間幕:とある王の事情。
読んで頂きありがとうございます。
色々と悩んでいたら、こんな時間に........投稿遅れてしまい申し訳....
今回は予告通り、召喚から半年後のディスト王の視点のお話です。
お楽しみください。
本編の方は今日中に1・2話投稿できればと思います。
とある部屋の中、ペンが紙を滑る音が絶え間なく鳴り響いていた。
音が止むと、ふぅと息の吐く声が聞こえた。
豪華な装飾がなされている部屋の中心には、一人が作業するには大きな机あり、向こうに人が居るのかも分からない程の書類が広がっていた。
その先には、一人の男が作業が一段落ついたのか椅子の背もたれに寄りかかっていた。
「疲れた。」
そう。この人物は、ディストリア帝国のトップであるディスト王ことディスト・メイフィスである。
これだけの案件を処理するには、まだまだ時間がかかりそうだな........
それよりも、異世界の者を転移させてからもう半年か。。。あれだけの代償と時間を割いてきたんだ....もう躊躇してる暇も時間もない。
ディストには、何としても異世界の者を呼び込まなくては行けない理由があった。と言うよりも、呼び込みなさねばならぬ願望があった。
一言で言うなら、復讐。
それに尽きた。ただ、王と言う立場も自分の中にあることは理解している。
そして、ディストは決して暴君ではなかった。それを狂気という皮をかぶることで、異世界の人々への仕打ちへの罪悪感から逃げていた。
その証拠として、本来、奴隷魔法掛けられて奴隷に落ちた者は、なにをされても仕方ないのを他の兵士などに異世界人に対して、必要のない暴力と女性に対する姦淫を強要することを禁じていた。
実際に、そうしようとした兵士や貴族の首を撥ねた。
国民からの評判も悪くなく、むしろ慕われている。国民の声に、耳を傾ける上に、出来る限りの政策をとってきた。
そう。根としては、優しい人間ではある。何故、そんなディストをここまでさせているのか。
一つに、知らない者を呼び寄せるという上で、自分達よりも遥かに能力値の高い者に対する恐怖。何としても、逆らえないようにする必要があった。
一つに、なんとしてもどんな命令でも引き受けてもらえる戦力が必要だった。
一つ一つディストの頭の中での復讐への計画が進んでいくと共に、王としての役目としての計画も進んでいく。
あと少しだ。私には、時間がない。その前に、なんとしてもこの国を安定させねば。
私に時間がないことは、家臣に気付かせてはいけない。悟られたら、そこから隣国や敵国に知られ、付け込まれる。そんなことは目に見えている。
少なくとも、こちらの領地を何かと争いをしかけてきている憎き隣国ヴァイフェス公国を手中に収めるまでは。
「ディストっ!入りますよ。」
よく聞く声が、聞こえてきた。
考えていた頭を切り替えてディストは、聞こえてくる声に応える。
「構わない。入れ。」
入ってきたのは、ファイだった。
ファイ・ディミトリア。ディストリア帝国の宰相であり、私の親友である。国を築く前、幼少の頃からの付き合いだ。唯一無二、私が絶対の信頼を寄せている。
正直、その他の家臣や貴族共は信用出来ない。金や土地の保守や立場にしか目がなくて、俺の立ち位置すら付け狙う者も少なくないだろう。
そんなこんなで、ファイの入室で少し気を和らげた。だが、休まったのも、束の間だった。
「大変だっ!悪いけど、至急ディストの指示をあおぎたい。ヴァイフェスが国境近くの村を襲っているとの情報が斥候から連絡があった!」
私の計画がついに動き始める。そんな期待が胸に膨らんだ。
ここまで読んで頂きありがとうございます。
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次回は、このお話の終わりぐらいからのスタートになります。主人公視点です!
では、少々お待ちください。(´・_・`)