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プロローグ

 創暦1359年2月某日

 王城では、とある会議が行われていた。議題は、世界初のランクSSS冒険者となったアカツキ・ユウキの事であった。


「最後の確認です。彼に与える報奨は勲章と報奨金、【大公爵】の爵位。よろしいでしょうか?」

「良い」


 この会議は、国王派によって行われていた。現在、このダオルーク王国では大きく分けて2つの派閥がある。国王派と貴族派である。国王派(国民派と言っても良いかもしれない)は、国民との距離が近く税も最低限しかとらないといった事を行っている。対して貴族派は選民思想を多く持つ傾向にあり、税も規定以上取立てる等の事を行っていた。現在国王派には、三大貴族である公爵家のうち二家がおり、貴族派には一家がいる。

 そして今回の会議では貴族派からの過度の接触を抑えるための話し合いでもあった。その中で決まった事の中にアカツキを【大公爵】の爵位を与える事になったのだ。この国の貴族は王族を含めると上位順に【王族→大公爵→公爵→侯爵→辺境伯→伯爵→子爵、名誉子爵→男爵、名誉男爵→準男爵→最上位騎士爵→上位騎士爵→名誉士爵】となっている。基本的に大公爵の爵位は使われなかった。しかし今回の事は十分に重要性のある問題であり、下位の爵位では貴族派に狙われることになる可能性が高かった。かといって上位貴族にしても【侯爵】でも同列あるいは【公爵】からだと強く言えない。【公爵】でも同列の【公爵】からだと強く言えない。その為、最上位貴族である【大公爵】をアカツキに与える事になったのだった。


「彼はこちらに協力してくれますかね?」

 そう話を始めたのは国王派の公爵家のひとつセレンソン公爵家の当主エドルド・フォンツ・エル・セレンソンだった。しかし、国王シグリットはそれを、

「無いな」

 と切り捨てた。そして理由を話し始めた。


「おそらくアカツキは、面倒臭そうな事はしないだろう」


 ずいぶんとあっさりした理由だった。因みに言っておくとこの大国ダオルーク王国の【大公爵】となると他国でも最高を超えたもてなしをされる。



「ところで、教会から面白い事を聞いた」

「あぁ、【覇神】の事ですか」

「そうだ。ところでアカツキの二つ名知ってるか?」

「いえ」

「【黒の暴虐】、【殲滅】、【接触禁止】、どれも最近付けられた名だ。でもそれ以前、細かく言えば大侵攻直後に付けられた名がある」

「それは………?」

「【覇神】。誰が言ったか分からんがぴったりだと思わないか?」

「教会が怒りそうですね」

「まあな。俺的にはあいつが本当の【覇神】だったら面白いんだけどな」


 シグリットはそう言う。これが事実だということは今はまだ知らないが後々知ることになる。


「それとアカツキには学園に入ってもらう」

「良いと思いますよ。予想ですが貴族派は子供に彼の事は伝えないと思いますし」

「だろうな。奴等は格好付けたがるから子供には言わないだろう」

「それどころか、彼の事を知らない貴族の子が彼に喧嘩を売って家もろとも潰されそうですね」

「あり得るな。それと最後の話だ」

「なんでしょう?」

「勇者召喚の日程が決まった。5年後の9月15日だ。準備は始まっている。もう、止められない。召喚される者達には申し訳ないことをするが………………」




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