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ドワーフの未来を話し合おう

酒場での出来事の後もちがや達は真面目に働き続けた

 あの場に話していた鍛冶ギルドのことも同時進行しているらしい

 寝坊もせず毎日文句も言わずに働いている

 男達はともかくちがや達はまだ子供なのにそこらの大人よりよく働く

 どうやら鉱山でも同じらしい

 やることなすこととんでもねぇことばかりだが誠実なのはもうわかりきっている

 ――帝国のやつらにも見せてやりたい――

 「そういえば村長達が気にしてたぞ。」

 何気なくそんなことを口走ると真面目に働いていたちがやの目がキラキラと輝いた

 「ほんまに!?てあれ?なんで村長に会いたかったんだっけ?」

 「ドワーフ達の悩みを聞くための手がかりを得るためでしょう。」

 「俺達の悩み?」

 「あぁ、そうやったそうやった!まずは堅実に街の人達から信頼されようと冒険者ギルドで依頼を受けて働いて・・・聞きたかった張本人ここにおるやん!」

 ビシリと指を刺される

 なんのこっちゃと首をかしげる

 「村長にあってこの街の事情聞いて親方の悩み解決しようと思ってたのに先に親方に会ってたなんてなぁ」

 「悩みってなんのことだ?」

 「帝国からしつこく付きまとわられてたやろ?この街の均衡も危ういし何とか守ってあげたいなぁって」

 今までずっと働いていた理由が自分だったということか?

 言われて思い出したがあの時の女の子だ

 気を使って心配してくれた

 それなのに疑ってしまったばかりにここまでさせてしまったというのか?

 「正直私も毎日クタクタだったからすっかり忘れてたわ」

 「私もです・・・」

 あははと笑いあうちがや達に呆気に取られる

 「でも、鍛冶ギルドができれば帝国からの脅威も怖くないかもしれへんな」

 「それはどういうことだ?あれはドワーフ同士の繋がりのためでは・・・」

 「それもある。でも、うちはSSSランク商人や。鍛冶ギルドと商業ギルドを繋げて街一つが自立し国から何も言われないほど自立させることなんてわけないわ。無論、勇者と縁がある冒険者ギルドともやけどな。」

 ちがや達の行動がドワーフ達を繋げ街を救おうとしている

 たった一回、帝国からの言い争いを見られていただけなのに

 「親方、帝国に一矢報いたくはないか?ドワーフのホコリはそれをするだけの力がある」

 そうだったな

 お前はいつだって俺達を尊重してくれた

 ホコリを笑わなかった

 だから信頼したのだ

 「がっはっは!そこまでお膳立てされちゃあやらないわけにはいかんだろう!俺は乗るぜ!いや、乗らせてくれや!」

 小さな手とガシリと握手を交わす

 こんなにも胸が熱くなったのは何年ぶりだろう

 500年間、ずっと暗闇に閉ざされていた街に光が刺した

 先祖の言い伝えは本当だった

 ――勇者の意志を継ぐものはここにいる――


 そうして街のこれからの未来を相談するための会合が開かれた

 村長、酒場の店主、鍛冶屋の俺、鉱山の長

 この街を取り仕切るメンバーだ

 「村長以外既に会ってるやないかーい!」

 ビシリとちがやにツッコまれた

 ガハハと笑いあった

 「ん?わしとも会ったじゃろう?」

 「ん?街で聞き込みをしている時に話したじいちゃん!村長やったんか!」

 ということは全員と会っていたのか

 偶然として片付けるにはあまりにも幸運すぎる

 村長が気にしていた理由もわかった

 「まぁ、結果オーライやな。うちは小夢茅!SSSランク商人や!今日はこの街の未来を相談するために集まってもらったで!」

 ドヤ顔で仕切るちがやに圧倒される面々

 だが、それでいい

 そんなことを考えているとルナとリリスが資料を配り始める

 紙に綺麗な文字でわかりやすくまとめられている

 ちがやが描いた絵だろうか

 デフォルメされたちがやとドワーフ達が可愛く描かれている

 頭の硬い職人でもこれならわかるぞ

「まず状況説明な!現在この街は一応帝国の自治区として認められている。これは500年前の勇者裏切り事件がきっかけやな。でも、自治区といっても帝国の街には変わりない。もしも帝国がまた武力で支配しようとしたり経済制裁を加えるなどをしたらひとたまりもない。人口も減って500年前のようにはいかへんやろうな。ここまではええか?」

 全員が頷く

「そこで以前話した鍛冶ギルドの出番や!創設するのはもちろんお前らや!冒険者ギルドのような独立した存在を作る方法は商業国家の賢者に確認したからもうわかっとる。手順は資料をみてや。」

 あの酒場での一見から調べていたというのはこのことだったのか

 国の許可は不要とデフォルメちがやがビシリと指を刺して強調されている

「ドワーフが鍛冶ギルドを創設する、うちが商業ギルドと鍛冶ギルドを繋ぐ、ジェイソンが冒険者ギルドと繋げる。鍛冶ギルドはそこへ販売経路を作る。お前らが丹精込めて作った武器が世界中に販売される。そしてここからが重要や」

「武器を見た各国のドワーフ達を鍛冶ギルドへ誘う。そして繋がる。」

「ちなみにうちら旅人やからその伝手で知っているドワーフにも声かけてあるで。商業ギルドや冒険者ギルドを通しても探してもらっとるわ」

 なるほど、使える伝手を全て使って鍛冶ギルドに集めるのか

 これは思ってた以上に巨大な組織になりそうだ

 それに今まで売れ残っていた武器も販売経路が拡大されることでより多くの人に広がり利益を得られるかもしれない

 そうなれば国の微々たる支援に振り回されることはない

 俺等はお前らの助けなんかいらないと突っぱねることも可能だろう

 「500年を経てドワーフは再び繋がりを得る時なんや!そして帝国の支配に怯える時代ももう終わりや!」

 とはいえ、一つだけ気になることがあった

 「経済制裁は受けないが武力からはどう守るんだ?」

 「そこは3つのギルドの関係性で産み出す!」

 関係性?どういうことだ?

 「鍛冶ギルドが創設されれば商業ギルド、3つのギルドは相互にメリットを産み出す。つまりはお互い必要不可欠な存在となる。国に依存しない組織同士で同盟を結び助け合うんや。」

「そんなこと可能なのか?」

「ここにはSSSランク商人のうちとSSSランク冒険者のジェイソンがおる。その発言権は、ギルドですら無視できん。というより既に確認を取ってある。」

 先手先手を撃つちがやに驚愕する

 というかSSSランクの二人がPT組んで旅してる時点で凄まじいぞ

 「これが同盟書や。冒険者ギルドは本来国の内政には関与しない存在だが、悪政を敷く王族から守るためならその限りではない。ってのが変更点な。」

「ギルド規約は変更させたのか?」

「元から不便な時もあったんだ。まぁ、ちがやといると普通に無視して関与することはあったのだがな」

 今まで何をやってきたんだ

 しかもちがやが中心なのか

「それでも心配だから念の為街を守るための優秀な子たちも呼んだ」

 ん?呼んだ?

 ちがやが何も無い空間からぽんと白くて丸い目のようなものが一つついた何かを取り出す

「名付けて見守るくんや!」

 ふんすとドヤ顔のちがやに名前じゃなくて説明がほしいと思った

 手のひらサイズの球体のナニカは空中を浮遊している

「この子ができることは資料を確認してな。とっても優秀な子たちなんやで。」

 子たちってさっきから言っているがどう見ても一体にしか見えないのだがと資料を確認してみる

 なんだこれ、高性能過ぎないか

 増殖して不審な人物を拘束、攻撃、防御が可能で意思疎通も可能?増殖した個体同士は繋がっていて瞬時に情報伝達が行われる?

 意味がわからない

 鍛冶ギルドの件よりよっぽど意味がわからない

 大事なことなので2度繰り返した

 めっちゃ強いと強調されて書かれているので改めて見守るくんに視線を向けるといつの間にか増殖していた

 「無害な人には安全だから心配いらんからな~。」

 見守るくんの一体と目があうとニコリと笑った

 1つ目だからちょっと怖いかと思ったが案外そうでもないぞ

 「ちなみにこの1体?でどのくらいの強さなんだ?」

 「まずは人間では手も足も出ないやろな。帝国の1万の兵ぐらいなら一人で片付けて帰ってくるで」

『1万!?』

「スタンピードが起きたら流石に何人か必要かもな。まぁ、遠距離から攻撃するからあっという間やろうけど」

「冒険者よりよっぽど頼りになるんじゃ・・・」

「そこはほら棲み分けてうまくやってや。この子達も相談すれば話聞いてくれるから」

「魔物が侵入しようとしていましたので撃ち落としました」

「よくやったな~ええこええこ」

 いつの間にか外に展開した見守るくんが早速仕事をして還ってきた

 ちがやは我が子を可愛がるように頭を撫でている

「食えそうな肉かな~」

 するとチガヤの眼前に近未来的なものが展開し撃ち落とされたであろう魔物の映像が移りだされる

「これ毒あるやつや。食えんから焼却処分お願いな」

 焼却が始まったと同時にぷつりと映像がキレる

 生々しい姿をお見せしないための配慮らしい

「あと、見た目でわかると思うけど毒とか状態異常も効かんからな。それでいていつでも清潔なんやで」

「これで街は安全だろうな。」

 ジェイソンがそういうなら確かに安全なのだろう

「これで全ての問題が片付いたも同然だけどまだ質問あるか?」

「これはなんなんだ?」

「まぁ、ドワーフのおっちゃんたちならええか。」ポン

「うちは想像したものを無限に生み出せる能力があるねん」ポンポン

「この力で生み出したのが見守るくんっちゅーわけやな」

「つまりこの街はもう帝国の脅威に怯える必要がなくなった?」

「せやで~無敵やな!まぁ、お前らにはやってもらわな仕事が山程あるんやけどな」

「うぉおお!やってやろうじゃねえか!お前ら!この街の未来を明るくしようぜ!」

「おうよ!」 

 「そうじゃな」

「がっはっは!たまらねえな!」

 それから怒涛の勢いに鍛冶ギルドを設立していった

 ちがや達が確認をしていたおかげでとてもスムーズにことは運んだ

 鍛冶ギルド創設から商業ギルドと冒険者ギルドと繋がりを得た

 その際冒険者ギルドに保護を求めた

 商業ギルドには既に販売経路を準備してくれているので売れ残りも含め売ってみることにした

 すると売値にしていた金額の倍の値段で売れた

 そんなことを繰り返していたら莫大な財産になっていた

 各地にも鍛冶ギルド支部が立てられドワーフ達が繋がっていく

 夢に見た光景がそこにはあった

 3つの組織がつながったことにより莫大な利益を生み出しているそうだ

 そんな時 帝国がやったきた と知らせが走った

 見守るくんには前もって伝えていたのだ

 帝国がきたら殺さずこっちにくるようにしてくれと

 そうして案の定兵を連れて武力で脅しにきた帝国が現れた

 

 

いつもお読み頂きありがとうございます。

いいね、フォロー感想頂けたら幸いです。

Xでキャラ画像も作成してますので是非見てください。

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