ジェイソンの誕生日
ちがやとルナはアリアの相談を受けてからずっと考えていた
そう、直接聞けなかった「ジェイソンの誕生日」だ
「るな~!アルバム見た時に日付かいてあったはずなんやけど何日か覚えてへん?確かジェイソンが誕生日ケーキに息を吹きかけてる写真や」
「えぇ!?私もそこまでしっかり見てなかったよ~!」
「記憶力がいいルナでもだめか・・・」
「ジェイソンの誕生日だよね??聞くしかないんじゃない?」
「お二人とも何を頭を抑えてますの??」
「アリア!!アリアの情報網でジェイソンの誕生日わからへん!?お願いや!アリア!」
「別にいいですわよ。お二人には大変お世話になりましたしジェイソン様のお誕生日もしっかり覚えていますわ」
「さすがアリアや!それでアリア!ジェイソンの誕生日はいつなんや!?」
「今日ですわ」
「「え」」
「間に合わなかった・・・ごめんねジェイソン」
「いや、まだ時間はある!!!諦めるなルナ!!」
「そうだよね!ジェイソンにはちゃんとお祝いしたいもんね!時間は少ないけど頑張ろう!」
「遅くなってしまった・・・ちがや達は平気だろうか」
とジェイソンが宿の扉をあけた瞬間、パンパンという炸裂音のあとに花吹雪が舞い落ちる。眼の前には宿の人と一緒ににこにこした三人の少女が立っていた
ちがや、ルナ、アリアだ。ポチもいるが何やら可愛い帽子を被らされている
『お誕生日おめでとう!!!』
「!?」
完全に油断していた
誕生日なんて何年もやってなかったからすっかり忘れていた
だが、誕生日を祝ってくれるそれだけで胸に熱い気持ちが止まらない
顔を上に向け涙を流す
その涙はいつだって悪いものでは無い
娘の優しい気持ち、それが伝わってきて流れた優しい涙なのだった
そんなジェイソンたちを席に座らせ誕生日がはじまる
美味そうな料理とケーキが一杯並んでいる
オレは少しだけ気になってちがやに料理のことを聞いてみた
「うちが作ったで!」
「ごめんねジェイソン!私、料理を何度も挑戦したんだけど変なのしかできなくて結局ちがやが作ってくれたの・・・」
「慣れないことでも頑張ってくれたんだな。ありがとう」
「うん!!」
「それはそうとジェイソン様!今日は一杯呑んで一杯食べてくださいまし!私もお友達の頼みとあってお手伝いしましたのよ!」
「そうさせてもらおう。皆ありがとう。」
両親が亡くなってから誕生日自体やってこなかった
祝ってくれる人も友達もおらずただ漫然と日々を過ごしてきた
だが、ちがやと再開してそれは変わった
父親のように慕ってくれるルナやちがやに出会い
旅の途中、街の人とも交流ができた
公爵家では公爵と友になれた
今の俺がこんなにも笑顔に溢れているのはちがや達のおかげだ
だからゆっくりと笑顔で溢れるこの場を見渡し密かに誓いを立てた
俺もこの人達に恥じないように生きよう
そして大切な家族をこれからも守り続けよう。と
「そういえばちがやちゃんだけ誕生日がわからなかったのですがいつなのですか?」
「私も聞いたことないかも!」
「俺もだ」
「え?うーん・・・いつなんやろ???」
「「「え?」」」




