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第8話 神剣ですが何か問題でも?

 アカツキはユリウスに明日までに用意を済ませるように命じ、屋敷に帰宅した。

 そして、そこで待っていたのはハンスからのとある質問だった。

 その質問とは…………、


 ◇◇◇◇◇


 アカツキが侍従ギルドに向かった十数分後シェルベン邸にはハンスの旧友である、商人シーギス・ドウベが訪れていた。このシーギスは《鑑定》のスキルを持っている。そして、その情報網はかなりの精度と範囲をもっている。


 ハンスが彼を呼んだのはある物を鑑定してもらう為だった。そして、彼らが会っている部屋にはリリーがいる。


「シーギス、久しぶりだな」

「ああ、それで今日呼んだのは挨拶って訳じゃ無ぇんだろ?」

「ああ、鑑定してもらいたい物がある」

「ほう。それで何を鑑定すれば良いんだ?普通なら見返りを求める所だが………お前が領地に戻ってから鑑定しないって事は、そうとうな物だろ。面白そうだから視てやる」

「ああ、頼む。それでやってもらいたい物だが、リリーの持っている剣だ。それ自体は友人からもらった物だ」

「おう、じゃあ見せてもらうぜ」

「どうぞ」


 シーギスはリリーから剣を受け取ると《鑑定》を発動する。それをハンスとリリーは見詰めている。そして、鑑定を終えたシーギスは額からダラダラと汗を流していた。


「シーギス?大丈夫か?」


 ハンスがシーギスに問いかけるがシーギスは答えない。


「シーギス!」

「ああ、悪い」

「どうしたんだ?顔色が悪いぞ」


 ハンスはシーギスを心配するがシーギスは答えない。そして、少しして口を開いた。


「ハンス、……その剣は誰にもらった?」

「友人の冒険者だが?」

「その剣の事は何も知らないんだな?」

「あ、ああ」

「その冒険者はその剣について何か言ってたか?」

「いや、ただ魔法が強くなるとだけしか」

「そうか」


 シーギスは再び黙りこみ、そして口を開いた。


「ハンス、【覇神】って知ってるか?」

「話くらいなら」

「だろうな。下級貴族は知らんが領主以上なら知ってるか。俺も知ってるしな」

「それでそれがどうしたんだ?」

「ああ、説明してやる。だけど絶対に他言無用だ」

「ああ」

「この剣は………………神剣だ」

「………は?もう一回言ってくれるか?」

「だからこの剣は神剣だって言ってんだ。詳しく言うなら【覇神剣[ヴァルゴ]】。名前の通り覇神の打った剣だ。しかも付与がすごい事になってる。自動防御に身体強化、魔法攻撃力上昇に魔法・魔力制御効率化、さらに覇神の加護まで付いてる。しかも嬢ちゃんにしか使えないように設定までされてる。これは国宝とかのレベルじゃないぜ。これは神器だ。それも噂の神々の絶対者の。これを渡した奴の気が知れねぇな」

「な………………!!?そんな物だったのか!?アカツキ君はこれを知っていたのか!?もしそれを知らないのだとしたら返さなければ」

「おい!今なんて言った!!」

「…知らないのだとしたら返さなければ」

「その前だ!」

「アカツキ君はこれを知っていたのか……。それがなんなんだ?」

「……ハンス、ソイツのフルネームは?」

「アカツキ・ユウキだが?」

「ハハ……、ハハハハハハ……」

「おい?」

「ハンス覇神の名前知ってるか?」

「いや」

「創造神は?」

「創造神アルトリア様だろ?」

「そうだ。じゃあ覇神は?覇神の名前は知ってるか?」

「いや」

「そうだ。分かっていない。これは教会の連中も誰も知らない。

 じゃあ何で俺がお前に覇神の名前を訊ねたか分かるか?」


 シーギスは少し笑いながらハンスに問い掛けた。

 そして、ハンスはその時質問の意図を理解した。


「………まさか…!?」

「ああ、この剣の制作者は覇神。それを嬢ちゃんに渡したのはアカツキ・ユウキ。そして覇神の名前は分かっていない。つまり………」

「……覇神は」

「「アカツキ・ユウキ」」

「まあ、この剣を鑑定したときに書いてあったけどな」

「まさか………そんな事が……」

「心当たりがあるんじゃねぇか?」

「…………あっ!?」

「ホラな。まあ、本人に訊いてみろよ」


 シーギスはそう告げて帰って言った。ハンスとリリーはしばらく放心状態だった。


 ◇◇◇◇◇


 アカツキは内心焦っていた。シェルベン邸に帰ってきたら、


「アカツキ君は覇神なのかい?」


 これである。さすがにいきなり言われるとアカツキでも、焦る。しかしそこはアカツキ、直ぐに立ち直った。

 そして、


「yes」


 迷わず即答した。

 そんなアカツキにハンスは驚きながらも質問をした。


「この剣は?」

「それ?神剣ですが何か問題でも?」


 またアカツキは即答した。そして、


「でも、覇神の事は言わないで」


 とだけ言ってこの場は収まったのだった。



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