エピローグ
「ぷっ――はぁー! やっぱ労働のあとのパッキーチョコは格別ね!」
「オヤジかお前さんは……」
市内のとある公園。
そのベンチに腰掛け、先ほど購入してきた『パッキーチョコレート』を貪るメイと、ため息をつくペン八。
「いいじゃない。なんつったって旧校舎から3往復もしたんだからさ。そりゃ仕事終わりの甘い物も、美味いってもんよ」
「仕事していない時も食ってる気がするが……」
「気にしなーいの……っと。ナイッシュー」
メイは食べ終えた菓子の空き箱を、傍らのゴミ箱へと放る。
そしてベンチを立ち、大きく伸びをしてから周囲を見、誰もいないとわかるとその翼を広げた。
自分では飛ぶことの出来ぬペン八を、もはや定位置となった彼女の頭の上へと乗せて。
「さてさて……んじゃ、行きますか」
周りに人がないことを確認して。
メイは鳥か蝶のようにその白銀の翼を羽ばたかせ、ペン八と共に快晴の空へと飛び立った。
「べつにいいが……どこに行く気じゃ?」
「天界に戻るに決まってんでしょ。とりあえずジジイに言って、また『奇跡の砂』を貰っとかないとねー」
「……また軽々しく使ったのかと、大目玉を喰らう予感しかせんが」
「だから軽々しい状況じゃなかったんですって、なんか適当な言い訳考えといてね」
「やれやれ……態度の改まらん問題児じゃのぅ」
「まーね。良い子なだけじゃつまらないじゃない? なんつったってアタシは、悪魔で天使ですから」
「褒めとらんわい。まったく……」
雲1つない空の、その向こう。
天界へと向かって、2人はその街を後にする。
赤い花びらが風に乗り、空へと舞って見えなくなるように。
それは短くて儚く、そして美しかった。
――Fin――