冒険者ギルドからの依頼
ホテルに帰ってその日はゆっくりと疲れを癒した
そして翌日、ホテルの1階に降りると冒険者ギルドの使者が待っていた
何やらきな臭い気配を感じる
ジェイソンはSSSランク冒険者なため何か以来ではないかとちがやは察した
旅をしていると冒険者ギルドに行くのも最低限になるので依頼をこなすのは構わないのだが、使者を送ってくるまでのこと?
と考え込んでいると依頼はこの国中枢、商都に行って欲しいとのこと。
何でも商都は今危機に扮しているという。
元々のこの国は大商人と大賢者によって支えられていた
だが、商人達の傲慢さに嫌気が差した賢者達が反乱を起こそうと企てているらしい
そうなれば国が完全に2つに割れてしまい大混乱が巻き起こる
何とか阻止するためにSSSランク冒険者のジェイソンを呼びに来たらしいが……。
「俺は内政に関与する気はない」
そう、冒険者は本来国を超えた組織
よって国の内政に対しては不干渉なのだ
だが、今回はなぜかその約束を反故にして依頼要請にきた
どう考えても普通じゃない
もちろん、ジェイソンとて無実の国民を見殺しにはしたくない
だが、それとこれでは話が違う
ましてや冒険者ギルドを通して依頼してくるのも間違っている
力があるからこそ干渉するわけにはいかないとハッキリと断ったのだが……。
「金を受け取ったんか?お前ら」
ちがやがぎろりと睨むと気まずそうに目を逸らした
どうやら商人側から買収されたようだとわかったちがや達はますます疑念が増してくる
そもそも賢者達が悪いような言い方も気になる
意図的に印象操作をしている?
愛想尽かされただけだろとちがやは思う
なら、本当に力を貸さないといけないのは賢者のはず
「そういえばギルドの職員である証明してもらってへんな。ちょうどええ、ここに聖女リリスがおる。彼女の前で嘘偽りがないことを誓ってみ」
リリスが前に出ると男はビクンと怯えはじめ後退る
これは完全に黒だとわかったちがやは男を追っ払いルナにこっそり追尾魔法を仕掛けてもらった
これで男の素性を明かしつつ行動できる
無論、これから向かうのは商都だ
別に依頼を受けた訳では無い
だが、真実を確かめるためには行かねばならない
そう、これは単なる気まぐれ
冒険者の内政干渉なのではない
利用されるつもりも毛頭ない
逆に利用してやろうとちがやの策略なのだ
ちがやはホテルをチェックアウトし預けていた馬車を夢境に移動させ、人気がなくなったところで全員で商都に向かうのであった