表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
85/148

聖女の祈り

ルナお姉ちゃんが攫われ、私はたった一人、教会に来ていた。


『リリス!頼みがある!』


お姉ちゃんは私の祈りが必要だと言った。

それもただの祈りではない。

強い祈り、揺るがぬ信仰心が必要だと。


だから私は教会の奥へと進み、静かに膝を着く。

急遽、孤児院の教会を借りたことで、驚かせてしまったけれど、シスターは快く受け入れてくれた。

頼んでもいないのに、私の横で手を合わせてくれている。


いつの間にか、目を覚ました子供たちも集まり、私の周りに座っていた。

彼らの目には不安の色が滲んでいたが、それでも小さな手を組み、神へと祈りを捧げる。


『神よ…どうかお姉ちゃんを守ってください…』


お姉ちゃんは今、戦っている。

どこか遠く、暗闇の中で、たった一人で。

だから、力を貸してください。

どうか、どうかお願いします…!


言葉にしなくても、心は一つ。

皆の祈りが重なり合い、まるでお姉ちゃんと手を取り合って祈った時のような、温かく優しい光が胸の奥に満ちていく。

静寂に包まれた教会の中、ろうそくの灯が揺れ、ステンドグラスを優しく照らしていた。


その時だった。


「任せて…リリスちゃん」


「っ!?」


確かに聞こえた。

いつも聞いている神の声とは違う。

それは、柔らかく包み込むような優しい女の人の声。


はっとして顔を上げ、周囲を見回す。

けれど、それらしい人影はどこにもない。

それでも、確かに感じる。


安心できる、温かい気配。

まるで誰かがそっと手を添えてくれたかのような感覚。


──あの人が「任せて」と言った。


ならば、信じよう。

だって私は聖女。

皆を導く者だから。


『優しい優しいお姉ちゃんが、どうか幸せでありますように…』


そう願いを込め、目を閉じる。

その瞬間、胸の奥から光が溢れ、教会の中に広がっていった。

まるで、天からの祝福のように。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ