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胡蝶 聖女と出会う

魔法国家を出発して数日が経過した

その日は酷い雨でちがやの癖っ毛もぴょんぴょんとはねまくっていた

「うぅ・・・これだから雨は嫌やねん・・・ルナみたいにストレートやったらな」

そんなことをぼやきながらも馬車をとめ周囲を確認するために森を歩いていると青髪でボロボロの姿の女の子を発見した

意識を失っているようで酷く衰弱している

「馬車に戻るで!!」

ちがやは迷いなく彼女を連れ帰ることにした


「青い髪に神官みたいな服・・・もしかしてこの子・・・」

ルナが国王から聞いた情報を元に彼女の素性を推測していると透き通るような声で起きたばかり少女が話しかけてくる

「ここは・・・あなた達は確か・・・」

青い綺麗な髪に神官のような服。

まつげは長く可愛いくりくりとしたお目々で精一杯周りを観察している。

瑠璃色の瞳がとても美しい子だ。

「私達は旅の一行よ。名前はルナ、あとちがやっていう女の子とジェイソンっていうおっきな人もいるけど怖くないからね」

「これは馬車ですか??」

ルナが説明をすると部屋にしては狭く外の空気を感じるこの部屋について尋ねてくる。

こくりと首をかしげてなんか可愛い。

「うん・・・あなたが倒れていたから治療をして寝かせたのよ。あと、今外でご飯も作ってるから目が冷めたなら食べよう」

「お!!目が覚めたんか!!ちょうどご飯もできたから持ってきたところやで!」

ルナが提案し扉をあけたタイミングで三角巾をつけたちがやが顔を見せる

どうやらご飯を持ってきてくれたらしい。

空腹だった聖女はくんくんと匂いを嗅ぐ。

「熱いからゆっくり食べるといい」

ジェイソンが大きな手でおぼんを差し出す。

「ありがとうございます・・・」

それを受け取るとちがやがぐいぐいと距離を詰めてきてスプーンにちがや特製のおじやを掬いニコニコと差し出してきた。

「ええから一杯食べて元気になるんやで!ほら、あーん」

「あむ・・・!?美味しいですこれ!」

聖女は差し出されたものをぱくりと咥えもぐもぐと小動物のようにしっかりと噛みしめる。

美味しい。

初めて食べるものだがなんだかほっこりして落ち着く。

あと、心なしか皆の笑顔が優しい。

「ふふ、もう少し胃が慣れてきたら肉とかも食べられるからな~」

「あむ・・・あむ・・・」

聖女は雛鳥のように催促をしながらパクパクと食べ進める

「焦らなくても大丈夫やで。ほら、口にご飯ついてる」

「は、はい・・・」

不思議な感覚だ。

この人にはつい甘えてしまうと顔を赤くさせ少しだけ照れる聖女だった。


その後、落ち着いた彼女から事情を聞くとルナの予想通りやっぱり宗教国家の聖女その人だった。

聖女は猊下の娘でアリアと同格。

正真正銘のお姫様なのだった。

「やっぱり聖女様だったのね」

「ルナは気付いてたんか?」

「王様から外見情報は聞いてたから。それにしても・・・」

ルナは聖女リリスから聞いた怪しい人物と宗教国家の権力者の密談のことを考えていた。

「ふん、本物まででてくるとは思わんかったな~。やっぱりあいつはただの自称だったってことやな」

それはちがやも同じだったらしく、またあいつかと言わんばかりに挑戦的な笑みを浮かべる。

そんなちがやを他所に、ジェイソンはある可能性に勘づいていた。

「その黒いローブには槍のマークがなかったか?」

「ありました!!見覚えのないマークだったのでよく覚えています!」

「やはりか・・・」

「どういうことやジェイソン」

「黒ローブで槍のマークが描かれているのは帝国の暗部だ。あの施設の奴ら全員に同じものがあった」

「ちゅーことは帝国のスパイ!?やばいんちゃうそれ!?」

「あぁ、この子がここにいなかったら誰も知られなかっただろう・・・」

「・・・・」

想定より深刻そうにする空気に不安になりリリスが眉を下げているとぽうんと頭に小さいが温かい手が乗っけられた。

「大丈夫や!うちらがついてる!だからそんな心配せんでえー!」

なぜだろう。会うのは初めてなのにこの人を見ていると安心する。

そう思ったリリスはこくこくと嬉しそうに頷いた。




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