表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
117/148

海賊島を自立させよう

海賊への交渉準備

 一旦ホテルに戻ったちがやは、明日に必要になりそうな物資を用意していた 。


「海賊のこと、どうするの?」


 ルナが気になっていたことを聞いてみる。


「自立させて、『こっちくんな』って言いにいく。」


「……危なくない?」


「海賊も賊だぞ? 素直に言うことに従うとは思えんが……」


「今日の飯にありつけず 死ぬこと と、 まともな方法で飯にありつくこと 、どっちを選ぶと思う?」


 ちがやは、海賊たちが 食糧目当てで陸地を目指していたのではないか と考えていた。


 五隻も船があれば、海で獲れる食糧だけでは足りない。


 そうなると、いずれ 陸に上がって奪うことになる。


 でも、それを させたくない。


 ならば、拠点となっている 海賊の根城を「自立」へと導くしかない。


 それも、真っ当な方法で。


 自分たちが 飢えるかどうかがかかっているなら、やらざるを得ない だろう──ちがやはそう推測していた。


「まぁ、腐れ外道しかおらんかったら、海の底に沈めればええやろ。」


海賊島への潜入作戦

「これでいいの?」


 ── 海賊島に到着。


 ちがや達は 空を飛んで侵入 し、BBQコンロを取り出す。


 厚切りステーキ を炭火でじっくりと焼き始めた。


 香ばしい 肉の香り が辺りに広がっていく。


 そして、その 匂いをルナの魔法で島の中心へと風で流した 。


「そろそろかな。」


 ちがやがそう呟くと──


 ガサゴソ……


 島の奥から、 肉の匂いに釣られた海賊たち が現れ始めた。


「お前たち、どこから入ってきやがった!? ここは俺らの島だぞ!?」


 三下っぽい海賊が威嚇してくるが、 ちがやは無視して肉を焼き続ける。


「というか、なんで肉なんか焼いてるんだ!? おい! 聞いているのか!?」


 海賊が手を伸ばした瞬間──


 バチィン!


 結界くんが はじき飛ばした。


 弾かれた海賊は ムキになって何度も攻撃するが、まったく通じない。


 その上──


 ちがやは仲間たちに美味しそうな肉を切り分け、幸せそうに食べ始める。


 ── 羨ましい。


 さらに 肉の匂いに釣られた海賊たち が次々と現れ、 肉欲しさに攻撃を仕掛けるが、すべて弾かれる。


 肉なんて何ヶ月も食べていない。


 それなのに──


 目の前で、美味しそうに食べるちがや達。


 その光景に、海賊たちは 嫉妬で歯ぎしりする。


ちがやの交渉術

「にひひ……お前らも食べたいんか?」


「ぐぬぬ……」


「魚ばかりだと飽きるもんなぁ~。たまには肉も食べたいよなぁ~?」


 ── ちがやは、あえて 煽り倒す。


 彼は 海賊たちが肉を食べたがっていることを知っていた。


 なぜなら 陸に上がれず、何度も玄武に追い払われているのだから。


 きっと 魚やエビは捕まえられても、肉は手に入らない。


「真っ当に稼いだ金で買った肉は、美味いなぁ~!」


 海賊たちは、ぐぬぬと悔しそうに唸る。


 どうせ俺らは海賊だ、と言いたいが、それを口にすると さらに煽られそうで言えない。


 かといって 手を出せば、また弾かれる。


 ── まるで、餌の前でお預けされている犬のような状態だった。


「お前ら、肉食いたい?」


 ── 集まった海賊たちは、一斉にブンブンと縦に頭を振る。


 ちがやは シメシメ と何かを企んでいる。


「ほならウチと、真っ当な取引せぇへん?」


「……!?」


 ちがやの思いもよらぬ発言に、海賊全員が ポカンとする。


「お前ら、陸に上がれんで困っとるんやろ? 陸に上がらなくても仕入れができるように、真っ当な方法教えてやるいうてんねん。 無論、それによって肉も買える。」


 ── 買う?奪うではなく?


 海賊たちは 引き込まれていく。


財宝の活用提案

「仮に取引するとして……何が欲しいんだ?」


 海賊の1人が質問する。


「お前ら、海賊なら財宝たんまり溜め込んでるんやろ? でも 財宝は食えへんもんな~!」


「……!!」


「いくら海を探検して財宝を見つけても、食べられへんかったら意味ないやん?」


「魚魚魚魚!!」


 一部の海賊が 「もう魚は嫌だぁ!!!」 と叫び出す。


 最近は 特に陸に上がっていないので、食糧不足が深刻化している。


 ── 魚は採れるが、 毎日魚ばかりでは、いずれ限界が来る。


 ……すでにその限界が来ていた者たちもいる。


「お前らは財宝を探す。それを取引材料に、食糧や欲しいものを買う。 そういう提案を、ウチはしてんねん。」


 ── いつの間にか、ちがやを中心に海賊たちが耳を傾けていた。


 心なしか、統領より統領っぽい。


 床に ふんぞり返り、悪どい笑みを浮かべるちがや。


海賊のボスのもとへ

「何ボサっとしとんねん! 取引したいなら、今すぐ ウチらを海賊のボスのところに案内せんかい!!」


 その勢いに押され、 海賊たちは慌てて案内し始める。


 ── 気づけば、BBQ道具も片付いていた。


 (肉……くれないのかよ)


 と、ちょっと思ったが、今は仕方ない。


 島の中心部へと向かう。


 ちがやは 堂々と後をついていく。


 仲間たちは警戒を強めていた。


 当然だ。


 今から海賊の本拠地に向かうというのに、ふんぞり返るちがやがおかしい。


 でも 逆らえなかった。


 ── これは、海賊全員の運命がかかっているからだ。


 こうして、ちがや達は 海賊の本拠地へと辿り着くのだった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ