公爵家は焦る そして別れる
公爵家は焦っていた
ついに春が近付いていたからだ
このままではルナやちがや達が旅にでてしまう
そんなの寂しい 行って欲しくない
それは使用人も同じ気持ちだった
故に何とか引き延ばそうと公爵家全員であがきはじめた
「いやぁ、まだまだ寒いわね!」
「え?そうか?結構あったかくなってきたような」
「ちがや様!これは一時的なものなのですよ!明日になればまた猛吹雪!これ北国では常識!」
ちがやは明らかに様子がおかしい公爵家をみて察した。娘が旅立つのが嫌なんやなと。
「はぁ・・・もう少しだけやで」
「はい!ちがや様!」
メイドと公爵婦人、ルナとお茶をしていると窓の景色が急に雪が降り始める。それはもう激しく降り注ぐ。
なのに遠くを見ると降っていない。
ちがやはふと日本のドラマで雨のシーンに雨っぽい水を降らせているだけだということを思い出す。ここは魔法国家、雪を局地的に巻くことぐらい可能なんだろうなと考えながら公爵家の人達を見渡す。
まぁ、冬の間ずっと世話になったし別にええんやけど必死すぎてなんか引くとちがやは思った。
「あれはどう見てもま!?」
「ルナ!お菓子好きよね!ほら!」
「むぐぅ!?」
やっぱりあれは魔法かと察し、やれやれと思いながらこんな公爵家と使用人が嫌いではなかった。
むしろちがやじしん別れを惜しんでいた。
でもちがやは危機感を覚えていた。それは帝国のことだ。
ルナは元々ここで捕まって帝国に監禁されていた。それが戻った今また狙われるのではないか。そしたら今度こそ公爵家まで巻き込む。死人がでるかもしれない。冬は極寒という環境が守ってくれていたが春になると動く可能性が高い。
「ちがや・・・どうしたの?」
「いや、いつまで逃げればええんやろと思ってな・・・」
そうだ。帝国から逃げ国外逃亡は果たした。でもルナを攫いにここまできた以上国外でも安心できない。ならどこまで逃げればいい。いつになったら終わる?どこへ行っても変わらないのではないか?
そう考えると心がズンと暗くなる。
「ちがやの旅は逃げるためなのかしら?」
「それは・・・」
最初はそうだった。また監禁されないように逃げていた。でも今はどうだろう?色々な人達と出会い別れそれで得られる経験。空っぽだった自分を満たしていく感覚。そして何よりもジェイソンやルナ、ポチ達と色んなことを経験したい。色んなことを知りたい。それをこれからの旅の目標にしてもいいのでは無いかと思った。
「ちゃうかも!!うちなー!ルナ達ともっと世界をみたい!知りたい!!」
「ふふ、素敵な目標ね。でもねちがや、ここはあなた達の家だからいつでも帰ってきていいからね」
「うん・・・えへへ・・・おおきにな!」
「・・・」
「あの・・・ルナの母ちゃん??そろそろ離してくれへん??」
「お母様・・・」
「だってだって!離れたくないんだもの!ルナもちがやも私の子よ!」ギュー
「お母様!!?さっきまでのいい雰囲気は一体なんだったのですか!?」
「そうだわ!季節を操作するのよ!こんなものじゃあちがや達が行っちゃう!?」
「それやばいやつやろ!?落ち着かんかい!!さっきから魔法で雪降らせとるのも知っとんねん!」
「ぎくっ!?」
「うちかて離れたくはないねん・・・」
「ちがや・・・」
「皆優しいしウチ大好きやねん。」
「トゥンク」
「多分、ここにいるのも楽しいで。でもな、閉じこもったらあかんってルナに教えてもらったから・・・だからウチは旅を続ける!!」
「!?」
「はぁ・・・わかったわ。ちがやがそこまで言うなら諦める」
「すまんな・・・へへ・・・母ちゃんが気付かせてくれたからやで!おおきにな!大好きやで!」
「トゥンク!!!?」
「奥様!?お気持ちは分かりますが落ち着いてください!しずまれー!しずまりたまえー!」
「うおおお!止めないで!私は!私は!!」
「ルナの母ちゃん・・・個性的やな」
「言わないで・・・」
そうしてついに出発の日がやってきた
「娘を頼んだ」
「任せろ」
公爵とジェイソンは熱い握手を交わし別れの挨拶をする
「またいつでも来ていいからねー!」
「妹よー!私も連れて行ってくれー!」
「あなたは跡継ぎがありますからだめです!」
ルナの兄はここまできても往生際が悪い
「そんなー!」
「おおきにな!お世話になりました!」
そんなルナの兄をスルーしつつちがやは前を向く
「いってきまーす!」
「行ってらっしゃい!」
「うおおおおお!」
ルナの兄が雄叫びをあげているが気にしない あれを気にしたらキリがない
そうしてジェイソンが馬車を走らせる
「最後までルナの兄ちゃんはブレへんかったな」
「恥ずかしい・・・!!」
ルナが身内の恥に顔を真っ赤にさせているがまぁ、愛されてるってことやしえーやろと切り替えていく。
「ご主人、次はどこにいくのですか?」
「とりあえず宗教国家目指すで。その間の街も観光や!」
ちがやは止まらない
次はどんな人と出会えるだろう
ちがやは今日も羽ばたき続ける




