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第15話 相見える

「と、いうわけでアカツキは予選参加を決めました」


 四煌極星祭の案内が配られた日の放課後。一年ミスリルクラスの担任シリウスは学園長室で学園長ノリスに報告を行っていた。


「そうか……じゃあ、明日の顔合わせ、荒れそうだね」


 荒れる……というのはどういうことか。

 それはアカツキの年齢に関係する。四煌極星祭団体戦──それは各校が最高の選手を集め戦う、ある種個人戦よりも注目され力の入れられる競技なのだ。それこそ、力の温存の為に個人戦でも活躍できるであろう選手を個人戦に出さないことがあるほどに。

 それほどまでに力の入れられた団体戦である。年齢は関係ないとはいえ、大体が5、6年生の選手となる。過去最年少で出場選手となったソフィアでさえも昨年つまり3年での出場なのだ。

 そこにぽっと出の一年であるアカツキが行くのである。それなりに自らの力に自信を持つ者たちがどうなるのか。大体の予想はつく。


「……ところで、団体戦だけ出るって?」

「いえ…全部出るそうです。学年戦も無差別戦も…」

「それ……他の子たち死なないよね?」

「一応殺すなとは言っときましたが……」

「言っといたが……?」

「『俺、戦闘すると性格変わるときあるから…』……とのことです」

「「はぁ…」」


 二人の溜め息が静かに響いた…


 一方その頃のアカツキは……


「楽しみだなぁ、大会…

 前世じゃ親父に『絶対出んな!』って言われて出れなかったもんなぁ…綾香は出てたのに……そのせいで…どこぞの馬の骨と奇跡の剣術カップルなどと……(ギリィ」


 刀の手入れをしながら前世を思いだしていた。

 因みに綾香と付き合っていると思われた男はとある番組のインタビューで綾香が「(こんなナルシで馴れ馴れしい変態と)付き合ってるわけないじゃないですか!私には相手がほかに居ますし!」とぶったぎっていた。その後ノロケが続き、インタビュアーも悪のりし質問を繰り返しアカツキがテレビの向こうで悶え、しばらくしてから綾香も恥ずかしさで悶えたのはいい思いでである。


 そして、どっかの道場。


「へくしゅっ」


 くしゃみの音が響いた。






 ◇◇◇◇◇

 翌日……放課後……学園一階会議室


 会議室。

 その扉の横の壁には【団体戦出場選手選定についての説明会】と書かれた紙が貼られている。

 そして、その扉の奥。

 会議室の中には緊張感が漂っていた。


「まだ来やがらねぇのか、もう一人の候補者ってヤツァ」


 金髪を逆立てた青年が静かな室内のなかで一人呟いた。いや、呟いたという表現をするには些か声が大きいか。


「こら、ジルくん、まだ時間にもなってないんだからそう怒んないでよ」

「るっせぇよ。あとジルくん言うな、ガキくせぇ。昔とはちげぇんだよ」

「私からしたらジルくんはジルくんのままだよ」


 そんな彼を咎めるのは隣に座る同じく金髪の少女。

 会話の内容から察するに幼馴染みだろうか。……主人公っぽい。


「しかし、確かに遅いで御座るな。皆、一時間前行動を心掛けるべきで御座る」


 二人の向かい側に座るYシャツをまくりあげ腕を露出させた坊主頭の筋骨隆々の青年もジルに同調する。


「いや、お前は早すぎだから」


 ジルはそんな彼に言う。


「二人ともぉ、せっかちすぎるんじゃナイノォ?ジルなんて自分が一番時間にルーズそうな不良ヘアしちゃって」

「んだと、ゴラァ!やるか、お?」


 そんな二人に御座るの横に座っていた緑髪の青年が言う。その彼の余計な一言によってジルはちょっとオコのようだ。


「は、ハハハ。もう止めてよ、こんなとこでまでそんな喧嘩とか…私死んじゃうw」


 二人がメンチの切りあいをしていると不意に笑い声が聞こえた。声の主はピンクの髪の少女だ。


「はぁ、これが五年生か……」


 溜め息を吐くのはジルの幼馴染み。


【団体戦出場候補者五年生代表】

 《学内五年序列1位、前年度学内無差別序列8位》

『千刃』ジル・スペクトル(金髪ツンツン)

 《学内五年序列2位、前年度学内無差別序列9位》

『狂戦士』フラン・エル・ハクランド(ピンク髪)

 《学内五年序列3位、前年度学内無差別序列10位》

『瞬剣』ライン・エル・ジータン(緑髪)

 《学内五年序列4位、前年度学内無差別序列11位》

『破拳』センライ・クルシオ(坊主頭)

 《学内五年序列5位、前年度学内無差別序列12位》

『狙撃手』ユリア・バークランド(幼馴染み)

 以上五名




「かぁ、暇だねぇ」


 茶髪の男が周りを見て言う。


「さっさと来ねぇかなぁ、なぁ?」


 彼は隣に座る胸元を大きく開け豊満な胸を見せ付けている金髪の少女に聞く。


「んー、そだねー」

「おいおい、テキトーだな」


 そう言いつつ、もう一度周りを見渡す。他の候補者達は本を読んだり瞑想をしたりして時間を潰している。


「はぁ……」


【団体戦出場候補者六年生代表】

 《学内六年序列1位、前年度学内無差別序列1位》

『神閃』グレイ・アグナムル(瞑想してる灰髪)

 《学内六年序列2位、前年度学内無差別序列4位》

『直剣』フカセ・エル・シーケンタブル(茶髪)

 《学内六年序列3位、前年度学内無差別序列3位》

『迅雷』エミリア・エル・セードカルス(白髪)

 《学内六年序列4位、前年度学内無差別序列5位》

『黒剣』シーナ・エル・ブックリン(赤髪チビ)

 《学内六年序列5位、前年度学内無差別序列6位》

『爆神』ルミナ・エル・コッセン(金髪巨乳)

 《学内六年序列6位、前年度学内無差別序列7位》

『登山者』オシイ・ノボレン(茶髪メガネ)


 以上六名





「本当に来てくれるのかしら?」


 ソフィアは頬に手を当て考える。


【団体戦出場候補者四年生代表】

 《学内四年序列1位、前年度学内無差別序列2位》

『戦姫』ソフィア・エル・セレンソン


 以上一名







 ギィイイイ


 扉が開く。

 そして、一人の少年が中に入ってきた。


「チワース、あれ、もしかして遅刻しちゃいました?」

「いえ、時間通りよ。アカツキくん」

「良かったぁ、でもなんか皆揃ってたみたいですね。いや、くるの遅れてすいません」



【団体戦出場候補者一年代表】

 《学内一年序列1位、前年度学内無差別序列no data》

『黒魔乃剱神』アカツキ・エル・ヴァルシア・ユウキ


 以上一名



 ここに団体戦出場候補者があいまみえた。

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