公爵は娘を想う
公爵は善良な貴族だった
その公爵には大切な娘がいた
名をルナという
銀髪で勉強好きの内気な女の子だ
公爵の娘は異様な魔力を持っていた
成長が異常にはやく膨張する魔力を保有していたのだ
それは公爵も把握していてだからと言って娘を嫌いになることはなかった
だが、娘は攫われてしまった
もう何ヶ月も帰ってこない
帝国の暗部が関係していることまではわかった
でも証拠がなく国に追求することはできなかった
助けに行きたい 探しに行きたい
だが、それは帰属という立場が許さなかった
だからルナからの手紙がきたとき歓喜した
娘が生きていた そして仲間と一緒に国帰ってくるという
監禁されてたらしいがそこから脱出して自分の足で帰ってくるなんて世界中探してもルナだけだろう
貴族の娘としてのルナはもういない
ルナは仲間と出会って逞しくなった
性格も明るくなり一緒に脱出したというちがやという女の子と帰ってきた
子供の成長とはなんと早いことだろうと感慨にふけっていると2人を保護してくれたという大男が話しかけてきた
最初は圧巻だったが、この男も父なのだとわかるとすぐに打ち解けた
不思議な感覚だ
大男もちがやという少女も貴族相手でも態度が変わらず堂々としている
それを無礼だとは思わない
むしろ好感を持てた
彼女達にとって友達の家に遊びにきたような感覚なのだろう
そう思うと悪くないと感じた
ある日、ちがやがこの屋敷の使用人から公爵家を裏切った犯人の証拠を集めてきてくれた
私は何も頼んではいない
そんなこと出来ないと諦めていたからだ
娘を攫ったことは許せないがどうしようもなかった
それをあの女の子はいとも簡単に解き明かした
そして単独で犯人である男を追い込みそのしっぽを掴んでみせた
真面目で仕事熱心な男だと思っていた警備隊隊長がまさか娘を売っていたとは思わなかった
怒りを覚えどう始末してくれようと考えているとちがやが泣きながら激怒していた
あぁ、これは娘のために怒ってくれている
そう考えると胸がすっと軽くなった
私の代わりに怒ってくれたのだなとすぐにわかった
ちがやが怒り狂っている時に蝶のような羽と共に凄まじい圧力を感じたが私は見なかったことにした
理由はわからないが彼らはあれを隠そうとしている
ならば恩を受けた私達はそれを言ってはいけないと思ったからだ
実に痛快 実に愉快
ちがや達はやるだけやって屋敷に戻っていく
確かにこれは公爵家の仕事だと感心しその事件は幕を閉じた
私は公爵家当主である
娘を愛しているし家族のことも愛している
そして目標ができた
ちがや達家族のような笑顔溢れる家族を築くこと
それが今の私の第一目標だ




