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胡蝶は気付く

胡蝶には確かに日本での記憶があった

だからここは夢だ きっとそのうち覚めるだろう思っていた でも3日経ってもその夢は覚めることを知らない 夢が3日も続くわけが無い

だとしたらここは・・・

「現実・・・」

なら日本での記憶は?それこそ15年も続いていた 3日どころではない

日本という国があった世界と今の世界は文明レベルも違うし共通点もない

だとしたら異世界?自分は記憶にないだけで死んだのでは?死ぬ理由ならいくらでも思いつくがその辺りの記憶だけ綺麗に思い出せない。死んだショックのせい?何者かの干渉のせい?

わからない。全てがわからない。


「ちがや大丈夫かな・・・」

ちがやが急に熱を出して倒れた時は驚いたが今はベッドでスヤスヤと眠っている。

ジェイソンは疲労からくる熱だろうと言うがこの子は1人で抱むタイプのように思えた。何かに悩んで苦しんでそれで倒れたのではないかとルナは心配していた。


胡蝶は暗闇をさまよう

いつものように聞こえる怒声

いつものように怯える自分

胡蝶は疲れていた

寂しかった 悲しかった 痛かった 辛かった

でも胡蝶は笑い続ける

胡蝶は泣かない

自分を心配人達を悲しませないために

胡蝶は挫けない

胡蝶は不屈だ

どんなに辛くても耐えて見せた

それ故に負けた

それ故に殺された

絶対に折れない胡蝶を恐れて


「ん・・・あれ?ウチなんでベッドに・・・」

「ちがや!!」

「ルナ!?え?どういう状況?なんで泣いてんねん?」

「熱を出して倒れたのよ!心配したんだから!」

「そうやったんか・・・ごめんなルナ・・・」

何故だろう。自分はあまり人に心配かけたくなかったのにルナやジェイソンには甘えてしまう。さらけ出してしまう。それが自分のわがままだとわかっているのに。

「痛いところはない?お腹すいた?辛くない?」

「大丈夫や!だってルナ達がおるし!」

ルナは優しい。自分だって辛かったはずなのにちがやのことを心配してくれる。それが何よりも嬉しくも愛おしくてちがやはほほえみかける。

「ちがや!いいのよ甘えて!なんだったらお母さんだと思っていいからね!」

「いやいや、お母さんはさすがに無理があるやろ!?」

「じゃあお姉ちゃんでもいいよ!ね!ね!」

「もー!謝るからもう許して!?そういうの照れるやんか!?」

母性爆発ルナが爆発しちがやは顔を赤くしながら涙を流すがその涙は決して悲しいからではなかった。ルナの気持ちが嬉しくてつい溢れてしまった涙だった。

そんな姿を後ろで見ていたジェイソンはほっと胸を撫で下ろす。

あの子は強い だから大丈夫と

ジェイソンがよく知る愛おしい存在のように

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