胡蝶は知りたがる
ちがやは屋敷での生活を楽しんでいた
貴族とは無関係だったちがやだが思いのほか嫌いじゃなかった
それは屋敷の中には色んな人がいるからだ。
公爵家の皆、メイドさん、コックさん、庭師さん
色々な職業の人達が揃っている
好奇心旺盛なちがやは客人であることを忘れ話しかける
「本職の人の包丁さばきはやっぱすごいなぁ~」
「ちがや様じゃないか!どうした?腹でも減ったのか?」
「ちゃうねんおっちゃん!うちも料理はするから本職の人の動きみて勉強したいねん」
「見るのは別に構わねぇが楽しいのかい?」
「楽しいで!うちそんなに早くトントン出来へんもん!」
「へへ、そりゃあ、嬉しいことを言ってくれるな!いいか?左手はこうやって・・・」
「またこいよー!」
「またなー!」
「ちがや、どこ行ってたの?」
「厨房でおっちゃんに料理指南してもらってたんや!優しいおっちゃんやったで!」
「本当に物怖じしないわね・・・別にいいけどこの屋敷で密かにちがや人気が爆発してるのよ」
「ふふん!うちはかわええからな!惚れるのもしゃーないな!」
「あちこちで話しかけてるんでしょ?もうちがやのこと知らない使用人いないぐらいなんだから」
「でもまだ会ってない人がおんねんな・・・」
「会ってないって誰と?」
「護衛」
「私がこの屋敷の警備の隊長だが、ちがや様が一体私になんの御用ですか?」
「ルナのことや、昔、スキをつかれてルナが帝国に攫われたらしいな 」
「・・・」
「別におっちゃんを攻めるつもりはないねん。うちはただ聞きたいんや。」
「一体なにを?」
「帝国と繋がってる裏切り者がおらへんかや」
「!?」
「この屋敷、全部見て回ったねん。もちろん使用人のみなとも話したで。皆ええ人ばかりやったわ。」
「何が言いたいのでしょうか?」
「おっちゃん、ルナを売ったやろ?」
「ははは!何を言うかと思えば公爵家の警備隊長の私が裏切り者とでも?いくらルナ様のご友人でも無礼というもの」
「ほんで、いくらやったん?ルナは魔力は特異よな?警備隊のおっちゃんが知らんわけない。それをいくらで売ったんや?」
「ちがや様」
「汚い手で触らんでや・・・」パシッ
「貴様!!?状況がわかっていないようだな!?人の目のないこんなところにきたのが運の尽きだったな!バレたのならお前を消せばいいことだ!」
「うちの娘に触るな!!」
「ぐは!?」
「ふふ、きてくれると信じてたで、ジェイソン!」
「お前は公爵様のところにいたはず!?なぜこんなところに!?」
「娘の危機ぐらい父親なら誰でも察知できる」
「そんなふざけた話あるわけ」
「警備隊隊長オルベル、そこまでだ。お前の裏切りの証拠は全て揃った。抵抗するな。」
「公爵様!!?なぜあなたまで!?」
「そこのちがやがルナのために証拠を集めてくれたのだよ。お前は知らなかっただろう。使用人達の本音を」
「見られていたのか・・・くっ」
「ちがやはやらせない!!!」
「くそ!?」
「ルナ!?」
「もう大丈夫よ・・・ありがとね私のために」
「家族やん・・・当たり前やで」
「観念しなさい!」
「道ずれだ!」
「しまっ!?」
「言ったはずだ・・・うちの娘に触るなとな」
「ジェイソン!!」
「や、やめろ!くるな!」
「ただでは殺さん・・・お前はうちの娘を2度も殺そうとした・・・万死に値する!!」ばこおおおおん
「ぐぼえ!?」
「ちがや!?まだ危ないよ!」
「大丈夫や・・・それにな・・・」
「お前さえ・・・お前さえいなければ」
「ルナが・・・ルナが何したっていうねん・・・!ただ人より魔力の成長が早いってだけでなんでルナが!!」ドン
「ひ!」
「うちの事許さんと思っとんか知らんけどな!それはこっちのセリフや!ウチはお前を絶対許さん!!この腐れ外道が!!」
「あ・・・あ・・・」
「ご主人、こいつどうする?」
「ポチ、そんな汚いもの食べちゃあかんで。ポチには美味いもん食わしてやるからな」
「ワン!」
「あ、あれはまさか・・・!」
「ジェイソン、ルナあんがとな!これで安心して春まで滞在できるな!」
「そうだな。よく頑張った。ちがや」
「えええ、そうやろそうやろ?」
「ふふ」
「さぁて、あとは公爵家の仕事や、あとは任せたで~」
「あぁ・・・任せてくれ」
「腹減ったなぁ~今日はなんやろ?」
「シチューだって。あったまるよ!」
「父上・・・あのちがやさんは一体・・・」
「ふふ、ははは!そんなこと決まっているだろう!」
「え?」
「天真爛漫なただの女の子だ!そうだろ?」
「ふ、なるほど、そうですね。父上」




