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面接をしよう



帝国の別荘


その日、ちがやは使用人を選ぶための面接を行うことに決めた。彼女は自分の新たな仲間となる者たちに求める条件を胸に、少し緊張しながらも準備を整えていた。


「ウチ、面接するんは初めてやけど、どんな人達やろな?」

ちがやは座りながら呟くと、ポチが肩をすくめて答える。

「ちがや様、きっと大丈夫です。みんな、優秀ですから。」

ポチの言葉に少し安心しながら、ちがやは面接を開始する。


---


最初に現れたのはララ。


小柄で若干ロリっぽい外見のララは、部屋に入るとすぐに深くお辞儀をした。事前に読んだ書類によると彼女はエルフで年齢はなんと300歳らしい。見た目がどうみても幼女なので事前に知らされてなかったらここまで辿り着くことさえできなかっただろう。


「ほんなら、ララ、ウチの家で何かしたいこととかあるか?」

ちがやの言葉にララは緊張しつつも、しっかりと答える。

「私は、見た目に反して、年齢が高いため、豊富な知識があります。どんな仕事でも対応できると思います。」

「年齢が高い…か、そんなん全然関係ないで。ウチが頼む仕事に誠実に取り組むんが一番大事や。頑張りすぎんでもええから楽しく仲良く働いていけそう?」

ちがやは微笑んだ。ララは見た目のギャップに少しコンプレックスを感じているが、ちがやの温かい言葉に心が和む。

「はい!是非ともよろしくお願いします!」

 ともあれこの子なら大丈夫だろう。

 しっかりしてるし年上らしく経験もあるだろう。見た目はあれだが採用で問題ないと確信した。


---


次に現れたのはリム


リムは竜族らしく、堂々とした姿で部屋に入る。その大きな体と豪華な鱗が輝いている。リムは一歩進むと、静かに頭を下げる。

「失礼いたします、ちがや様。お世話になることがあれば、どんな仕事も全力でこなします。」

「おお、リムさんか。年齢的に落ち着いてるし、頼りにしてるで。」

ちがやはリムの言葉に頷きながら、ふと気になったことを口にする。

「ちなみにその形態って維持できるもんなん?急にドラゴン形態になって屋敷破壊したりせんよな?」

リムは軽く笑って答える。

「老竜はそのような失態はおかしません。若い竜ならばありえることですけどね」

「ちなみに他のメンバーとも仲良くやれそう?使用人の個性豊かさは偶然なんやけどキャラ濃いやろ?」

「問題ございません。面接前に話を交わしましたが楽しい者ばかりでした。」

リムも老竜なだけあって落ち着いてるな。他のメンバーとも仲良くできそうだし採用かな。


---


次に現れたのはルミナ。


ルミナは魔族で、圧倒的な色気を持つ大人の女性。セクシーな雰囲気を漂わせながらも、堂々とした態度で部屋に入ってきた。

「ちがや様、お世話になりますわ。あなたの期待に応えるために、魔法でお力になれることは何でもします。」

「うん、うちの魔法使いとも気が合いそうやな。でも基本的には家事全般になると思うけど大丈夫か?」

「それはご安心ください、ちがや様。私の力を使うのは、あくまであなたのためですわ。」

その言葉にちがやは少し照れながらも笑顔でうなずく。

「ありがとう、ルミナさん。」

 色っぽい魔族特有の羊の角が生えた女性だが特に問題なさそうだ。

 


---


次に現れたのはレイシア。


レイシアは、ほんわかとしたおっとりした雰囲気のお姉さん。獣人で、柔らかな毛の尻尾が特徴的だが、やや心配そうに入ってきた。

「ちがや様、初めまして。細かいことに気をつけるのが得意ではありませんが、できる限りお手伝いさせていただきます。」

ちがやはレイシアの気さくな言葉に安心し、にっこりと笑って答える。

「レイシアさん、気にせんで。うちも細かいことはあんまり気にせんタイプやから、一緒にやっていこう。のんびりでも全然かまへんからさ」

レイシアは安心して、少し明るい顔を見せた。

「ありがとうございます、ちがや様。」

 ほんわか優しそうな人だ。彼女なら聞くまでもなく同僚とも上手く溶け込めるだろう。


---


最後に現れたのはロロ。


ロロは、まだ15歳の若い人間の女の子。しかし、しっかり者で、真面目に接する姿勢が伺える。

「ちがや様、私はできる限り、周囲の方々に迷惑をかけないように働きます。掃除など、何でもお任せください。」

ちがやはロロの真面目な態度にうなずき、柔らかく言った。

「ロロちゃん、掃除とか任せてくれるんやな。何せ家がデカイからほんま助かるわ」

ロロは頷きながら、少し照れくさそうに笑った。

「頑張ります!」

「あ、でも人間一人だけど大丈夫?皆とは仲良くやれそうか?」

「それなら面接前にお話したのですが、皆さんとてもいい人たちでむしろ楽しみなぐらいです」

「なら採用やな」

---


面接が終わると、ちがやは深く息をつきながら部屋を見渡した。


「みんな、ほんまにいい子たちやな…これからよろしく頼むで。」

採用されたメンツを見渡すと皆いい顔をしている

 やる気十分のようだ

「とはいえ、ここで働くにおいて重要なことを発表しておく」

『ごくり』

「うちはよそと違って堅苦しいの好まんから家族のように接するし家族のように一緒に食卓を囲む。皆仲良く楽しくをモットーに働いていこう。だから使用人だからって必要以上に堅苦しく思わんでええからな。うちのことも気軽にちがやとかちがやちゃんとか呼んでくれてかまへんで❤︎」

『ぇええええええ!!?』

「まぁ、最初は慣れへんと思うから皆のタイミングで変えて貰えると嬉しいかな。呼び方に関してはな」

「ということは同じ食卓を囲むというのは・・・」

「それはこの家のルールな!」

「は、はい・・・」


「ちがやちゃん、本当に料理しなくていいの?」

「これは趣味みたいなものやから気にせんでええで」

「手際いいものね・・・」

「公爵家でちょっと習ったのもあるかもな。今日は歓迎会したいから特別なのもあるんやけどな」

「歓迎会?」

「そりゃあやるやろ。皆が入ってくれたんから。だから余計に料理はうちに任せてほしいねん」

「ちがやちゃん・・・」


「お掃除終わりました!」

「こちらもです。」

「こっちもOKよ。」

「なんか歓迎会して下さるみたいですよ?終わったらお風呂入っていいそうです。」

「楽しみですな」

「お酒出るかしら~」

「ふふ」

「どうかしました?」

「いえ、ちがや様が家族として扱うという意味がよくやく理解出来たといいますか。なんだかいいですよね。こういうの」

「そうですね」

「わかるわ。優しい人よね」

「さぁ、歓迎会もあることだし身体綺麗にして楽しみましょう」

 その夜、屋敷は大変賑やかな声が響き、歓迎会は朝まで続いたのだった。

 

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