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第6話 小さな冒険者とギルマスと米と味噌と醤油

 アカツキは王都を去る前に冒険者ギルドダオルーク本部に顔を出すことにしていた。目的はギルマスとの顔合わせだ。


 ◇◇◇◇◇

「け、決闘だっ!」

「はぁ?」


 何が起こったかというとそれは数分前に遡る。

 アカツキはギルド王都支部に向かっていた。ギルマスに会うなら本部なのだがその時ギルマスは支部の方に行っていた。その為アカツキは支部に向かっているのだった。

 実はこの王都支部子供がお小遣い稼ぎにそこそこ登録している。そしてアカツキがそんな事を知っているわけがなかった。

 アカツキが支部に到着し扉を開けた。そして中に入ったのだが5人組の子供にぶつかってしまった。いや、正確にはぶつかられた。そんな時にアカツキが考えていたのは

『なんで子供がこんなに?(※自分も今は10歳です。)』

 ということだった。アカツキは一応謝ろうとして口を開いた。


「すm…「おい、なにフリント君にぶつかってんだよ!」ん」


 が、5人組の内の一人のデブが怒鳴り付けてきた。アカツキはそんなデブをみて、『謝ってる途中に被せてきたの誰だと思ってんの?』とか思いながら無視をしようとした。しかし、そんな事をする暇もなくフリントと呼ばれた奴が口を挟んだ。


「おい、なにぶつかってんだよ!てめえ!」

「悪かったな」

「ふざけてんじゃねぇぞ!俺が誰だと思ってんだ?!」


 アカツキはどこかで聞いた様な言葉にデジャブを感じた。アカツキはそんなフリントに対して口を開いた。


「知らねぇよ」

「てめぇ!」

「フリント君を知らないのか!」

「知らねぇよ」

「俺様の事を知らないって事はテメェよそもんだろ」

「だから何だ」

「いいか?フリント君はなゴブリンを一人で倒せんだ!お前みたいな奴と違ってな!」

「プッ………ゴブリン………」


 アカツキは取り巻きが自信満々に言った言葉に思わず笑ってしまった。そして、本音が出てしまい、


「テメェ、何笑ってんだ!」

「だって……ゴブリン……って……プッ」

「テメェ」

「ゴブリンごとき誰でも殺れんのにそんな……ドヤ顔で言われたら………馬鹿みてぇ」


 最初に戻る。


「け、決闘だっ!」

「はぁ?」


 アカツキはフリントの言った事が理解出来なかった。しかし、超エキサイティングしちゃってるフリントはやる気満々だった。


「おい、行くぞ!」

「いや、俺はやるなんて言ってないけど?」

「ウルセェ!俺様がやるって言ったらやればいいんだよ!」

「わかったよ。やってやる。」


 実はこのフリント、ゴブリンを倒した事で自分を強いと勘違いしていた。それは子供の頃なら誰でも経験した事がある現象だろう。そして、その根拠のない自尊心を傷つけられたフリントがこの様な行動を取るのは当然であった。

 そして、それを察したアカツキは決闘を受けることにしたのだ。




 〓冒険者ギルド王都支部修練場〓

 アカツキとフリント、そしてその取り巻きはギルドの修練場にいた。ギルドの職員も一緒だ。観客も入っている。そして、ルールは………


「ルールは?」

「何でもあり。真剣をつかって、魔法だろうがマジックアイテムだろうが何でもあり。死んでも文句はなしだ」

「人数はどうする?俺は一人だがお前らは5人でやってもいいぞ?」

「テメェ如き俺様一人で十分だ!」

「じゃあ、始めるか」


 そして、職員に開始を促す。

 フリントが剣を抜く。アカツキは抜かない。


「始めっ!」


 職員の合図と同時にフリントが斬りかかる!

「ウオオオオオオ!!!」

 フリントは雄叫びを上げながら、剣を無茶苦茶に振り回す。右、左、斜め。しかしアカツキは全て紙一重でよけてしまう。

「ウオオオオオオ!!!」

 何回も何回も何回もアカツキを斬りつけようとするが、全て避けられる。

「クソっ!」

 そして、何回振り回した時だろうか?アカツキに隙が生まれる。フリントはそれに目敏く気付きアカツキを切りつけようとする。

 しかし、それを見た一部の観客はアカツキの隙がわざと作られたものだと気づいた。

 だが、フリントはそれが分からない。場数を踏んでいないためにそれが分からない。人を相手にしたことがないから分からない。

 そして、

(勝った!俺様に勝てるやつはいないんだ!)

 そう思った時には、宙を舞っていた。そして、地面に叩きつけられた。

 それを見た者は皆、唖然としていた。何があったか分からない。そんな顔をしていた。しかしアカツキがやったのはただの拳打である。隙を見せて飛び付いてきた時に殴った。ただそれだけである。


 アカツキは未だ勝者の名乗りを上げない職員に合図を送る。


「まだですか?」

「す、すいません!勝者アカツキ!」


 こうして決闘は終了した。


「あ、それとこれをギルマスに渡して来てください」


 そして、アカツキは職員にランクSSSの証明であるオリハルコンプレートを投げて渡す。それを見た職員は、


「ランクSSS!?もしかしなくても、【黒の暴虐】アカツキ・ユウキ様でしょうか?」


 思わず叫んでしまう。そしてそれを聞いた観客は黙り混んでしまった。一方アカツキは中二的な事を言われ軽くショックを受けていたがすぐに立ち直った。


「【黒の暴虐】がなにか知りませんけどそうですよ」

「それで、申し訳ありませんがギルマスは王都には居ません」


 しかし、職員の言葉で再びショックを受けるのだった。



 ◇◇◇◇◇

 ギルドからの帰り道、アカツキは商業区をみていた。いろいろな品があり目を楽しませるが、アカツキは未だ立ち直れていなかった。


「東方の品、味噌が入荷だ」


 しかし、この一言でアカツキは立ち直った。そしてものすごいスピードで店主に詰め寄る。


「味噌を見せてもらってもいいか?」

「お、おう」

 

 こうして店主が持ってきたのは紛れもない味噌だった。そして、アカツキは店主にある事

 を聞いた。


「醤油はあるか?」

「あ、あるぞ」

「米は?」

「あ、あるぞ」

「両方見せてくれ」

「お、おう」


 店主が持ってきたのはこれまた紛れもない醤油と日本米だった。


「店主、この3つをあるだけ売ってくれ」

「ぜ、全部か?」

「全部だ!」

「わ、わかった」


 こうしてアカツキは異世界で故郷の味を再現するための食材を手にいれたのだった。因みに値段は40000パルだった。








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