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胡蝶、最悪の敵に出会う

3日後、ついに新しい武器が完成したと報告がきたちがや達はドワーフの工房に訪れていた

「これが新しい杖!!」

「ふむ、手に馴染むいい武器だ」

「2人はええな・・・武器っぽい武器で・・・いやええねんけどなタクト」

「わん!」

「せやな、ポチのために必要やんな!ごめんなポチ!」

「契約者が武器を使用するとポチの力が倍増するのもあるんだがな。嬢ちゃんがそういうと思って簡単な魔法も使えるようにしてあるぞ」

「ほんまに!!?魔力ないけどうちにもできる!?」

「魔石をエネルギーにするから使えるぞ。使える魔法はここに書いてある。」

「初級攻撃魔法とヒール・・・ハイヒール・・・エリアハイヒール・・・状態異常解除ディスペル・・・初級神聖魔法・・・」ズーン

「ちがやはわからないかもだけどこのタクトの魔法すごいことなのよ!?回復系はかなりレアだし神聖魔法も適正がないと使えない!落ち込むことなんかないのよ!」

「ごめんな・・・おっちゃんが頑張って作ってくれたのにウチ・・・」

「ふふ、使ってみればわかるさ。お前さん専用の武器なんだからな」

「ウチ専用?」


そうして武器を手に入れたちがや達はついに任務の場所へ飛行が使える2人に運ばれやってきた。

「ポチ、準備はええか?相手はポイズンドラゴンや!」

「きたわ!」

「油断するな お前達」

「うわきっも!くっさいしドロドロやんけ~触りたくないな」

そんなことを言っているとポイズンドラゴンは早速毒の状態異常攻撃を仕掛けてくる

「言ってる側から!?アイスシールド!!」

「すまん!臭いからつい!」

「ポチ!いくぞ!」

「わん!がるるる!!」

ジェイソンとポチは真っ先に前衛に出て戦闘に入る。神獣形態のポチとジェイソンは毒に構わず突っ込んでいく。

だが、ポイズンドラゴンはなぜかちがやを狙う。

「あ、アクセサリーが溶けてもうた!?」

「いきなり!?」

まるで意思があるようにちがやの弱点をつくポイズンドラゴン。前衛を無視して後衛を狙う執着心。このポイズンドラゴンは今まで戦った魔物とは何か違う。

「アイシクルランス!!」

「お前の腕は貰った!」

アクセサリーを無くしたちがやは一旦岩陰に隠れ思考する。

皆は戦っている、それなのにまた守られている

アクセサリーはなくなり防御は紙、でも武器がある!そうや、諦めるなちがや!根性見せんかい!!

その時、ちがやの背中に例の羽が生え武器であるタクトをゆっくり降り始める

それに共鳴したポチは力を膨張させより強く進化する。強化されたポチが戦闘に加わるがイマイチ決定打に欠ける。だから、ちがや自身の攻撃がタクトを振り終わった瞬間にポイズンドラゴンに炸裂する。

「初級神聖や!!死にされ!!!」

空から大きな光の柱が降り注ぎポイズンドラゴンに直撃する

ポイズンドラゴンの絶叫が響き渡るなか死んでたまるかと言わんばかりに毒を撒き散らし始めた。その毒はまたしてもちがやの肩に直撃する。ジュワと音と共に肉が溶ける臭いがした。

「くっ!こんなもんでうちが・・・うちが負けるかどあほおおおおおおお!!」

胡蝶は不屈の精神で痛みに耐え攻撃をするためファイアボールを神力で変質させ膨張。どでかい火の玉となったファイアボールを全身全霊をかけてなげつける!

「死にさらせぇええ!!クソトカゲがあぁあ!!!」ドカーン

ちがやの圧倒的神力で変質させられたファイアボールは10メートルを超えるサイズとなりポイズンドラゴンを木っ端微塵にしてしまった。

「どんなもんじゃいくそったれーー!」


「死ぬかと思ったわ・・・おっちゃんの武器使ってみて思ったけど最高やん」

「専用って言われてた理由もわかったね」

「うち、防御なくても戦えたんやな・・・」

アクセサリーが破壊された時はかなり焦った。でもそれだけで諦めるにはまだ早い。そう思ったちがやはポイズンドラゴンの毒を受けながらも武器を持ち反撃に出る。

胡蝶は不滅 胡蝶は不屈だ

毒の痛みなんて怖くない だから冷静にファイアボールを変質させ最後の最後のトドメの一撃を放ったのだった。


ボイズンドラゴン

それは魔法国家には現れないはずのドラゴンである。

それがなぜこんなところに出現したのかが分からない。

だからちがやは考えた。

もしかしたらこいつもポチと同じ夢を見ていたのではないかと

ちょうど今日はあれを使える。死んだポイズンドラゴンの前にルナを呼び月光蝶モードに切り替わる。

そしてちがやとルナはポイズンドラゴンの記憶をみた。


ポイズンドラゴンは元は普通のドラゴンだった。その頃夢を見た。

それは悪夢のような夢だった。

妻が死に 娘を恐れ殺し、飼っていた犬も殺した

男は2人だけで飽き足らず全てを憎みながら首を吊った。死ぬ寸前まで邪悪な笑みを浮かべていた。

そうしてその魂は夢を見ていたドラゴンに魂が寄生し乗っ取られた。邪悪な思念の影響でポイズンドラゴンへ進化してしまった。

だからこそ憎しみに溢れており諦めも悪かった。あいつだけにはあいつだけには一矢報いたいと想い、毒を飛ばしあの少女を執拗に狙い続けた。防御をしなかった。でもそれでも勝てなかった。

やはりポイズンドラゴンとなった今でも胡蝶は強いのだ。圧倒的な力を手に入れたと思っていた。だが、娘もまた力を手に入れ父親は呆気なく敗北した。


「このドラゴン・・・ちがやのお父さんだったの」

「まさかこんな所まで追いかけてくるなんて・・・ドラゴンには迷惑かけたな」

この一件、ドラゴンは完全に被害者だ。憎しみにかられ全良なドラゴンの肉体を乗っとって自分のものにしちがやへの復讐を目的果たそうとするなんて・・・。

「これで決着や どこまでもついてこようとうちは絶対お前には屈しない!」

そう、ポイズンドラゴンの亡骸に宣言した時、物陰から真っ黒なユラユラした魂がちがや達から逃げようとする。

「へへ、ギリギリで魂だけでも抜け出してやった・・・俺は何度でもお前を殺す。肉体を見つけた時、その時こそお前の最後だ」

だが、男は知らなかった。一番敵に回してはいけない存在の逆鱗に触れていたことに。

「・・・逃がさん」ガシッ

「な、なぜ魂だけの私に触れる!?」

「ジェイソン!!」

「お前がちがやを虐待していた男だな?」

ジェイソンは冷徹に問い詰める

「ち、違うんだ!あいつが悪い!あいつが悪いんだ!」

「そうやって何もかもから逃げてちがやで現実逃避してたのか?」

ジェイソンは逃がさない。ジェイソンはようやく見つけたとばかりにその魂をしっかりと握り込む。

「ひぁ!?」

「ちがやがどれだけ悲しみ、ちがやがどれだけ苦しんでいたかお前は考えたことがあるか?」

ジェイソンは知っている。子供の頃の彼女が全て教えてくれたから。

「うっ」

「そうだよな、お前は自分のことしか頭になかった。悲劇を演じ全て人のせいにしてきた。俺はお前の妻から聞いたぞ」

ジェイソンは知っている。こいつが許すべき存在じゃないことを。

「な!?あいつは何年も前に死んで!」

「死んでから娘をずっと見守っていた。お前から守るため必死だったらしい。そして娘が死んで娘が世界を渡ったことでちがやの母も娘を追っていた。そんな時に出会った。お前の妻は全て話してくれたよ。夫は娘を愛さず、しまいには殺したと。だから娘を助けたあともしもあいつもこっちに来た時必ずあいつから守って欲しいとな」

「ぐあぁあ!!俺の魂が!魂が!!?」

「うちの娘を殺すだ?貴様が死にさらせ!!腐れ外道!!」パァン

その日、魂を握り潰すという荒業で日本から来た邪悪な魂は消滅した。実の父よりちがやを愛するジェイソンの手によって。





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