リゾート地ブルースカイ
トレードフロントでの問題を片付け終わり、疲れ果てたちがや達一行。
商業国家の南部に位置するリゾート地、ブルースカイに旅立つことを決意した。
ブルースカイはその名の通り、綺麗な海と新鮮な海産物が有名なリゾート地で、休暇を過ごすのに最適な場所だという。
商業国家に来る前は泳げないという理由で避けていたが、疲れを癒すため、ちがや達は思い切ってブルースカイで海を満喫しようと考えていた。
ちなみにヴァルガは勇者の元に一旦帰ると離脱した
そうして、トレードフロントを後にし、馬車に揺られていざ海が見えてきた。
「おおお!海だ!」
夏の潮風が心地よい。
澄んだ青い海が広がっているのが見える。
ちがやは、大阪の汚れた海しか知らなかったため、この景色に感動を覚える。
「凍ってない!すごい!」
ルナもまた、少しズレた感覚で景色を楽しんでいる。
魔法国家で育った彼女にとって、海は氷で覆われていて、風も強くて寒いものとしてイメージされていた。
リリスも目を輝かせて初めての海を堪能している様子だ。
そんなことをしていると、街の門をくぐり抜け、ついにリゾート地ブルースカイに到着した。
王子とジェイソンは交代で馬車を運転し、仮面をつけているため、街の人々から時折見られている。
ブルースカイの住人たちは皆、日焼けをして健康的な肌色をしている。
南国らしいフルーツや海産物が売られている店が多く、観光客も多く訪れている。
馬車を預け、まずは宿泊するリゾートホテルへ向かう。
「屋台から美味しそうな匂いがする…」じゅるり。
ルナは相変わらず食欲旺盛で、屋台を眺めながら何を食べようかと考えている。
彼女を放置すると、いつもどこかに行ってしまうので、ちがやは肩を掴んで強制的にホテルへ連れて行く。
商業国家のギルドマスターによると、海沿いに石造りの大きな建物があり、それがリゾートホテルだという。
海に向かってまっすぐ進み、目立つ大きな建物を見つけた。
「ここがリゾートホテル!?でかっ!」この世界にもこういうのがあるんだな…。
そのホテルは、日本のホテルとほとんど変わらない。
石で造られており、長方形の柱が並び、非常に清潔感がある。
入口では、スーツを着た2人の男性が立っており、事前に商業ギルドからの連絡でちがや達を迎えてくれたようだ。
「商業ギルドから連絡があったと思うけど、うちがちがやや。」
ちがやが代表して話しかけると、丁寧にお辞儀された。
「お待ちしておりました。」
王城や公爵家とはまた違った、この待遇にちがやは感心する。
このホテルは、観光客を満足させるために特化しているように見える。
受付で手続きを済ませ、転移魔法陣の上に案内される。
魔法が発動し、一瞬で上層階に移動すると、広々とした空間が広がり、その前に扉があった。
ここがちがや達の部屋だろう。
魔法のカードのような鍵で扉を開けると、リビングがあり、人数分の個室が整っている。
VIPルームと聞いてはいたが、この豪華さに驚いた。
窓からは美しい海が見え、眺めも最高だ。
このホテルの最上階の宿泊費は当然高額だが、ちがや達はトレードフロントでの功績を評価され、無料で提供されることになった。
無料と聞いて飛びついたちがやだが、商業ギルドにとっては損失ではなく、むしろちがやの活躍によって多額の収益を得ているため、彼らにとっては申し訳ない気持ちもないわけではない。
しかし、ちがや達はそれを気にせずにリゾートを満喫することにしたのだった。