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胡蝶は知っている

そうして監禁されていた研究施設から脱出した3人はジェイソンの住処にやって来ていた。

外から見たらホラーハウスのなのに中に入ると清潔で快適そうな立派な家だった。

「おぉ!!ジェイソンの家めっちゃ綺麗やん!意外と綺麗好きなんか?」

興奮しているちがやにこれにはルナも同意する。一人暮らしとは思えないほど整理が行き渡っている。

「って違う違う!感心してる場合じゃなかった!ジェイソンさん、疑ってしまってごめんなさい!私達を助けてくれたのに私・・・」

「ジェイソンでいい・・・それに・・・」

「ジェイソン嬉しそうやんけ!ガハハハ!ジェイソンは子供に優しいもんな!ウチそういうところ好きやで!」

ジェイソンは困ったようにちがやに視線を向けるが不思議と嫌そうでは無い。むしろ温かさすら感じる。

「それはそうとジェイソン」

「ん?」

「どうしたの?」

「腹減った・・・」ぐー

「「あ・・・」」

お腹を抑えるちがやに確かにと2人は同意しとりあえず食事にすることにした。

ジェイソンはわかったと言わんばかりに瞬時に動き出し慣れた手つきで次々と料理を作り出す。若干、ちがやに甘いように思えたが自分もお腹がすいて疲労していたので気にせず3人で食卓を囲んだ。

「うぅ・・・こんな美味しいご飯何年ぶりかしら・・・助かるとも思っていなかったから余計に美味しい」

泣きながらご飯を食べるルナにちがやは笑いかける

「ルナは大袈裟やな!確かに美味いけどうちのたこ焼きも負けてへんで!」

たこ焼きというのはなんなのかは分からないがちがやを見ていると不思議と笑顔になってしまう。ちがやの明るさが3人を照らしているようだった。

「でも2人に会えたうちは幸せもんやな!あはは!・・・」

明るかったちがやが何故か急に暗くなる。ルナとジェイソンはアタフタと心配するがちがやは語り出す。

「ウチ・・・こういう温かい食卓囲むの憧れやってん・・・だからこれからまた1人になるのが怖くなってもうて・・・うっ」

「ちがやちゃん・・・」

天性の明るさだと思っていた。だけど、ちがやは強いから明るく振舞っていたのだと気付きルナはそんなちがやを愛おしく思った。

「寂しいこと言わないでよ!?これからの事はこれから決めればいい!私達まだ何も分かってないでしょ!3人で話し合ってこれからも3人でいればいい!」

「うん」

「ルナ・・・ジェイソン・・・ごめんな・・・うちらしくもない!そうやんな!前向かな!泣いてる場合ちゃう!」

ルナは思った。自分は迷ってばかりで臆病な人間なのになんて強い子なのだろうと。その目には強い意志が宿っていて何者にも屈しない不屈の精神が目に見えた。

ルナは思った。自分もちがやみたいに強い人間になりたいと。

そうして決めた。この子のそばでずっと歩んでいこうと。


「待って待って!!ちがやの情報が多すぎてまとまらないから!え?日本?大阪?ここが夢?夢の中の映画?どゆこと?」

3人での話し合いで書記をしていたルナが悲鳴をあげる。ちがやが語った日本のことやここのことなどを詳しくそれはもう夜が明けるほど長く語りつくしたせいで頭がパンクしかけていたのだ。

「そういえばこの夢全然さめへんな?もしかして現実?ん?」

ちがやもちがやでまだよく理解してないらしく1人で混乱している。

「私達にとっては現実なんだけどちがやにとってはあっちが現実だったってことよね?」

「そう!それ!確か胡蝶の夢とかいうやっけ?」

「それはよく分からないけど本当だとしたら凄い事ね。別世界ってことかしら?」

「異世界転生!アニメとかで定番よな!でもウチ死んだような記憶ないんやけどな」

「ちょっと現状だとわからないことだらけで手をつけられそうにないわね・・・」

「せやな!まぁ、なんとかなるやろ!知らんけど!」

「ざつ!?いや、そうするしかないだけどさ」

「ちがや」

「なんや?ジェイソン」

「そのことはあまり人には言うな」

「え?なんでなん?」

「確かにそうね・・・私達が捕まってた研究施設みたいなところに目をつけられるかもしれないし何かと危ないわ」

「なるほど、確かにその通りやな・・・実際うちら捕まってたしこれ以上面倒事はごめんや」

「そうね。ちがやの過去のことは私達だけの秘密にしましょう。」

「わかった!秘密がある女ってなんかミステリアスでかっこええもんな!」

「うん・・・そうだねちがや」

ちょっとズレてるんだよなこの子と思ったが、本人が楽しそうなのでつっこむのはやめにした。

「あ、でもミステリアスさではジェイソンには勝てへんけどな!ガハハハ!」

「たしかに」

「・・・」

圧倒的謎に包まれた存在ジェイソン。その謎に比べたらちがやの秘密など慈悲に等しいのだった。

「アルバムとかあればジェイソンの秘密分かりそうやけど写真とかこの世界あるん?」

「一応あるけど・・・ないよねアルバム」

「ある」

「え!?凄い気になる!」

「これだ」

「おお!ジェイソン意外と普通の子供やな!ってあれ?なんか顔写ってないな・・・ってなんで子供の頃から仮面付けてるん!?なんやこのアルバム!?」

「子供の頃間違って付けた仮面が呪われてて取れなくなった!?そんな理由だったの!?」

「ホンマに素顔1枚もうつってへんな・・・仮面の正体はあほみたいやけどやっぱり謎やわ」

「ていうか普通に馴染んでるね・・・意外と幸せそう」

「まぁ、ジェイソンが辛い思いしてへんならそれはそれでええことや!その仮面うちがとったろか?なぁなぁ」

「無理だからやめろ」

「うわ、完全に一体化してるみたいね 子供の頃からつけてるってことは仮面自体成長に合わせて変化してるのかしら?」

「もう慣れた」

「なんかこう無理だと言われると無性に剥ぎ取りたくなるな」

「やめてあげなさい もしかしたら方法はあるかもだけど無理矢理だと痛いでしょ」

「分かってるって!言ってみただけやんか!」

「本当かな・・・」


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