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第20話ꙩ初戦前

いやぁ、暑くなってきましたねぇ。

皆さん、体を壊さないように気を付けてください。



「お、お前……なにをしたんだ…」


立ち去ろうとするアカツキに治癒師が茫然としながら声を掛ける。アカツキは立ち止まると、後ろに振り向き一言だけ告げる。


「魔法を使った」


それだけ告げるとアカツキはすぐに歩きだす。

その後ろでは、治癒師が拳を地面に振り下ろしていた。









「おい!」


アカツキが闘技場を出て歩いていると不意に後ろから人に声を掛けるには些か乱暴な口調で声を掛けられた。

アカツキは面倒な奴が来たと内心思いつつもそれを表情には出さずに振り向く。


「なんですか?先輩」

「お前、さっき…」

「ああ…予想ついたんで言わなくていいですよ。魔法を使いました……これで満足ですか?」


アカツキは先輩──ジルの言いたいことを予想して答える。そして、彼がなにも言わないのを確認すると、歩を進めた。






一方、アカツキとジルの居なくなった闘技場。


「さっき、私の娘を回復したのは誰だ」

「は、リンゼン派治癒院所属フーゼット・ランカンでございます」


その貴賓室ではフランの父バジル・エル・ハクランド男爵が学園の人間に問い掛けていた。


「ああ…違う。

あの子供のほうだ。どうやら、フランの怪我を簡単に治せるようであるし、是非とも取り込みたいものだ」

「正気ですか?」

「なに?」

「先程、ご息女を回復されたのは一年生のアカツキ・ユウキ。二年前に大公爵に叙された者です」

「なっ」


そして、さりげなくアカツキの素性を知った。

残念だが、アカツキを囲うのは不可能である。








そして……時は流れ翌日。

第三闘技場は熱気に包まれていた。

五年生の中で最も強く、そして影響力のあるジル。その応援へ来た五年生。

かたや史上初めて一年生にして団体戦の選抜へ抜擢されたアカツキ。その応援へきた一年生。

そして、興味本位の生徒たち。さらに、アカツキの戦いを見たことのない各派閥の貴族。


彼らによって第三闘技場は未だかつて無いほどに盛り上がっていた。




そして…アカツキとジルは各々の入場ゲートから戦場(いくさば)へ向かっていく。


ジルは茶色の革鎧を身に纏い、腰には何本ものナイフと剣を帯びている。

対するアカツキもジルと同じく革鎧を着けているが、その鎧の質は全くといっていいほどに違う。革鎧とは言っても素材の革はアカツキが創り出したものであり、金属のようにも見える。そして、その色は黒だ。また、革鎧だが武骨な感じはせず、細かいところまでデザインされている。




「よろしくお願いします、先輩」

「ちっ、そのなめくさった態度を直させてやるよ」

「なめ腐った?」

「……」


アカツキの挨拶にジルは敵意に満ちた言葉を返す。




そして、遂にアカツキの初戦が始まる。


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