胡蝶は知る
ちがやが回復して数日後、ジェイソンに頼んでこの家にある書籍を読みふけっていた。
ちがやは知りたかった。この世界の知識を。
自分は何も知らない。だからまずはここにあるだけの知識を詰め込もうと考えた。
「ジェイソンの家に本があったのはええけどウチ頭使うの昔から苦手なんやった・・・」
「教えようか?」
「大丈夫や。なんか知らんけど文字も言葉もわかるし一応読めるねん。」
「不思議よね。ちがやの変な話方も何故か意味が通じるし何か関係あるのかしら」
「大阪弁や大阪弁、染み付いたものなんやからしゃーないやろ・・・ってあれ?」
「どうしたの?」
「うーむ・・・言葉がわかるってもしかして平行世界として繋がっていたからかなって思ってな・・・前に教えたやろ?胡蝶の夢って」
「うん、なんか哲学的な話しよね 夢の中の自分が現実なのではないかって・・・あ」
「根拠はないけどウチはこの世界を夢だと思っていた。夢が現実だった今うちが胡蝶みたいなもんかなって」
「確かに何らかの繋がりがあったら言葉がわかるのも頷けるけど・・・」
「そう、証明は不可能やな。そもそもが思考実験みたいなもんや。だからなんやねんって話やけど少なくとも言葉が通じる理由にはなるやろ?」
「ちがやってたまに凄い頭の回転早い時あるよね。そんな難しいことよく気付いたね。」
「うちのことバカにしてへん?まぁ、ええけど・・・気付いたのはルナのおかげやで。1人だったら何もわからんままやったからな」
「ふふ、力になれたなら私も嬉しいわ。でもまずは地理から入ったら?私勉強だけは好きだったから教えられるよ」
「それもそうやな!頼んだでルナ先生!」
「まっかせなさい!」
「ふむふむ、なんで捕まったのかようやく理解できたで。この国の脳筋集団に力を利用されようとしてたんやな。」
「全くもってその通りだけど言い方・・・」
「でもうちの力ってなんやってなるけど今はまぁええか。」
「勉強苦手とか言ってたけど嘘みたいに飲み込み早いね・・・」
「文系は苦手やで。数学は得意やけど」
「数学?算術のこと?その方がすごくない?」
「あぁいや、単に商売気質の人が多いところで生活してたから得意になったってだけやで。ほら、買い物の時とか計算するやろ?」
「なるほど、それでなのね。」
「それにほら、ボッタクられそうになった時瞬時に計算出来んと足元すくわれるやんけ。値切りとかにも使えるし何かと便利なんよ。」
「ちがやは商人に向いてそうね・・・正直意外だわ」
「この商業国家とかいうところで商売してもええかもな。」
「ここの魔法国家にもいつか行きましょう。私の故郷なの。」
「ええな!ルナがいた国のことも色々教えてや!」
「ジェイソンは帝国出身なんやな。すんごい解釈一致やわ」
「うんまぁ・・・強いもんね」
「国のやり方は好きじゃない」
「心配せんでもわかっとるわ!うちもやからな!」
「ジェイソン、ここもいつまでも安全じゃないわよね?」
「あぁ、そのうち見つかる その前に準備を整えて国外逃亡でもしたほうがいい」
「ジェイソン・・・」
「な、なんだ?」
「一緒に来てくれへんの・・・?」
「ちがっ!?」
「今のはジェイソンが悪いよ・・・自分は行けないとか思わせる発言だったもん」
「すまん・・・俺もついていく、だから心配するな」
「ふふん!あったりまえやん!嫌がっても引っ張っていくで!」バシバシ
「ちがやったら・・・」