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議事録  作者: 静流
1/1

アルバム1


「○○さんって北中なんですか?」

そんな始まりだった気がする……。

「えっ!?…あっ、そうなんですよ。なんで知ってるんですか?」

涙袋をたくさんつくった笑顔で返した。

「この前、伊藤さんに聞いたんです!」

負けないくらいの笑顔で返してくれた。

「あー、そうなんですね。××さんも北中なんですか?」

今度は少し無愛想に。

「そうなんですよ。○○さんって今20歳ですよね?私18なんで、私が中1の時○○さん中3にいたんですかね?笑」

知らんがな。

「そうだと思います笑。それじゃお疲れ様です。」

「こんな感じだったけ?」

そう言うと隣にいる女性は微笑んだ。

「ちゃんと覚えててくれてよかった。○○そういうの全然覚えてないんだもん。」

「まさかこうなるとは思ってなかったからね笑。」

「私もだよ。次に会ったとき○○が一緒に帰りませんか?って言ってくれなかったら、なにもなかったと思う」

「そうなの?」

「うん、だって私別に好きじゃなかったもん。」

「てっきり行為寄せてたから話しかけてきてくれたんだと思ったし、ドライブにも付き合ってくれたんだと思ってたよ」

「ほんと童貞野郎だな。お花畑すぎるし、自意識過剰。」

「××と毎日してるから童貞ではないかな笑」

「つまんない冗談……。」

今度はぶっきらぼうに返された。



たまに、こうして昔の事を話題にすることがある。ただの思い出話ではなく、昔の関係に戻って会話を始める。ボディタッチはもちろん、きちんと「さん」付けだ。

昔ごっこを始めるときは必ず、××が現状に満足していない証拠だ。マンネリ……。初めてその言葉を聞くまで××が自分といることに嫌気が差しているなんて、微塵も思わなかったし考えなかった。

最初は、こんな可愛い子が俺の彼女!?浮かれて毎日セックス三昧……。

都合のいい自分は、「それが嫌ならどうしてもっと早く言わないんだ!」

なんて言ってたくさんの涙を見てきた。

知らないだけでおそらくもっとたくさん苦しんでいたと思う。

客観視のできない人間をそれができる人間はどう見ているだろう。

幾度となくあった別れ話には決まって、彼女が苦しみ、涙ぐむ姿が目の前にあった。

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