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第3話 叙勲式

 〓叙勲式当日〓

 アカツキ達は王城からの馬車に乗って叙勲式の段取りを確認していた。現在この馬車にはアカツキ、辺境伯、そして王城の執事がのっている。


「本日の叙勲式の流れについてご説明させていただきます。まず皆様には謁見の間にて陛下と謁見していただきます。そして報奨の授与に入ります。最後に陛下から御言葉を賜わり終了となります」

「献上品はどうすれば良いですか?」

「それでしたら、最初に」

「わかりました」



 話が終わり十数分が過ぎ王城に到着した。

 馬車を降りたアカツキ達は、息をつく間もなく客間に案内された。

 しばらくすると客間の扉がノックされた。


「どうぞ」


 声をかけると扉が開き鎧を着た騎士と装飾過多の品の無い服装を纏った初老の肥満男性が中に入ってきた。


「貴様がユウキとやらか?薄汚い冒険者なんぞをやっておる」

「はい。自分がアカツキ・ユウキです。貴方は?」


 アカツキは初対面でいきなり暴言を吐いてきた初老の男性にイラッとしながらも丁寧に返した。


「私はゴルミ侯爵だ。本来なら貴様の様な者は私の様な高貴な存在を拝謁する事はかなわんのだ。感謝するが良い」

「はあ」

「私がわざわざ出向いてやっているのに、貴様は私に献上する物すら無いのか?コレだから賤民は」


 勝手にやって来て勝手な事を言い出すゴルミにアカツキは落ち着いているように見えるが内心ではボロクソに言っていた。

 その後も勝手に変なことを言っては一人で納得するを繰り返し居座り続けるゴルミにアカツキはうんざりしていた。そんなこんなで休むことも出来ずゴルミの話を流し続けているとまた扉がノックされた。


「失礼」


 アカツキは未だ話続けるゴルミに一応声をかけて扉を開けた。すると上品な服装を纏った初老の男性がいた。


「失礼します。ユウキ様謁見の御時間です。準備はよろしいでしょうか?」

「あ、はい」


 謁見の時間になった事を知ったアカツキはゴルミに声をかけた。


「侯爵、申し訳ないのですが謁見の時間になってしまいましたので自分はコレで」

「おお、そうか。それとだ、私の下で働け。貴様の様な者でも使えるようなのでな。私の下で働けるのだ。これ以上光栄な事は貴様の様な薄汚い冒険者には無いだろう?また、後で返事を聞きにくる。まあ、返事は決まっているだろうがな」

「わかりました(絶対にNoだ)」


 ゴルミは最後にそんな事を言うと部屋から出ていった。そしてアカツキは身支度を整えると初老の男性と謁見の間に向かった。


 ◇◇◇◇◇

 謁見の間の扉の前に着くと辺境伯が待っていた。そしてアカツキが二人と合流し数分がたち準備が整ったらしい。

 謁見の間の扉が開く。中にはセンスの良さが伺える上品な服を着た者と装飾過多なある意味下品な服を着た者達がいた。その中をアカツキ達は歩いて行く。

(あ、さっきの奴見っけ)

 そして、


「第29代ダオルーク王国国王シグリット・レオ・ロード・ダオルーク陛下のおなーりー」


 全員が頭を下げ、アカツキ達は右膝を地面に付け跪く。


「頭を上げよ」


 シグリットが口を開くと皆が一斉に頭をあげる。

 そして謁見が始まった。

 まずは献上品の献上からだ。


「アカツキ・ユウキ、献上品を」

「はい。こちらを」

「受け取ってきなさ「よい。アカツキ、お主がもって参れ」」

「はい」


 アカツキは献上品の刀を玉座の側まで持ってきた。


「此方を」

「うむ」


 元の位置に戻ったアカツキにシグリットが問いかける。


「此れは何だ、説明せよ」

「はい。今回献上させていただいた品は【刀】という剣です。銘を[闇斬]といい闇があっても斬り進める様にという願いを籠めた名です。ぜひ抜いて御確認ください」

「うむ」


 シグリットは言われた通り刀を抜いた。


「おおっ」

「なんと美しい!」

「素晴らしい」


 刀を初めてみた者達は驚きを顕にした。シグリットは近衛に的を持ってこさせていた。そして、

「ふんっ」

 的に打ち込みその切れ味を確かめていた。それを見た貴族はその切れ味に再び驚いていた。

 そんな中、シグリットはアカツキに説明を求めた。

「この刀は誰が造りなにを使ったのだ?」

「その刀は自分が打った物です。使用した素材はミスリルとオリハルコンです」

「なっ!?」

「なんと」


 周囲の貴族からは驚きの声が出ていた。シグリットは宰相に刀を見せて鑑定をさせていた。刀を鑑定していた宰相は顔を驚きの表情に変えていた。それに気付いたシグリットは宰相に鑑定結果を言わせた。


「こ、この刀はランクSSSの武具です」

「何だとッ!」

「SSSだと!」

「そんな!?」

「さらに、この刀は陛下専用の魔法がかけられているようです」


 宰相が続けて言った言葉でさらに喧騒が起きる。そしてそれが落ち着いたのは数分後であった。



 そして、今日の本題に入った。

「それでは、報奨授与に移ります」


「まずは、シェルベン辺境伯。

『貴公への報奨は爵位の昇格。よってシェルベン辺境伯爵家をシェルベン侯爵家とする。 』」

「慎んでお請け致します」

「アカツキ・ユウキ殿。

『貴公への報奨は、勲一等、特殊勲章【殲滅】の授与。報奨金の授与。叙爵し爵位は【大公爵】とする』」


 アカツキの報奨の内容を聞きざわめきがおこった。


「慎んでお請け致します」


 アカツキが答え、報奨の授与が終了する。

 そして、シグリットが口を開いた。


「シェルベン辺境伯いや、シェルベン侯爵そして、ユウキ大公爵二人共大侵攻の折は大義であった。これからにも期待しておる」



 国王が謁見の間から去り叙勲式は終了した。






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