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胡蝶は戦う

旅を初めて数日

安全な旅を続けていたちがや達だったがまだこの世界に生息しているという魔物というものはみたことがなかった。

日本の創作物の中ではよく出てくるものだが実際のところその脅威を知らずにいたのだ。

「魔物が普通におるって書物で読んだけど全くみーへんな。」

「危ないし会わない方がいいじゃない」

「その時は俺が守る」

「頼りなるのはええけど・・・未知のものってみてみたくならへん!?ワクワクするっちゅーか!」

「未知を生み出すちがやの方がワクワクするわ」

「確かに」

「同じやないか!?」

「私達にとって魔物って危ないし敵だしいいイメージがないのよね・・・だから出来れば会いたくないというか」

「ん?なんか猫が怪我しとるで!大変や!助けてやらな!」

「待て」

「ジェイソンなんでとめんねん!?可哀想やろ!」

「ちがやおちついて・・・よく見て見なさい」

「あ・・・」

怪我をした猫のような魔物は魔物中でも弱い魔物だった。魔物の世界は動物と同じで弱肉強食。つまり近くに怪我をさせた強い魔物がいることだ。

そして影からにゅるりにゅるりと触手がうねうねと蠢き猫型魔物にトドメを刺した。

「そんな・・・さっきまで生きとったのに・・・なんで」

その光景に酷くショックを受けたちがやはフラフラと近寄ろうとするがルナとジェイソンがなんとか食い止める。

「植物系の魔物は餌で釣った獲物を襲うのよ。自虐性が強くて弱い魔物を弄ぶこともあるの」

「くっ」

「俺が片付ける。ルナ」

「任せて」

「ジェイソン!!あの子の亡骸だけでも・・・」

「わかった」


「ちがや・・・」

「魔物でも弱いからってなんで弄ばれなきゃあかんのや・・・この子だって必死に生きてたはずなのに」

ポロポロと涙を流すちがやは悔しさを胸にボロボロになって息絶えた猫型魔物を優しくなでる。その姿にルナとジェイソンは何も出来ない自分達が不甲斐なく感じた。

「みゃー・・・」

「な!?そんなはずは・・・確かに死んでいたはず・・・」

「頑張ったなぁ・・・うちにはわかる・・・弱くても頑張ったんやろ・・・どんなに辛くても耐えてきたんやろ」

「うっ・・・ちがや・・・」

「みゃー・・・」

「ゆっくり休んでや・・・頑張ったご褒美に神様がきっと安心できる世界に連れていってくれるからな・・・だから・・・」

「・・・」

「最後の力を振り絞ってたのか・・・くっ」

「ジェイソン」

「どうした?」

「穴・・・一緒に掘ってくれるか」

「・・・わかった」

「私もやる!最後ぐらいともらってあげたい!」

「おおきに・・・」


「ちがや・・・」

「何をしてるんやルナ!この子なら大丈夫や!ウチらが俯いててどないすんねん!」

「でも・・・」

「気高く生きたにゃんすけのためにもウチらは生きるんや!強くな!」

「うん!」

「あぁ」

「行くで!」


胡蝶は儚い

故に胡蝶なのだ

殴れば傷付き 苦しみ 悲しくなる

胡蝶の羽は簡単に傷付き脆い

だが、羽を無くした胡蝶はそれでも諦めなかった 屈服しなかった

例え飛べなくても誇りを持っていたから

胡蝶は儚い

だからこそ舞う舞う舞う

輝かしい記憶をくれた大切なもののために



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