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胡蝶は別れ また旅に出る

「気をつけて行くんだよ~」

「いつでも遊びにこいよー」

次の街へ出発となった日

街で知り合った人達が総出で見送りにきてくれた

ちがやはその気持ちが嬉しくて寂しそうに微笑む

「いい街だったねちがや」

「せやな・・・うちああいうのに弱いねん・・・泣きそうになるやろ」

「泣いていいのに・・・相変わらず強がりだなぁ」

といいつつルナも泣きそうになっていた。

そんなふたりを暖かい大きな手がポンと頭に乗る

ジェイソンだ。

2人をジェイソンをみてありがとうと微笑みかける。ジェイソンはいつだって父なのだ。その安心感は何者にも勝る。だから2人はどんなに悲しくても父の温もりを感じるとホッコリする。

「また来よう」

「せやな」

「うん!」

いつになるかは分からない。

でも生きてさえいれば必ずまた会えるそう信じてちがや達は次の街へ動き出す。


「ぷはー!もう一杯!」

「飲みすぎやルナ、酒やなんいんやから」

「そんなー!?美味しいからつい飲みすぎちゃうのよね」

「今度は不味いやつ作ったろか?効果はそのままで」

「すみませんでした我慢します!」

「でも日本にはあったんやでゲロマズだけど凄く身体にいいって飲み物」

「薬みたいなものってこと?それはちょっと嫌だな・・・」

「まぁ、薬程効くとは限らんし別ええんやけどルナ、体力ついてきたんちゃうか?以前より休憩する間隔伸びてきてるで」

「本当!?私も旅で成長したのかしら?皆のためにももっと体力つけなきゃ!」

「ちがや、ちょっといいか?」

「なんや?」

「ちがやが飲ませてるあれ、もしかして体力を徐々にあげていってるんじゃないか?いくらなんでも成長が早すぎる」

「そういや、飲んだ時に力がみなぎる感覚はあったけどあれって一時的じゃないってことか?」

「俺もだが今までより更に体力と力が増している 明らかに持続、というよりステータスの上限値が上がってるぞ」

「ステータス!?前々からあるんじゃないかとは思ってたけどあるんか!?見れるんか!?」

「お、おう・・・冒険者ギルドでな。ちがやは行かなかったから知らなかったんだな。すまん。」

「見てみたかったな・・・でもまぁ次の街とかでもええか。成長してるならええやん 気楽に考えていこう」

ちがやに説明し忘れていたのは失態だった。

だが、ちがやの言う通り次がある。

切り替えて前向きに考えよう


「あ、これ薬草やん!ジェイソンこれとってもええか?」

「問題ない」

ちがやは街で買った薬草図鑑を見つつ道に生えている薬草を積んでいく。

冒険者でもないのに何故だろうと考えているといざと言う時のために植物の生体は知っていた方がいいということらしい。

実に努力家である

恐らくジェイソンやルナが怪我をした時のためとか考えているのだろうがちがやはいつも仲間のことを考えて行動している。

それが嬉しくてつい優しい目でちがやを見てしまっていた。

「ジェイソン、調合の本も買ってたからそのうち薬を作っちゃうかもよ」

「ちがやは商人になりたいんじゃなかったのか?」

「そうだけど、仲間想いなんでしょ。そして、傷付いた人や動物がいた時助けるためにさ」

ジェイソンはこの前の猫の魔獣の一件を思い出しいまだに悔やんでいたことに気付いた。

ルナのおかげで元気にはなったがちがやは反省し同じ過ちを犯さないようにしているんだ。

そう思うとなぜか応援したくなる。

「ちがや これも使えるぞ」

「おおきにジェイソン!森に住んでたジェイソンはやっぱり頼りになるな!」

「私だって魔法使いだからわかるわよ!これとか美味しいのよ」

「ルナ、それ毒キノコや・・・図鑑に書いてあるで」

「よく見たらエセマッシュじゃない!?似てるから間違えちゃったわ!」

「ここの模様で見分けつくやろ。」

「あ、本当だ!わかりやすい!じゃなくて!なんで勉強してた私が間違えてるのよ!?私のポンコツ!」

「本で見るのと実物を見るのは違うっちゅーことやろ。多分」

「多分って付け足さないで!?不安になるから!」

「ルナ、それも毒だ」

「あれ!?なんで!?今度こそしっかり観察したはずなのに!」

「もしかしてルナ・・・毒キノコを見つけるのが得意なんじゃないんか?知らんけど」

「そんな特技いらないよ!?」

「いやいや、そうでもないで。食べるのはあかんけど毒キノコは使い道あるねんで」

「まさか毒殺用・・・!?」

「ちがくて、毒を逆転させると解毒薬になったりするねん あとは毒そのものを抽出して戦闘で使ったりやな 大自然には何一つ無駄なんかないんやで」

「なんかおばあちゃんみたいなこというねちがや」

「ふふん!そのおばあちゃんから教えて貰ったことやしな!間違ってあらへんで!」

「すごーい!ちがやのおばあちゃんって凄い人だったのね!」

「そうなんやで!ばあちゃんは物知りでよくうちも知恵を教わったもんや」

「ちがやは祖母が好きだったのだな」

「にひひ!大好きやで!爺ちゃんも婆ちゃんも大好き!」

「そうか」

親には恵まれなかったと聞いていたから心配していたが日本でもちがやの味方がいたことを知り嬉しくなった。

だが、会えなくなって寂しくないだろうか

話を聞く限りちがやがこっちにくる前はまだ生きていたはず だからあっちでもちがやのことを悲しんでいるはず・・・ん?そうだった。当たり前のように考えていたが日本のちがやはどうなったんだ。日本に住んでいたという記憶はあるらしい。だったら日本からきたということになる。なぜ?どうやって?

考えてもその答えは出そうになかった。

それに日本のことや言葉を不思議と自然と受け入れられるのは何故だろう?ちがやが言っていた世界が繋がってるから?

「うーむ」

「どしたん?難しい顔して 考え事か?」

「ちがやがいた世界と俺達がいる世界のことをな」

「結局分からずじまいやったもんな。その手の資料も買ってみたけどさすがに世界となると情報は何も無かったわ」

「まぁ、そうだよな」

「うち思うんよ・・・多分な日本でのうちは死んだんやろなって・・・だからこっちにきたんやろなって」

「ちがや・・・」

「あぁ、大丈夫やて、心配せんでもそこまで落ち込んでへんから 」

「ならいいが」

「姿形日本と同じ姿になったウチは多分ここにいた並行世界のうちやねん だから死に際に魂だけ逃げてきて並行世界の自分の身体を間借りしとんちゃうかって」

「となるとここにいたちがやは?」

「何となくだけど一つになっとる気がする だから何も出来なかった日本のうちはこっちに来て変な力を使えるようになった 捕まってたのも十中八九元のウチがこの力を持ってたからやろ」

「なるほど、それなら全て説明がつくわね・・・」

「話してくれてありがとうちがや」

「うん・・・皆には知っていて欲しかったねん・・・隠し事はもうやめや」

「うんうん!また何かあったら教えてね!絶対よ!」

「おおきにな。やっぱり2人は頼りになるわ」



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