第4話 シェルベン辺境伯2
「それでは、ここでお待ちください」
俺はシェルベン伯爵邸の客間に通された。
「コーフです」
そういわれて出されたコーフ(コーヒーっぽい)を飲んでみるとコーヒーそのものの味がした。そのままコーフを飲んでいると、
「そのまま……?」
「何ですか?」
「いえ、何でもありません」
どうやらコーフをブラックで飲むことはないようだ。俺は前世からコーヒーはブラック派だった。
しばらくすると客間の扉がノックされた。
「アカツキ殿旦那様がお呼びです。一緒に来ていただけますか」
さっき別れた執事さんが俺を呼びにきたようだ。シェルベン辺境伯と会うのだろう。さてどんな人物やら。
◇◇◇◇◇
「アカツキ殿をお連れしました」
「入れ」
「失礼します」
部屋のなかにはリリーとおっさんがいた。たぶんこのおっさんがシェルベン辺境伯なんだろうな。
「座ってくれ」
「はい」
「自己紹介をしておこう。ハンス・タルカ・エル・シェルベン辺境伯だ。よろしく」
そう言って手を出してきた。フレンドリーな人物で良かった。【読心術】でも変なことは考えていないとわかった。
「アカツキ・ユウキです。よろしくお願いします」
そう言って手を伸ばし握手する。長年剣を握っていたような手をしている。
「まずは娘を救ってもらったことを感謝する」
「いえ」
「礼として何か渡そうと思っているのだが何か欲しいものはあるか?できる範囲なら、希望に沿おうと思っている」
「特に無いですね。強いて言うなら冒険者ギルドへの推薦をいただきたいです」
「ギルドへの推薦?」
「はい」
「それはサイクロプスを倒せるということを踏まえてランクを決めて欲しい、ということか?」
「その通りです」
「わかった。善処しよう」
「ありがとうございます」
よし、目標は達成したな。
今回の件で俺は冒険者としてのランクを一気に上げようとしていた。そこでシェルベン辺境伯に協力してもらおうとしていた。問題はどう切り出すかだったが彼のほうから言ってきてくれて助かった。
そしてこの後しばらく話して辺境伯から推薦状をもらい俺は伯爵邸を去った。




