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第22話ꙩ酷くつまらない者

「……」


 初戦を終えたアカツキは、一人、王都西区の広場で空を見ていた。夕暮れということで、空は赤く染まり、遊んでいた子供は家に帰り始め、所々で屋台に明かりが灯る。

 依頼を早めに終えたある冒険者は屋台や酒場で一杯引っ掛け、少し離れた色街に向かい、また別の冒険者は仲間と共に武勇伝を自慢気に話す。親に連れられ、酒場にやってきた子供は吟遊詩人の英雄譚に心を踊らせ、まだ見ぬ世界に思いを馳せる。

 そんな……日常の風景を横目にアカツキは空を見ていた。


 面白くない。

 そんな言葉がアカツキの頭を回り続ける。力の差があるのは十分すぎるほどに分かっていた。そんなことは今持つ力について知ってから、十分に理解している。

 だが……あれだけ啖呵を切ったのだからその自信の源を見せてもらいたかった。別に馬鹿にしているわけではないが、それでもあの試合は酷かったと思う。あれだけ人を見下しておいてあれは。

 アカツキは勝敗がどうなどというのは別に求めていない。ただ、楽しめればいいのだ。しかし、不快にされたあげくに、人を馬鹿にできるほどの力を見せられていない。それがどうしても面白くなかった。





 翌日。

 アカツキは二戦目を行う。

 相手は【瞬剣】ライン・エル・ジータン。説明会で絡んできた男である。ジータン子爵家の次男である彼もまた、試合でもアカツキを下に見ていた。


 彼は昨日の戦闘を見ていない。

 彼が知っているのはジルが負けたということだけである。ただ、それについてはまぐれであると考えている。確かにジルの【千刃】は脅威である。が、その形状はナイフであり、使用される前に距離を詰め、はじき飛ばしてしまえば十分に勝機がある。

 そして、この千刃は同時に操らなければならないという条件がある。それなら、複雑に動けばどうにかなる。

 そして、ラインはアカツキがチョコマカと逃げ隠れした末にジルがスタミナ切れとなり、そこをついて勝ったのだと、推測していた。


 だが……


「なんだってんだよ!」


 そんな考えはすぐに消し飛ばされることとなっていた。



 試合開始から既に五分。

 アカツキは初期位置から動いていない。だが、ラインはそのアカツキに近付く事ができないでいた。

 それはなぜか。


 それは……


 アカツキが何百本もの剣を飛ばし、操り、ラインを攻撃していたからである。

 ジルの代名詞とも言える【千刃】。だが、それはナイフを飛ばしているものであった。

 しかし、アカツキはその上位互換とでも言えるような剣を飛ばしていた。さながらそれは黄金に身を包んだ英雄王の如く。

 ただ……聖剣や魔剣の類でないだけ、ラインは良かったのかもしれない。







 そして、勝負は着いた。

 アカツキの勝利である。

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