第13話 王立レディアント学園入学試験1
〓セレンソン家〓
入学試験1週間前
セレンソン家の一室で当主エドルドと娘ソフィアが話をしていた。
「―――と言うわけだ。問題を起こす事はないと思うが一応気にかけるくらいはしておいて欲しい」
「お父様、彼がそれほど優秀なら五位以内に入ってあの制度が適用されるのではないでしょうか?」
「おお、確かにな」
「それに首席なら生徒会に所属する事になりますし」
「そうだな。そちらも考慮して頼むぞ」
「わかりました」
◇◇◇◇◇
〓入学試験一日目〓
アカツキはリリーと共に王都学園区王立レディアント学園の門をくぐった。アカツキ達は案内板の指示に従って受付に向かった。
受付は合計20名いたがどこも30~40人程ならんでいた。そして、合格者はこの中から200人のみだ。数十分後アカツキが列の最後尾に並びながら「髪切ろうかなぁ」などと考えていた所でアカツキの番が来たようだ。
受け付けをするには番の願書の片方を持ってこなければならない(アカツキの場合はシグリットが願書を学園に持っていっていた)。そして願書を渡すと受験番号の入ったプレートを渡され、説明をうける。
「これを」
「はい、確認しました。アカツキ・ユウキさんですね?………………受験番号は256です」
この受験番号というのは予め決まっている。そのためプレートを持ってくるのに時間がかかってしまうのだ。
「では、始めに試験の説明をさせて頂きます。まず、一日目の今日は面接となっています。二日目の明日は筆記試験となっておりこれは320までの方で321の方は基本属性魔法適性と実技試験となっています。三日目は二日目と入れ替わりになります。試験の結果は2週間後に学園内に掲示されます。その際に公表されるのは名前と各試験の点数、そして合計点数です。また、首席合格の場合は問答無用で生徒会に所属していただきます。また、入学時に冒険者ギルドに登録していただきます。さらに五位以内で入学された方は最高学年の同じ順位の方と共に冒険者ギルドのクエストを受けて頂きます。また、寮に入られる方で五位以内で入学された方は特別寮で生活して頂きます。五位以内で入学した方は学園内の施設を優先的に使え、専用の施設を使えます。他の事は入学時に説明されます。何か質問はありますか?」
「大丈夫です」
「それでは、ご武運を」
アカツキは受付から離れると物陰に隠れて魔法を使った。
数分後魔法で創った空間の中で散髪を済ませたアカツキはこの世界で久しぶりの前髪越しではない景色を見たのだった。アカツキは少し清々しい気分になりながら面接場所に向かうのだった。
面接を行う部屋につき、現在面接を行っているアカツキは注意深く相手を観察していた。いやそれ以前に相手に何がしたいんだと言いたかった。それはその人物のステータスを視ればわかるだろう。
□□□□□□□
ヘンリック・ヴィスト
ジョブ:五属性魔法使い、剣豪、王立レディアント学園学園長
状態:容姿変化、声音変化、隠蔽
□□□□□□□
学園長である。アカツキがツッコミたいのを我慢している間も学園長は質問を掛けてくる。しばらくしてアカツキは学園長から問い掛けられた。
「それでは、最後に質問はありますか?」
アカツキがする質問は決まっていた。それはもちろん………
「学園長は何でそんな格好をしているんですか?」
「………は!?」
学園長はアカツキの質問を受けて驚いてしまった。それもそのはず、学園長が現在使用している『偽りの指輪』は今まで誰にも、それも王国最高の《鑑定》を行える者にも見破られなかったのだから。学園長は驚きながらも考えていた。
(ふざけて言ったのだろうか?いや、彼は完全に私が学園長だとわかって言っている。《鑑定》を使ったのか?いや魔力を使った動きは無かった。なぜバレたんだ?………まあ、よそう。彼は合格だ。それが今は重要なのだから。
フフ、これが単機でモンスターの大軍を葬った者か)




