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第31話

あのあと。

アリスたちを送り出し、アカツキはいつぞやの兎忍者たちに近いうちに編入してくる少女について調べさせた。



その結果、いくつかわかったことがある。


まず、名前はアリシャ・エル・マクレール。

マクレール子爵の庶子で、先日正式に娘となり、マクレールの姓を名乗るようになった。

マクレール子爵家自体は今この国に存在する大派閥……王族派、貴族派、中立派のうち、中立派に属している。

子供は息子が1人いるが、他貴族との縁を強固にするために娘を利用したいと考えたのが今回アリシャを正式に娘と認めた理由だろう。


また、アリシャ自体はアリスから聞いた通り転生者というのは確定のようだ。

前世のことは確かではないが(知ることも可能だが興味がないため調べていない)、今世での生活についても調べはついた。

生まれたのはマクレール子爵領の小さな町である【ミルナール】。

母はその町の町長の娘で、一時期マクレール子爵の屋敷で働いていたことがあり、その時にアリシャを身籠り、程なくして町へ戻りアリシャを出産した。現在は父の下で働いているそうだ。


アリシャの容姿は明るい金髪で、一部分の発育がよく……まあ有り体に言えば巨乳で、男の好きそうな体型とのことだ。

一応写真も添付されていたが、見た目はアリスの方が上と言ったところだった。




羊皮紙にして凡そ20枚ほどの報告書を読み終えたアカツキはテーブルの上に置いてあるティーカップを手に取った。


「……転生ね」


思えばここ最近転生者に会ったばかりだ。

自分に因縁のある相手だっただけによくわかることだが、転生というのは多少なりとも人を狂わせるもののようだ。

奴がああいう人間なのは元からだが、このアリシャという人間はどうなのかわからない。ただ、前世が不遇だったからこの世界では自由にというのはわからないでもない。しかしながら、自分の周りに……ソフィアに害が及ぶようなら抵抗はする。どうするか?拳で。なんてことは言わないがそれなりにはやるだろう。


あんな言い方をしたとしても結局は自分が好いた人間に変わりはないのだから。

自分が好きになる人間の基準が彼女たちであって、ソフィアが劣っているわけではない。

だが、だからといってあの話をする必要があったかどうか、あの力をチラつかせるような話し方をする必要があったかは……


「正直、無いよなぁ……」


アカツキ自身、あの駄王の部屋での話がまずかったとは思っている。

しかし、正直に話さなければいけないと思った故の行動で、そうしてでも認めさせたかったというのはあった。そのためなら、力も使うのは躊躇しなかった。


「ああ……いや、違う違う。

なんで今これを考えてるんだ。まずは直近の問題からだろ」



まず、現状での直近の問題。


一つは四煌極星祭の予選。

二つめは駄王から分捕った領地の運営と軍の編成と訓練。

三つめは勉学……というか貴族らしく各方面とのパイプを作るといったものか。

そして、四つめ。アリスからの話。


これを優先順に並べるとすればソフィアに影響が出る可能性のある四つ目、次いで領地運営といったところか。

四煌極星祭などに関してのことは優先度は低い。それこそ、出ようと思えばこの先出れるもの、作ろうと思えば時間はいくらでもあるものだ。



とりあえず、今の所できることは殆ど無い。

だが、対処法に関しては色々と思案しておくのがいいだろうという結論にアカツキは至った。






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