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胡蝶 村を立て直す

飢饉に喘いでいた村に到着したちがや達は村人に食料を分け与え健康回復に協力していた

食料はちがやがもしもの時を考えてジェイソンと一緒に無限マジックバックに保存していたものや創造したものを惜しげなく提供した

商人でありかなり金にがめついちがやだが今回ばかりは無償で働いた。

ちがやは日本のことを思い出していた。

大阪にはスラム街があった。

貧困に喘いで毎日の食事すらありつけず寝床もない

そんな世界を子供の頃に見て衝撃だった

話してみると町の人と変わらない優しい人だった

なのに職を失い寒空の下で暮らしてるらしい

子供だったちがやはそんな人たちに何もしてあげられなかった

見ているだけだった

それが歯がゆく己の無力さを痛感したことがある

「ちがや?どうしたの?」

そんなちがやを心配そうに見つめてくるルナに正直に胸の内を話す。

それは信頼の証

姉妹のように思っているルナだから言えること

姉妹に隠し事はしたくない

だから日本のこと 自分の気持ちを正直に話した

するとルナは優しく微笑みながら

「ふふ、なら一緒に頑張って立て直そう。日本でできなかったこと今度こそ」

ちがやはそうやなと明るく笑い覚悟を決める

これは父親の尻拭いだからじゃない

やりたいからやるんや

じゃないと目の前の姉に失礼だと

村の人に失礼だと

そう思ったから最後までやり遂げると決意した


「ちがや、これでいいか?」

ちがやは村の立て直しの基礎となる水をいつでも供給できるようにジェイソンの力でダムを作りそこに湖の水をろ過しながら流れる装置を設置することにした

「一振でこれかーい!相変わらず逆マンガみたいやな!」

ダムのそこにいるジェイソンに元気にツッコミを入れるちがやは嬉しそうだ。

水を溜め込むための池はこれでいいあとは湖から水を引っ張る必要がある

距離が結構あるため1人では終わらない

そう考えたちがやは両端から土魔法で道を作り繋げようと考えた。

「ルナ!ここからはうちらの仕事やで!」

「私は湖からやるからそっちはお願いねー!」

そう言って空を飛んで湖側からルナが道を作る。

ちがやはタクトの初級土魔法と神力でダム側から道を作っていく。

人力なら時間がかかるがこういう時魔法は便利である。日没までには繋がりあとは翌日ろ過装置を設置して開通する。

ちがやにとって初めての土木作業だ

その日はスヤスヤと爆睡し疲れを癒した

そして次の日

「「できたー!」」

水路が完成しちがやとルナは喜びのあまり抱きしめ合う。

両端から作っていた時にようやく顔があった時は何を言うことも無く2人は微笑みあった程だ。

その達成感は2人にとって特別だった

水路を作っている時、ジェイソンは畑を耕していた

ちがやから似合いすぎだと爆笑されたが悪い気はしない

ジェイソンにとって畑仕事は楽しかった

人を殺すよりよっぽど楽しい

村の住民も少しずつ回復していきジェイソンと共に畑仕事ができるようになった

あと、この村に足りなかった知識をルナとちがやが提供した

森で採れる山菜、食べられる物

必要なことをどんどん教え込む

そんなことをしていたら村はあっという間に発展し止まっていた物流も復活した

公爵家に応援を要請したおかげで各地の領主が協力してくれたのだ

物流を止めていた盗賊は全て討伐され村の周りがより安全になった

村人は完全に回復し今では村に笑顔が溢れている

これから先どうなるかは村人次第だ

だが、何となくこの人達は大丈夫と思えた

それは大阪のスラム街の人達のド根性に似ていたからだ

貧困なのにいつも笑っていた

腹は減るが協力すれば何とかなる

そう言っていつも助け合って生きていた

スラム街と笑うなかれ

彼らは強い どん底を知っているから

諦めの悪さはちがやに似ている

だから安心してちがやは笑う

「ふふん!どんなもんじゃーい!やってやったぞクソ親父!」

父は破滅を望んでいた

飢饉を巻き起こし全てめちゃくちゃにしようとしていた

だから止めてやった

クソッタレな親父を見返すために

ちがやは心から叫んだ

「ざまぁ見やがれクソッタレ」と



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