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聖女様はおこ

聖女は怒っていた。

プンプンだ。

ムカムカが止まらない。

大人しいリリスだったが、真面目な分、怒ると長い。

身体は回復しているかもしれないが、まだ休んだ方がいいと言っても反論するほどだ。

正直、怒っている姿も可愛いので、ちがや達も止められない。

ちがやは怒る時、ドラゴンの逆鱗に触れた時のようにブチギレるが、いかんせんリリスは怒り慣れていない。

なので激おこではなく、おこ程度の怒り方だった。

自分では凄く怒っているつもりだけど、周りから見るとただただ可愛い。

でも、あんまりニマニマしているとこっちに怒りの矛先が向きそうなので、表情を必死に隠していた。

「お父様に会いに行きましょう!そしてとっちめてやるのです!お姉ちゃんとなぜ向き合わないのか!」

自分のために怒ってくれている。

だからニマニマしてはいけないのだ。

でもその必死さがどうにも愛おしい。

可愛い。

でも、そんなこと言えない。

とはいえ、リリスに休息が必要なのは確かだ。ニマニマしてばかりではいられない。

何とか怒りを沈める必要がある。

そう思ったちがやは、能力でポンっとショートケーキを作り出す。

甘くて美味しいケーキなら、リリスもイチコロなはず。

自分だったら確実に怒りを忘れるだろう。

そう思っていた。

リリスはモグモグとリスのように頬を膨らませながらも、まだ怒っている。

聖女リリスは姉のようにチョロくはなかった。

ケーキを飲み込んだ後、出るは出るは父親の愚痴。

どうやらかなり溜め込んでいたようだ。

尊敬はしているが、不器用なところに怒っているらしい。

せっかく再会できたのだから、しっかり向き合うべきだと。

たしかに正論だと思うが、正直気恥ずかしい。

ちがやも中学生程度の年齢になっており、ぶっちゃけ反抗期だ。

ジェイソンは寡黙だからいつも甘えているが、実の父親となるとむず痒い。

教皇は誠実で信用できるが、いかんせん知らないことが多い。

何せ隠し子として育ってきたから。

よくて国のトップという程度の認識だ。

そんな教皇と感動の再会・・・想像するだけでゾッとする。

嫌いではないんだけどな・・・

と思いながら困っていると、コンコンとノックの音が聞こえてきた。

一瞬警戒するが、枢機卿としてちがや達を探していたという。

もちろん危害を加えにきたわけではないとも。

リリスを休ませるために街の宿を借りたことが仇となったかと心配していると、ふんすとまだ怒っているリリスがベッドから抜け出し、扉を開けてしまった。

どうやら知っている人物らしい。

一瞬、目の前に誰もいないと思った枢機卿が、下を見ると、怒り顔の見慣れた存在が立っていた。

可愛らしい寝巻きに身を包み、寝起きなのはわかる。

でも、なぜこんなに怒っているんだと、枢機卿はたじろいだ。

「枢機卿!お父様!お父様に会いたいです!お話したいです!」

「え?え?ですが今は…」

状況が状況だ。

下手に動くと危ないと止めようとするが、リリスは止まらない。

ちがやの逆鱗と違って、リリスのおこは長続きするようだ。

やばい。

枢機卿ですら止められないなんて、このままでは寝巻きのままででも走っていきそうだ。

そう思ったちがやは、ひょいっとリリスを抱き上げた。

「気持ちは嬉しいけど、今はだめや…リリスがまた倒れたらうち悲しいねん。」

うぐっとうなるリリス。

何とか怒りを沈めてくださったようだ。

リリスを降ろし、ちがやが前に出る。

枢機卿といったか、この状況で出てくるということは、何か伝言でも頼まれたのだろうか?

そう考えながら、ちがやは枢機卿を部屋に入れ、話をすることに決めた。

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