胡蝶、遊び尽くす
リゾートホテルで豪華なディナーを楽しんだちがや達
翌日、準備を整え、海にやってきていた。
「海だああああああああ!」
元気に叫ぶちがやに続いて、ルナやリリスも真似をする。
「海だあああああああ! あはは!」
「う、海だあああああ! これは一体…」
ノリノリのルナ、そして理由もわからず、とりあえず真似をするリリス。
反応は様々だが、叫んでみると思いのほか気持ちよく感じた。
プライベートビーチなので、他の観光客を気にせずはしゃげるのも素晴らしい。
とはいえ、今日は一人、新たに出会った赤髪の女性も同行していた。
「気持ちはわかるけど、今日は泳ぎを習得するために訓練するんでしょう?」
スタイルがよく、おっとりした雰囲気の赤髪のお姉さん──それが、マリンスポーツのお店で泳ぎを教えてくれるインストラクターのネアだ。
浮き輪や水着を買った際に知り合い、泳ぎを教えてもらうために依頼したのだった。
「ネア姉さん! よろしゅーな!」 ビシリ
ちがやがふざけて敬礼すると、それに続いて全員も敬礼した。
真面目なのかふざけているのか判断に困ったネアだったが、教える以上妥協はしない。
海はそれだけ危険なのだ。
泳ぐ前に、海での注意事項を説明された。
下流の流れが激しい場所やその見分け方、流された時の対処法、海で泳ぐ際の心構えなど…。
プールとは違う点を、ネアは丁寧に説明してくれた。
ちがや達は元から飲み込みが早いのですぐに覚え、プールで泳げたちがやは真っ先に泳ぎをマスターした。
そこからは、泳げるようになったちがやとインストラクターのネアで手分けして指導。
最初は恐る恐るだった面々も、次第に泳げるようになっていった。
その中でも、ルナは泳ぐより 水面に浮くことの方が得意 だということが判明した。
ちがや曰く、
「おっきな浮き輪、胸についてるもんな」
…ということだった。
プカプカと浮いているルナを、ジト目で眺める 「持たざるもの」 の二人なのだった。
王子は元から運動神経がいいのか、すぐに泳ぎ方をマスター。
ジェイソンは最初、力加減がわからず 海を割る などのトラブルが起きたが、愛するちがやのお願いということもあり、なんとか習得した。
これで全員、泳ぎを習得したことになる。
その日はインストラクターのネアに依頼料を支払い、ホテルに帰還。
泳いだせいか、全員ぐったりだ。
食事を済ませ、皆早めに就寝した。