第25話 「結婚?俺は好きな人が居ますから」
「ハンスさん、お疲れー」
「おお、アカツキ君か」
アカツキはハンスの所へ来ると声を掛けた。
「アカツキ君、さっき何をしてたんだい?」
「さっき?ああ、あれか。羽虫が五月蝿かったからエサをちらつかせたんだよ」
ハンスはアカツキに先程の貴族とのやり取りについてアカツキに訊ねた。アカツキはそれにふざけて返した。それにしても他の貴族が近くに居るのにその言い方はどうなのだろうか?
「エサ?」
「そう、エサ。違法取引に犯罪行為とかの資料。誰が関わってるとかの」
「「「!?」」」
「(反応したのは13人。意外とわかり易いな。内訳は貴族派12人に国王派にいる貴族派のスパイ1人か。…………成る程ね、半数が俺の暗殺を今考えたと。─────ライトセーバー使う機会あるか?)」
アカツキはさらにエサを撒いた。そのエサで釣れたのは近くの居た貴族の凡そ半数。そして、アカツキの企みを完全とは言わないが感付いたのはハンスと共に居る国王派のマッチョ貴族と3人程の貴族派の貴族。3人の貴族は凡そ半数を実験台にするつもりのようだ。
「ところで、その人を紹介してくださいよ」
「ん、ああそうだね。此方は
「クロウ・エル・モールだ。宜しく頼むぞ、剣神殿」
だね。一応侯爵で軍務卿だよ」
「それと学園からの腐れ縁だな」
「宜しくお願いします。モール侯爵」
アカツキはハンスと共にいたマッチョの紹介を頼んだ。一応初対面なのでアカツキも丁寧に話をしている。
だが、
「アカツキ、軍に入らないか?」
「いやー、やる気ないわー。それよりクロウ、胸筋で服がはち切れそうだぞ?」
「ガッハッハ!このmybodyは自慢だからな!特に胸筋はな!きっとコイツが出せと叫んでいるんだ!それにしてもお前も中々いい筋肉してるな」
「褒めるなよ」
数分で打ち解けていた。
そして、そこへハンスが爆弾とまではいかないがフラッシュバンを投げ入れた。
「ところでアカツキ君?婚約とかの相手はどうするんだい?」
「は?婚約?」
婚約─結婚。つまりキャッキャウフフのイチャラブである。パンパンギシギシのあれである。12歳にしてあれである。
アカツキが固まっているとハンスが理由を教えてくれた。
「いいかい?まずはアカツキ君は貴族になった。それで歳は12だから婚約者が居ても不思議じゃないんだ。
しかもなったのは大公爵だから、いろんな家が君を狙っている。それこそ今日のあの発表だからね。ゴーダル帝国やセイア王国とかの王族からも縁談がくるかも知れないんだ。というより確実に来るだろうね。それも王族経由で。だから聞いたんだ」
そう、アカツキは貴族───それも爵位だけ(財力も軍事力もあるが)ならトップだ。さらに駄王のせいでアカツキがランクEX冒険者『黒の暴虐』であり『黒魔の剣神』である事がバレてしまった。それを含めると王族でしか釣り合わないのだ。もしそれ以外となれば勇者くらいしか釣り合わない。
そして、その理由を聞いたアカツキはハンスにこう答えた。
「婚約も結婚もしませんよ。俺は好きな人が居ますから。もう会えないと思いますけどね」
露骨な伏線




