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胡蝶、遊び尽くす 続

翌日

 待ちに待った マリンスポーツの日 だ。


 昨日は泳ぎを習得するために競泳水着だったが、今日はしっかりと 可愛い水着 でおめかししている。


 ちがやは 黒色のビキニタイプ 。露出は控えめだが、ワンポイントのリボンが可愛く決まっている。


 ルナは 白色の露出度が高いビキニタイプ で、その抜群のスタイルが存分に活かされている。


 リリスは、お腹が隠れた ヒラヒラのついた可愛いデザイン 。控えめな性格が反映された、おしとやかで子供らしいデザインで、とても似合っていた。


そして、男性陣はというと…

「ひーひひひ! やっぱりジェイソンには ブーメランパンツ よな!」


 ムッキムキの身体を見せつけるように、ブーメランパンツ一丁のジェイソンに、ちがやが引き笑いで爆笑する。


 対照的に ハンス王子は普通のトランクスタイプ 。さらに シャツまで着込んでいる 。


 脱げばそれなりに細マッチョなのだが、ムッキムキのジェイソンと並ぶと悲しくなるため、事前にシャツを買っておいたのだった。


「これでオイル塗ったら完全に ボディービルダー やな! ひーひひ!」


 ビシバシと叩かれるジェイソンは、ちがやが楽しそうで嬉しそうだ。


 ノリノリで ポーズを決めている 。


 なんとも愉快な光景に、細かいことを気にしていたハンスも バサリ とシャツを脱ぎ捨て、その輪に加わっていく。


 ジェイソンと並んで ポーズを決め、ガハハと笑い合う 。


 ふざけ合える気楽な関係が ハンスには新鮮で、楽しくてたまらなかった 。


 ルナとリリスもちがやと一緒に 笑い合っている 。


シュノーケリング体験

 そんなことをしていると、今日のマリンスポーツ 「シュノーケリング」 を教えてくれる ネア が姿を表した。


「待たせたわね。相変わらず皆楽しそうね」


 にこりと微笑む赤髪の女性ネアも、今日はしっかりと水着を着ている。


 露出度が高く 大胆な赤色の水着 で、圧倒的な色気を放っていた。


 その姿に ハンスは思わず顔を背け、赤くなる 。


 ── この男、年上好きか… と、ちがやは察した。


「今日は浅瀬で簡単なシュノーケリングをするから、道具を配るわね」


 ネアは慣れた手つきで ゴーグルと呼吸用のシュノーケル を配る。


 各々が正しく装着したことを確認すると、早速 浅瀬へ移動し、シュノーケリングの解説 が始まった。


 ちゃぷん と顔をつけて、ゴーグル越しに水中を覗く。


 ── これが思いのほか楽しい。


「可愛い魚がいっぱい!」


 ルナが ふふっ と微笑む。


 水中には カラフルな海中生物 たちが元気に泳いでいた。


 キラキラと輝きながら見えるその光景に、全員が呆気に取られる。


 ── 水中がこんなに綺麗だなんて、知らなかった。


 ぷはっ と顔を上げ、思い思いの感想を述べ合う。


 ── なんだかんだ、ずっと一緒にいたが、ここまで全力で遊んだことはなかった。


 だからこそ 余計に楽しい 。


 大人であるジェイソンまでも 少し興奮 していた。


貝殻拾いと食料調達

 次第に 浅瀬の貝などを拾って楽しむ 。


 ルナが 食用目当てで拾った貝 は美しかったが、食べるには向いていないと聞いて シュン… となった。


 一方、男性陣は 浜辺を借りて魚を捕り始める 。


 ルナの メシマズ事情 は、ハンスも聞いていた。


 ── ルナに任せて変なものを採った日には、食中毒で死にかねない。


 そう察したハンスは、必死に まともな食料 を確保することにした。


ビーチバーベキューとパーリーナイト

 その日は、 ビーチで獲りたて新鮮な魚を使ったバーベキュー 。


 ネアもお呼ばれして、一緒に楽しむことになった。


 ちがやが作った バーベキューコンロ が思いのほか好評で、驚かれる。


 ── あとで売ろう… と考えつつ、水着から着替えてエプロン姿になったちがやが、焼き始めた。


 大きな エビ、魚、食べられる貝 などが、 ジュージュー と美味しそうな音を立てる。


 必死に探してくれた男たちには ビール を買ってきて、休憩を促した。


「ぷはっ! ビーチで飲むビール、うめええ!」


 これにはハンスも感激。


 ジェイソンと一緒に キンキンに冷えたビール を飲んでいる。


「ブルースカイのビールだろうか? 飲みやすくてうまいな。」


 ちなみに女性陣はまだ子どもなので、フルーツジュース で我慢。


 唯一飲んでいるのは、ネアだけ だった。


 男二人に負けず劣らず、ビールをグビグビと飲みまくる。


「ねーさん、めっちゃ飲むな…大丈夫なん?」


「むしろこいつらが遅いのよ! ほら、もっと飲みなさい!」


「お、おう…」


「どうも…」


 酒豪のネアに突き合わされたジェイソンとハンスは、 嫌々ながら受け取る 。


ちがやの想い

 三日月に照らされた 輝く海 。


 ── 幻想的で、少しだけナイーブになるちがや。


 日本にいた時は、夏休みも 友達と遊ぶことはなかった 。


 家のことをして、父親と喧嘩して、漫然とした日々を過ごしていた。


 ── 夏らしい経験や思い出もなく、死んでしまった。


 でも、今は違う。


 やりたかったことも、できなかったことも、皆となら叶えられる。


「ちがや。」


 気づくと ジェイソンが頭を撫でてくれていた 。


 ── ジェイソンの手は、いつも優しい。


 深くは聞かない。言わない。


 でも、それでいい。


 ── そんな距離感が、安心できて落ち着くから。


 ちがやはくるりと振り返り、熱の残る夏の思い出を、最後まで堪能したのだった。

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