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第27話

「勝者、アカツキ・ユウキ!」


 人で埋め尽くされた闘技場内に審判の声が響いた。

 同時に地面が揺れているのではないかというほどの歓声が観客席から降り注ぐ。


 その渦中、歓声を──同時に女子生徒からの黄色い声──を浴びているアカツキは観客に向け軽く手を上げるとそこから立ち去った。

 ──やはりつまらない。アカツキのそんな気持ちは今日の試合を終えても拭えなかった。

 対戦相手は【登山者】の異名を持つオシイ・ノボレン。元々、学力はトップクラスであり、戦闘力は今ひとつだったものの、努力と効率を求めた魔法使用によって総合成績上位へと至った人物だ。そして、その戦い方は相手を調べて弱点を突くという簡単であって実行するにはそれなりの労力が必要なものである。

 アカツキが今までこの学園で見せた魔法はジル戦で使用した【雷属性魔法】とノボレンからしたら未知の【重力魔法】、さらにジルが使用している《移動操作》を含む【無属性魔法】、そしてフランを治療した【回復魔法】だ。

 そのうち、未知の魔法である【重力魔法】を除いて考えると、アカツキが得意とするのは【無属性魔法】次いで【雷属性魔法】であるとノボレンは結論を出した。さらに、アカツキは腰に剣を帯びており、ジル戦では最終的に素手でジルを下したことから近接格闘もこなせることは容易に予想できる。

 つまり、勝利するためには【雷属性魔法】を完封し、遠距離から攻撃を当て続けるというのが一番効果的である。とノボレンが断じたのも当然であった。

 だが、それをアカツキが予想していないということはありえなかった。なぜか。当たり前すぎる対策だったからだ。だからこそ、アカツキは【登山者】、言うなれば努力で伸し上がった秀才ならばこちらの思いもしないようなことをしてくるのではないかと期待した。しかし、その結果は誰もが予想できるような対策での戦闘。

 前の二人に比べれば遥かにいいが、それでも面白みはなかった。













 ◇◆◇◆◇


「魔神……数千年前に突如として現れ、神の使いである召喚されし勇者と聖女、剣聖、賢者によって封印された。その後、ごく稀に封印が緩まり、その時を狙い魔神の眷属たる悪魔が封印を解かんと暗躍する……か」


 アカツキは学園の書庫で魔神について記述された本を軽く斜め読みして呟いた。

 勇者、聖女、剣聖、賢者。

 魔神、悪魔、封印。


 無視できない単語が7つ。

 そのうちの勇者に関しては特に無視できなかった。召喚されし勇者。

 召喚……とはなんなのか。アカツキの思う勇者召喚と同じなのだとしたらそれはなんとも言えない。

 だが、それよりも重要なことがある。封印についてだ。

 魔神……仮にも神の名がつくそれを高々人間が封印できるというのだろうか。できたとしてどんな手段を使ったのか。それについては現状書物や口伝を調べられるだけ調べてもわからなかった。


 やはり……

「あれを使うしかないのかな……」


 アカツキは背もたれに身体を預け呟く。

 しばらくして、アカツキは立ち上がり本を片付けると書庫から出て行った。


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