、気にすんな。それに入学前から知り合いが出来て良かったし」

「ん、どういう事だ?」

「お前、太刀原入るんだろ?入試の時も、居たし、今も制服持ってるし。俺もなんだよ」


 それが暁との出会いだった。

 そして、俺はコイツとなら深く………それも親友と呼ばれるヤツになれそうだと思った。

 そして、その時からあの決意は消えていたのかもしれない。学校ではクラスの皆と仲良くなれたし、客観的に観るとか言っていたが無理だったし。

 それに暁によって俺の目指す場所も出来た。

 そんな時にあの事件が起きた。

 俺はあの時暁がまるで物語の英雄になったかの様に見えた。


 弱きを助けるそんな英雄に。


 だが、同時に脆く見えた。その強さを恐れられ、裏切られる悲劇の英雄の様に。


 そして、それは現実に起きた。

 あの事件のせいでクラスの中心に居た暁は居なくなり、力を恐れられる英雄の様になった。だが、それでもヒロインは居た。それを見た俺は思った。


 英雄を癒すのはヒロイン(聖女)の役目、ならば俺は観測者等ではなく、英雄を最後まで助ける戦士(しんゆう)となろうと。







 いつの間に寝ていたんだろう。

 だが、そのお蔭で懐かしい夢も見れたし、やる事も見付かった。


 暁、お前が居なくなったのは言葉では言い表せない程に悲しい。

 けど、俺はお前の親友として強く生きる。


 だから見とけよ。




 そして、翌日、俺は交換生徒に選ばれた。





 ◇◇◇◇◇

 〓三枝雫〓


「うそ、結城君が………」






















「う、ん?」

「目を覚ましたのね」

「会長?あれ……ここは?」

「ここは保健室よ。いきなり倒れたのよ三枝さん」


 なんで保健室に……倒れた?なんで?


 …………そうだ、結城君が亡くなったって………


「か、会長、嘘ですよね?」

「な、何の事?」

「結城君が亡くなったって…………さっき校長が……」


 私は今にも消えそうな声で質問した。


「………本当よ…………」


 会長は震える声で私に答えた。


 うそ、うそうそうそうそうそうそうそうそうそうそうそうそ


「え、嘘……そんな……いや、いやぁぁぁ」

「落ち着いて!三枝さん!!」


 会長が叫んでいる。

 私は意識はそれを聞きながら沈んでいった。





 結城暁君───私を助けてくれて、私が恋して、そして居なくなってしまった。


 いつからだろう?彼を想ったのは?

 入試の時?合格発表の時?河東君を助けてた時?ラウ〇ド〇ンで偶然会った時?それともあの事件の時?


 いや、すべてだ。


 初めて見た時にカッコいいと思った。

 河東君を助けてた時も同じく。

 あの事件はその姿をたくましく思い、そして何処か儚げに見えた。彼の事はずっと想っていた。だけどやっぱりあの事件の時からはさらに想い始めた。その儚げで脆く見えるたくましい姿を支えたい、癒したいと。



 結城君は子供を助けたんだよね。


 私はずっと結城君を支えたい癒したいと想っていたんだよ。だけど、それが出来ないなら私は結城君にもらったこの命を使って、結城君みたいに皆を助けるよ。


 だからね、もし天国で会えたら、私は結城君を助けるね。












「んん、」


 もう4時になってる。


「三枝さん、起きたのね」

「会長」


 少しすると会長が来た。

 たしかこの人も結城君の事が好きだったのよね。


「三枝さん………」

「ご心配お掛けしました」

「いえ、でも何処か吹っ切れた様な顔をしてるわね」

「はい、目標が出来ましたから」

「そう、なら1つお願いがあるわ」


 お願い?何だろう?


「三枝さん、あなたに交換生徒になってもらいたいの」

「ああ、例のあれですか」

「そう、実はもう行く人は私と河東君は決定してるの。けど、二年生が居ないうちの生徒会は一年から二人出さなければいけないの」

「それで、私なんですか。でも何で?」


 なぜ私なんだろう。そう思った。他にも役員はいるのだから私でなくてもいいはずなのに。


 しかし、この後の会長の言葉は私を決意させるには十分すぎた。


「それはね、向こうの学校には……暁君の知り合い──いえ、許嫁がいるの」

「行きます!」








 ◇◇◇◇◇


 〓会長〓


 私が暁君と初めて会ったのはいつだったかしら?

 でも初めて会った時、すぐに好きになったのは覚えている。何よりも強さを感じさせる体に隠された内面の儚さと脆さに気付き、私は守りたいと思った。その時はまだ弟に対するようなものだったのだろう。

 あの時までは。


 今年度の太刀原高校の入学式、そこに暁君がいた。彼は気付いている様だったが、私の立場を知ってか話掛けては来なかった。しかし、私は暁君を見てずっと感じていた感情が何か別のものに変わった事に気付いた。


 そしてその日、暁君で初めて私は自慰をした。





 そして、暁君が亡くなったと聞いた時、私は慟哭した。何も分からなくなるほどに。


 そして、夢を見た。

 暁君がどこかにいる夢を。そこは地球では無いようだった。暁君がいたのは王の部屋の様な場所。しかし、私がそこに行き、暁君に触れる事はできなかった。


 場面が変わった。そこではパーティーをしていた。

 暁君はそこで《黒魔乃剣神》と呼ばれていた。誰かが小声で『救国の英雄』『悪魔殺し』と言っていた。


 翌日、目が覚めた私は夢を、見ていた事は覚えているが内容を覚えていなかった。

 それでも、暁君が近くにいるような気がして、頑張ろうと思った。










さあ、例のあの子と久々の大智と雫さん、そして、プロローグ2に言葉だけ出てきた会長さんが登場です。


そして、1つのキーワード『交換生徒』。

これがどう作用するか楽しみにしていて下さい。


まあ、予想は付くと思いますが。

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